サイバー犯罪を取り締まるための新たな条約が昨年12月、国連総会で採択され、日本でも締約の是非が検討されている。だが、国際的な取り締まりに役立つという期待の一方で、「表現の自由」の制約につながると懸念の声が上がっている。あの有名な小説にも「禁書」になる危機が迫っているとの見方も―。なぜなのか。(太田理英子)
◆「条約」は不正アクセス、児童ポルノ流布を取り締まる
採択された「国連サイバー犯罪条約」は、不正アクセスや児童ポルノ流布の取り締まりを図る。捜査目的で、締約国間の電子証拠の情報収集や提供などを認めている。
既に2004年、日本や欧米が中心となり、同種のブダペスト条約(通称)を発効させているが、ロシアが地域条約に過ぎないと主張。国連を通した条約が必要とし、2019年から協議が進められてきた。今後、40カ国が批准すれば発効する。
外務省の担当者は今回の条約について「現在、締約の是非を関係省庁と検討している」と話す。
途上国を含め、国境を越えたサイバー犯罪が深刻化している。条約の草案づくりの段階で、...
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