このように日本では、さまざまな要因から外国人の不動産取得を規制することが難しい状況となっている。

それでは日本以外の国の場合は、外国人による不動産取得に対してどのような取り組みをしているのだろうか?

東南アジアを拠点に海外不動産取引のコンサルティング・管理を行うProperty Access株式会社の代表、風戸氏は「そもそも日本のように外国人が無条件に不動産を持てる国というのはかなりレアです」と語る。

※作成:楽待新聞編集部

たとえば中国は外国人に対しての規制が非常に強く、外国人による不動産の所有権取得は認められていない。

韓国では外国人による不動産取得は基本的に可能だが、事前申告が義務付けられており、軍用地や島嶼(とうしょ)部、農地などについては特別な許可が必要となる。

ほかにも外国人が購入できる不動産の価格範囲を限定しているマレーシア、外国人の中古物件の購入を制限し原則として新築物件の購入のみ認めるオーストラリアなど、各国ではさまざまな形の規制が存在する。

税金による規制を設けている国もあり、基本的に外国人の場合は国民よりも税金が高くなるような仕組みであることが多いという。たとえばシンガポールの場合、外国人が居住用不動産を購入すると物件価格の60%の追加印紙税が生じる。

日本ではこうした規制がなく、外国人も無条件で不動産の所有権を得ることができる。他国と比べても不動産を買いやすいことから、注目を集めやすい。

「他国より融資が簡単な側面もあり、不動産価格も世界的に見てまだ安い。言葉の壁さえなんとかできれば、日本は外国人にとって不動産投資向きの最高の国だと思われるのではないでしょうか」(風戸氏)

こうした背景からも、現状の日本における不動産取引の特異性が浮かび上がってくる。

明治に遡る「外国人の土地取引」規制

ここで、外国人の土地取引をめぐる日本のこれまでの動きを、改めて整理してみよう。

※年表では、外国人による不動産取得の規制が難しい要因として現在にまで影響している出来事や、直近の法案提出など注目度の高い出来事に印をつけている

外国人の土地取引の可否については、明治時代からさまざまな法律が制定・廃止されてきた。

特に近年は本件の問題意識が高まり、2023年以降は3回にわたって関連法案が提出されているが、いずれも成立には至っていない。

直近の2024年12月に衆議院へ提出された「外国人土地取得規制法案」は、2021年成立の「重要土地等調査法」をさらに強化し、より包括的な規制を目指す目的で作成された。

法案の作成・提出に携わった国民民主党の政務調査会長、浜口誠議員は「国土は国民の生活や経済活動の基盤となるため、取得、管理、利用の面でしっかりと対応していく必要があります」と語る。

「現状では、土地の利用状況について調査できる範囲が防衛施設や原子力発電所付近と極めて限定的で、安全保障の観点では不十分だと考えています。やはり水源や農地、森林など、幅広い日本の土地に対して管理を行き届かせていくことが重要です」(浜口議員)

国民民主党・政務調査会長、浜口誠議員

また現行の法律では、外国人の土地購入を規制することはできず、あくまで調査が可能という範囲にとどまっている。

浜口議員は「日本の土地である以上、外国人による取得や利用を一定程度規制することはやむを得ない」として、規制に向けて今後も動いていきたいと語る。

規制の実現にあたっては、やはりGATS協定の「内国民待遇の保障」との整合性などさまざまなハードルがある。しかし「決して簡単なことではないが実現不可能ではない」と熱意を見せた。

「近年、安全保障の意識が高まっているからこそ、2020年に結んだRCEPでは外国人の土地取引を制限できるという留保がつけられたのです。もう一段階踏み込んだ問題意識を政府と共有しながら、規制の具体的なアクションにつながるような働きかけをしていきたいと考えています」(浜口議員)

さまざまな要因が複雑に絡んだ、外国人の土地取引をめぐる問題。安全保障などの懸念から規制の必要性が叫ばれていても、容易に実現できないのが現状だ。

法律や国際協力のバランスを慎重に図りながら、重要な「国土」をどう扱っていくのか。日本に住まう全ての人にとって、今後も見逃せないテーマだろう。

「外国人による不動産購入」、不動産投資家のあなたはどう考えますか? 率直なご意見をアンケートでぜひお聞かせください。

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(楽待新聞編集部)