ウクライナの治安機関「ウクライナ保安局(SBU)」は9日、同国の最新鋭対艦巡航ミサイル「ネプチューン」の製造に関わる機密資料を不正取得し、中国の特務機関に渡そうとしたとするスパイ容疑で、ウクライナの大学に通っていた中国人の男(24)と父親を拘束したと発表した。
ウクライナメディアによると、ネプチューンは2020年に正式配備された。ロシアによるウクライナ侵略後の22年4月、露黒海艦隊の旗艦「モスクワ」を撃沈したことで知られる。
発表によると、男は23年に成績不振で大学を除籍になった後もウクライナの首都キーウに滞在。ネプチューンの開発に携わったウクライナ人を勧誘し、機密資料を受け取ろうとした。SBUが資料の受け渡し現場で男を拘束したという。
また、父親は中国在住だが、定期的にキーウを訪れ、男のスパイ活動を支援していた。父親は男から受け取った資料を特務機関に渡す役割だったという。
SBUは、男の関係先などを家宅捜索した結果、スパイを裏付ける携帯電話が押収されたと指摘。男と父親には最長15年の禁錮刑が科される可能性があるとした。(小野田雄一)