国交省「置き配が標準」検討 物流業者の負担軽減、盗難防止課題
国土交通省は26日、宅配ボックスや玄関前に荷物を届ける「置き配」を、宅配便の標準サービスとする検討に入った。業界で人手不足が深刻化する中、再配達を減らし、負担削減につなげるのが目的だ。
物流業界関係者も交えた検討会の初会合を同日開いた。秋までに方向性をまとめる。
置き配は、配達時間を気にすることなく、荷物を受け取れるという利点がある一方、盗難や汚損、個人情報流出などへの懸念から利用をためらう人もいる。トラブル防止など、課題の解消が焦点となりそうだ。
検討会は有識者や自治体関係者らで構成する。会合は非公開で、国交省によると、出席者からは、受取人不在時、業者が敷地内やマンションのフロアに立ち入ることを念頭に、セキュリティーやプライバシー面の対策を求める意見が出た。マンションや一戸建て住宅への宅配ボックス設置をどのように進めていくかといった、設備面での指摘もあったという。
対面での受け取りや再配達には追加料金を求める案も取り沙汰されているが、今回の会合では言及がなかった。ただ国交省は、今後議論する可能性を否定しなかった。
会合に出席した国交省の幹部は「地域で不可欠な物流サービスを持続可能なものにするため、既成概念にとらわれず、今の時代に合った合理的なやり方を生み出したい」と説明した。
物流各社は、国交省が作った基本ルールを参考に、荷主との契約条件などを盛り込んだ「運送約款」を策定している。現行の基本ルールは対面での受け取りを前提としており、置き配は、荷物を受け取る側が選択する追加サービスとなっているケースが多い。国交省は、ルールを改定し、対面での受け取りに加え、置き配も標準と位置付けることを視野に入れている。〔共同〕