「お風呂入り」「未成年飲酒」……元舞妓が国連に訴えた驚きの内容 花街の“閉鎖的な体質”は変わるのか
――置屋のお母さんや先輩のお姉さんたちは助けてはくれないのでしょうか? 最初は優しかったお母さんやお姉さんたちも、私が舞妓になるとがらりと変わりました。弱音を吐けば「根性がない」と叱られ、何をやっても怒られる毎日でした。次第に私自身が悪いんだと思い込むようになり、自分を責め続けるうちに、やがて吃音になりました。 ――16年7月に舞妓を辞めました。理由は? 決定的だったのは「お風呂入り」、つまり混浴です。お客さんと一緒に温泉地などに旅行に行って、タオル一枚巻いてお風呂に入りお客さんの体を洗わされるのです。話には聞いていましたが、冗談だと思っていました。 ■「お風呂に一緒に入ろう」 ――「お風呂入り」は実質的な「性接待」だと思います。実際にあったのですか? ありました。舞妓にデビューして4カ月くらいたった頃です。お客さんから「旅行に行くよ」と誘われ、先輩のお姉さんたちと温泉に行きました。そこで、露天風呂付きの豪華なお部屋に通されると、お客さんが「お風呂に一緒に入ろう」と言ってきました。 私はどうしても嫌でした。すると一緒に行ったお姉さんが優しい方で、酔ったふりをして騒ぎを起こしてくれたお陰で、なんとかその場は回避できました。けれど、その後も「お風呂入り」の話は続き、次も同じようにうまく逃げられるとは限りません。これ以上、舞妓を続けるのは無理だと悟りました。 ――お風呂入りで性被害に遭った舞妓さんもいたのでしょうか。 はい。混浴で性被害を受け、妊娠し、堕胎させられた舞妓もいます。その人は精神を壊して入退院を繰り返し、今もトラウマに苦しんでいます。
――他にも、古い慣習がありますか。 中でも、性行為の強要に繋がっているのが「旦那さん制度」です。私は舞妓を続けるのはもう無理だと思い、置屋のお母さんに「辞めたい」と伝えると、違約金として3千万円を請求されました。とても払えないと言うと、代わりに提示されたのが「旦那さん制度」でした。「パトロン」という名目でお客が置屋にお金を払い、身請けされる仕組みです。金額はピンキリで、300万~6千万円ほどで身請けされると聞きました。 ――それは「人身売買」で、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)では。 そうです。私には3人の旦那さん候補がいたそうですが、その一人が3千万円という支度金を提示していたと聞いています。また、別の候補の一人からは「僕は処女じゃないと嫌なんだ。旦那さんになったら一緒に旅行しようよ」と言われ、ゾッとしました。 ■「現代の奴隷」 ――どうやって辞めることができたのですか? 辞めさせられるように仕向けました。反抗的な態度を取って、「こんな子はここに置いておけない」って思われるようにしました。最後は、置屋のお母さんに向かって怒鳴りました。それは絶対にしてはいけない行為だったので、それでようやく辞められました。 ――未成年に対する深夜労働や性的接待、さらには人身売買のような実態は、国際的には「奴隷労働」に該当します。 私は、舞妓が置かれた状況は「現代の奴隷」だと感じています。舞妓はただかわいいだけの「人形」で、人権もなく、人間として扱われてないと思いました。 ――現在もそうした慣習は残っているのですか? 京都には祇園や先斗町など5つの花街がありますが、そのうち3つの花街で「お風呂入り」は継続されていると聞いています。門限は、今は夜の10時に短縮され未成年の飲酒は減っていますが、深夜の接待や飲酒もあります。「旦那さん制度」も続いているといいます。
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