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スーパーロボット大戦30周年企画・ロボアニメレビュー5作目『UFOロボ グレンダイザー』(1975)

本作はダイナミックプロが手がけた「マジンガーシリーズ」第3弾にして一応の完結作となっており、本作以後しばらくマジンガー系のアニメは作られていません。
私がこの作品を知ったのはそれこそ最初にプレイした「スパロボA」であり、そこから「IMPACT」「D」「MX」で結構好きだった思い出があります。
とはいえ、「マジンカイザー」が出るようになってから実質兜甲児一強になってしまい、グレートはともかく最近のスパロボではすっかり存在感がないのです。
まあ一応リボルテックや超合金などは商品化されていますし、「マジンガーINFINITY」でも設定やデザインはあるので、完全な空気というわけじゃないのですが。

本編を見たのはそれこそ大学生になってからなんですが、最初に見たときは「マジンガーZ」に次ぐ話数の多さに驚き、それだけ人気作だったのだなあと思います。
まあ見ていればわかりますよ、シリーズ初の宇宙人ヒーローに華やかなヒロインたち、そしてレギュラーとして出てくる兜甲児…この時点で前作「グレート」よりは華があるのです。
更にロボットの必殺技もマジンガーのバリエーションを抑えつつ、いわゆるゲッターロボの空・陸・海の3要素を取り入れたスペイザーマシンの設定なども差別化としてうまいと思います。
ドラマとしても環境問題であったり、民族紛争の問題であったりと時代を先取りしたようなテーマを扱っているのは、単なるロボットプロレスから脱却しようというのが感じられていいですね。

それでは諸手挙げて傑作といえるかというとそうではなく、その理由はこれから述べていきますが、とにかく味方側も敵側も設定がいまいち詰め切れてないところにあります。
最終的には「これってマジンガーシリーズである必要はあるんだっけ?」というところに帰結してしまうのです…いわゆる「これはガンダムである必要がない」と言われたアナザーガンダムみたいに。
しかし、アナザーガンダムの「ガンダムである必要がない」と本作の「マジンガーシリーズである必要はない」はだいぶ意味合いが違うので、その辺については詳細に後述します。
それでは改めて本作の魅力について見ていきましょう。

(1)当時の流行であったUFOロボブームとスペースオペラ

まず本作を見ていく上での大きな特徴は当時の流行であったUFOロボブームとスペースオペラの設定をいち早く取り入れているところであり、この辺りから宇宙設定のロボアニメが増えてきます。
宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」というアニメ史上に残る傑作といわれる作品群も本作で先駆けて打ち出したスペースオペラの設定があってこそです。
やはりそういう意味でもダイナミックプロは先見性があるというか、玩具販促を大事にしつつ先を見据えて新しいことに挑戦していこうというマインドが感じられます。
また、それに見合うだけのストーリーとキャラクターを設計してはいるので、その辺りで単なる初代の延長線上でしかなかった「グレートマジンガー」と大きな差をつけたのです。

何と言ってもデュークフリード=宇門大介の設定は面白く、彼は「滅んだ惑星の元王子」でありながら、同時に「地球の青さに魅力を感じている」という設定になっています。
ドラゴンボール」でいうところの孫悟空ベジータを1人でやっているようなものであり、彼が放つカリスマ性は兜甲児のキャラの強さに負けずとも劣りません。
また、そんな彼の周りにいるひかりや妹のマリア、更に前半はほとんど引き立て役扱いだったけれどもマジンガーシリーズの初代として出てきた兜甲児もよかったです。
グレートマジンガー」に足りなかったのはこういう画面の華やかさであり、マジンガーシリーズの中でもここまでヒーロー側が煌びやかだった作品はないでしょう。

それから、グレンダイザーとスペイザー周りのデザインやロボアクションも個人的には好きでしたね…特にダブルハーケンという武器はグレンダイザーの代名詞といえます。
反重力ストームやスペースサンダーに関しては正直よくわからないというか、反重力ストームに関しては名前だけ聞くと凄そうですが「ブレストファイヤーやブレストバーンとどう違う?」と思ってました。
また、スペースサンダーに関しても、空気のない宇宙みたいなところで雷を起こすって不可能だろと思うのですが、そこで出てきたのがダブルハーケンという武器なのです。
スパロボでも結構愛用させてもらっており、また3種類のスペイザーに関しても「マジンガーがゲッターのような地形適応力を持ったら?」というIFとして面白い試みでした。

(2)ツッコミどころが多いヒーロー側の設定

ただし、これらの設定はとても魅力的である一方で突っ込みどころも多く、ファンからも散々突っ込まれていますが、なぜこのようなキャラクターの配置になっているのかがわかりません。
中でも最も多いのが「なんで兜甲児をボスポジションにしてしまうのか?」ということであり、「グレートマジンガー」の時とは別の不満を感じてしまうのです。
だって、初代マジンガーパイロットとしてあれだけ活躍しまくり、「グレートマジンガー」最終回でもきっちり主人公してた兜甲児がなんでわけわからん宇宙人の前座扱いを受けなければいけないのかと。
この設定は見ていて歯痒く、これだったらそもそも兜甲児なんて最初から出さずにオリジナルキャラだけでやればよかったじゃないかと思ってしまうんですよね。

TFOに乗ろうとスペイザーに乗ろうと、甲児って後半でマリアが出てくるまではことごとく大介さんの噛ませ扱いで、なんでTFO共々ボスボロットポジションに降格となりました。
作り手になんの意図があってこんな扱いにしたのかはわかりませんが、とにかく歴戦の勇士だった彼が理由もなくこんな扱いを受けてしまうのは見るに耐えません。
これだったらまだマジンガーを強化して主力級として戦った方がよかったじゃないですか…え、グレートを出せ?鉄也さんはもういなかった扱いでいいですよ。
とにかく、初代マジンガーの設定を全くリスペクトしていない甲児君の前半の扱いはひどくなっており、ライダーシリーズと違ってロボアニメには「先輩を立てる」という文化は存在しないのだと思いました。

それから本作にマジンガーZグレートマジンガーが出てこないでグレンダイザーのみで戦うのも「ベガ星の円盤獣の力の前には地球製のマジンガーでは歯がたたない」みたいな設定があったそうです。
しかし、そのように設定されている割には劇場版でグレートマジンガーやゲッタードラゴンと共演しているわ(なぜか甲児君はここでもスペイザーのパイロット扱い)、漫画やスパロボでも共演しているわ。
こんな風に他の媒体であっさり設定を覆す二枚舌みたいなことをしてしまっているので、「だったらマジンガーZをチューンナップして一緒に戦わせろ!」と突っ込みたくもなります。
結局のところ、中途半端に「マジンガーシリーズ」として作ってしまったものだから、自由度がかえって狭まってしまっているという…そりゃあ後年の作品でマジンガーZEROになろうってもんです。

(3)面白いけれども、いまいち設定を生かし切れてない敵組織

さて、ツッコミどころはヒーロー側だけではなく敵組織のベガ星連合軍も同じであり、ボスの恐星大王ベガは戦隊シリーズでいう星王バズーに近い設定のボスです。
恐怖政治で侵略してきた星の連中を自分の配下として率いれ支配するという、ロボアニメ屈指のスケール感を持った大ボスであるといえます。
この設定があるからこそ、デュークフリードとの因縁が映えるわけであり、また地球の星となき故郷のフリード星とが力を合わせて戦う姿も映えるのです。
また、配下にいるコマンダーたちがいたり、愛娘のルビーナ王女の悲劇があったりと、それなりに奥行きが感じられるのは面白い設定になっています。

ただし、これは疑問に思うのですが、どうしてわざわざ宇宙を支配する敵組織の大ボスが地球くんだりまでやってこなければならないのでしょうか
強いていえば、デュークフリードとルビーナ王女との因縁がそのきっかけといえますが、そんな理由で地球に侵攻にくるのもおかしな話です。
ルビーナが死んだのはあくまでも科学長官ズリルの狡猾な罠にはめられてのことであって、デュークたちと戦って殺されたからではありません。
それにもかかわらず、一方的に話を聞きもしないで地球に攻め込むのですから歴代でもこんなアホなラスボスがいたものでしょうか?

これっていうなれば、婚約破棄された資産家の父親が一方的に社会的制裁を食らわせるようなものであり、そんなアホなことをする父親はいません。
もしいたとすればただの基地外であり、またせっかく恐怖政治に利用されている集団だとしたら、「チェンジマン」の終盤のように敵だったものが味方化する展開もあっておかしくないでしょう。
そうすれば、自然と物語もエスカレートしていって、壮大な傑作になり得たかもしれないのに、どうにも歴代屈指の規模を誇る連合軍の設定を生かし切れていません
まあこの辺りは「宇宙戦艦ヤマト」や長浜ロマンロボで追及されていく部分なので、本作ではそのレベルの敵組織を作れただけでもよしとしましょう。
個々で見ていくと、割と悲劇的な存在もあったりして、ドラマとしては面白かったので、もっと組織全体が面白ければなあと物足りなく感じます。

(4)面白かったが、マジンガーの世界観である必要はない作品

総合して見ると「面白かったが、マジンガーの世界観である必要はない作品」となってしまい、どうにもとりとめのない作品という評価になってしまいます。
スパロボ的にもそうなんですけど、結局「グレンダイザー」自体がシリーズの完結作としてとても相応しい作品とは思えないというのがあるんですよね。
元々は初代「マジンガーZ」で完結している世界観とストーリーですから、「グレート」にしても本作にしても地続きの続編にする必要がありません
これは平山P時代の昭和仮面ライダーシリーズもそうなんですけど、人気作だからといって、無理に世界観を1つに統合する必要はないと思うのです。

よくこの手の話題になった時に、「Gガンダム」「ガンダムW」などの「アナザーガンダム」が「ガンダムである必要がない」という批判を今も昔も食らいます。
これに関してはまた該当作品の時に詳しく書きますが、軽く述べておくとそれらの作品群は宇宙世紀ガンダムと切り離した世界観とストーリーにすることで成功した作品です。
それに対して本作は中途半端にマジンガーZと同じ世界線で作ってしまったものだから、上記したような設定の矛盾がどうしても気になってしまいます。
後半〜終盤にかけてまとまりはよくなっていった分「グレートマジンガー」よりはマシなんですが、それでも前半部分がかなり足を引っ張っていました。

結局のところ、その後の作品群であまり取り沙汰されていないのを見るにつけ、本作はいっそのことマジンガーシリーズとは別で作った方がよかったと思います。
タイトルからして「マジンガー」ではないのですから、武装やビジュアルだけマジンガーっぽくしつつ、兜甲児を出さずに作った方が面白くなったでしょう。
後半の扱いがよくなった甲児を「成長」と言いますが、あれは「成長」ではなくキャラの扱いがよくなっただけであり、兜甲児の成長はもう初代「マジンガーZ」で描き切っています
だからこそ、中途半端にマジンガーシリーズにするのではなく、独立した世界観とストーリーの話にしてオリジナルで作った方がよかったのではないでしょうか。

(5)「グレンダイザー」の好きな回TOP3

それでは最後に「グレンダイザー」の好きな回TOP3を選出いたします。

  • 第3位…25話「大空に輝く愛の花」

  • 第2位…59話「ああ!少年コマンド隊」

  • 第1位…73話「この美しい地球のために」

まず3位はナイーダという悲劇のヒロインとの交流回であり、大介をぶん殴る甲児のリアクションなども含めて、かなりよくできた名編です。
次に2位は「戦争孤児」という重い設定をしっかり真正面から描き、ベガ星連合軍という敵組織の強大さを知らしめた傑作としてよくできています。
そして堂々の1位は大介のキャラが完成し、またひかるもマリアも甲児もそれぞれの決意で立ち上がって戦う終盤の傑作回です。

やはり後半に票が集中してしまうのですが、その中でも前半の25話はかなりの名編であり、この話で「グレンダイザーとは何か?」は掴めた気がします。

(6)まとめ

マジンガーシリーズの最終作として位置付けられる本作ですが、むしろマジンガーとは別個の世界観とストーリーにした方が成功したのではないでしょうか。
マジンガーZ」の92話に次ぐ74話という話数があるだけでも人気な証拠ですから、これでもっと前半から設定を詰めておけばよかったと思うのです。
これはもうシリーズ物の宿命ですが、よほどのことがない限りは続編ものや後続作品が初代を超えることはまずないというのを感じました。
スーパー戦隊シリーズのようにフォーマットのみを継承しつつ、毎年違うストーリーと世界観にしているのであれば話は違ったんですけどね。
総合評価はB(良作)、前半が微妙だった分後半からのまとまりの良さでなんとか盛り返したかなと。

  • ストーリー:B(良作)100点満点中70点

  • キャラクター:B(良作)100点満点中70点

  • ロボアクション:A(名作)100点満点中85点

  • 作画:B(良作)100点満点中75点

  • 演出:B(良作)100点満点中70点

  • 音楽:A(名作)100点満点中80点

  • 総合評価:B(良作)100点満点中75点 

評価基準=SS(殿堂入り)S(傑作)A(名作)B(良作)C(佳作)D(凡作)E(不作)F(駄作)X(判定不能)

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