イデオンナイト行って参りました。
接触編・発動編の上映のほか(みんな死んだ後は良い顔してました)、総監督の富野由悠季氏、キャラクターデザインの湖川友謙氏、ファン代表として小説家の福井晴敏氏が壇上にあがり、2時間のトークショーが行われました。
富野氏のトークはいつも通り盛り上がりましたが、湖川氏の話が予想以上に面白かったです。
福井氏はあまり喋りませんでしたが、アウェイにも関わらず(明らかに福井氏への拍手の量が少ない!)意外に頑張っていました。
以下、トークショーで印象に残った点を箇条書きに。
メモを取っておらず記憶に頼って書きましたので、不正確な部分も多いです。
イデオン30周年
・(福井)ファンは発動編が基準になっているので、イデオンが30周年という気がしない。2年後の発動編、公開30周年はきちんとお祝いしたい。
・(富野)133億ぐらいあれば、等身大イデオンを作れるはず。(111mの)テコンVが出来る前には作りたい。
(福井)ナスカの地上絵のように地表に等身大イデオンを描いて山から拝むのは?
(富野)立ってないとダメ。
・(湖川)発動編は絵コンテが上がるのが物凄く早かった。
・(富野)イデオンを何時までも手元に置いておくと自分が狂いそうになる。それが怖かったので早く仕上げた。今見ると、ラストの幽霊のシーンは雑になっている感覚はある。イデオンはある種の頂点だが、それ故に新興宗教が作れるぐらいのヤバさはあった。イデオンがアニメで良かった。実写だったら絵空事では済まされなかった。
・(福井)イデオンが無ければ作家にはなっていなかった。バディ物に代表されるように個人対個人で、お互いの人なりを浮かび上がらせる作品はたくさんあるが、神対人という対立軸で、人とは何か?と問いかける作品はイデオン以外には2001年しかない。
・(富野)イデオンは傑作なので、40年50年後には必ず再評価されると自惚れている。次の世代にも受け継いでいきたいので、若い人たち宜しくお願いします。
富野監督を絶賛し続ける湖川氏
・(湖川)イデオンは自分のキャリアで一番大事な作品。富野氏とまた組みたい。
・(富野)呼びたいけど、湖川君を指名する権限がない。そういう、大人の世界の仕組みが分かってきた。
・(湖川)絶対呼べるはず!今嬉しいのは、富野さんは初対面の時に僕の事を年上だと思ったので「湖川さん」とずっと呼んでいたけど、今日は「湖川くん」と呼んでくれた事。他の人からは嫌だけど、富野さんは天才だから君付けで呼ばれたい。
・(湖川)イデオン打ち切りが決まっても、富野氏が(作画を)続けて良いと言ったので嬉しかった。
発動編の原画はメカ以外は殆どチェックした。外注の原画が上がってくるとゴミ箱に捨てて自分で描き直した。その方が早いから。
・(湖川)皆さんは富野さんの絵コンテ見たことありますか?本人は謙遜するけど、富野さんレベルの絵が描ける人はそうはいない。僕ほどは上手くないけどね。
ハルル様が大人気
・(湖川)キャラクターは自分の描いたものが全部そのまま採用されたが、ハルルだけは一度却下された。顎のはった美人のハルルを気に入っていたので、手を抜いた当て馬を5体ぐらい出したら結局、最初の絵が採用された。
・(富野)覚えてません。
・(湖川)富野さんは都合の悪い事は全部覚えていません、で済ますよね。
・(富野)ガンダムのキシリアが気に入っていたが、それを超えるぐらい良い女としてハルルは設定した。ただ、湖川さんの顎が尖った絵に引っ張られて、想定以上に(ハルルのみならず)キツイ芝居が増えたかも。
・(湖川)発動編の気に入っているシーンはハルルとドバがぶつかるシーン。それと、あそこのドバの歩き方は上手く描けた。
福井氏はシェリルが好きらしい
・(富野)シェリルは作劇の都合が見えすぎているので嫌。
・(湖川)富野さんはシェリルはかなり好きなキャラクターだと思っていた。
・(富野)好きだし頑張ったが、お話を進行させる為に振りまわし過ぎてきつくなりすぎた。それに匹敵するドラマを作ろうとして、(発動編の)ドバファミリーが出来た。当時、自分にはドバの気持ちは想像も出来なかった筈なのに、我ながら良く出来たと思う。
色が少なくて大変
・(湖川)当時は丁度100色ぐらいしか無くて大変だった。バッフ・クランに色を割り当てていったら全部無くなったので、禁じ手で白を使った。許せない部分。
・(福井)バッフ・クランの白が良いですね、と言わなくて良かった。
・(湖川)バッフ・クランの宇宙船の内部なんかは原色を組み合わせて上手くいったと思う。最近は色が無限にあるので中間色ばっかりで、原色の使い方が下手。中間色は大好きだけど、可能性が広がった分難しさも増している。
・(富野)色が無限になった分、詰まらない出来になる可能性も増えたかも。
声優
・(富野)ザンボット3、ガンダムの声優のキャスティングは音響監督のセンスが大きかった。アフレコでは、ガンダムの途中ぐらいから本格的な演技指導をやるようになってきた。
・(富野)ザンボット3で大山のぶ代氏や、ガンダムの古屋徹氏などで、役者を普段演じる役とイメージの異なる役に起用する事で、彼らが面白がる性質が分かってきた。横で見ていても、声優が一年ぐらい同じ役ばかりやっていると飽きてくるのが分かる。色んな役をやってみたいのは役者の持つ性質。
・(富野)ハルルにヤマトの森雪のイメージの強い麻上洋子氏を起用したのも同じ。イデオンでは声優の人達が収録を楽しみにしてくれていたので嬉しい。
・(湖川)僕はヤマトもやっているから、麻上氏で大丈夫かと正直心配したりもした。実際は大丈夫だったけど、声優の写真を見ると、みんな僕の描いたキャラクターにそっくりなのが不思議。
・(富野)キャスティング時は気にしていないが、顎の形が似ているとハマる。コスモ役はなかなか決まらなかったので、20人ぐらいオーディションした。
・(湖川)コスモは頭がポイントなんですよ。
やっと話題に上がった主人公コスモだが特に語る事がない。それは何故か?
・(福井)イデオンを考えるとき、コスモの位置づけが出来ず止まってしまう。
根暗だったアムロに比べると従来のロボット物よりの主人公だが?
・(富野)コスモは生贄。イデに捧げられた人。
その他
・(富野)イデオンの全長が100mではなく105mなのは、端数があると尤もらしく聞こえるから。
・(富野)リセット願望は人類が数万年前からもっている普遍的なもの。ただ、そんな作品が見たいかどうかは全くの別問題。
・(富野)イデは神様ではなく、神様になりたい存在。固有の存在であって普遍的な存在ではない。イデが何か考えすぎてもヤバい方向にしか行かないので、自分の中でイデオンパート2はないと思っている。
・(富野)イデオンの音楽は最初、すぎやま氏に「カンタータ」を渡したら「全部分かった」と言ってくれた。「カンタータ・オルビス」を最後に使う予定もあったので頑張った。
・(福井)「コスモスに君と」はメロディが綺麗なので、結婚式で使われる楽曲に組み込まれている。その人たちが歌詞を知ったらびっくりすると思う。傷をなめ合う道化芝居だから。
・(湖川)富野さんはOPのイデオンの変形合体シーンの原画を描いてる。凄い仕事量だと思った。(富野)覚えてません。
・(湖川)キッチンの絵面は、いかにもといった感じであまり好きでない。人気はあるけど。
・(湖川)年を取った分、イデオン当時より絵が上手くなったと自負している。
・(湖川)バッフクランの髪型のモチーフは往年のSF作品「謎の円盤UFO」の女性オペレーターの髪形
看護婦>キッチン>コスモ の順に貰われて行きました。
コスモは不人気です。
二時間全く話題にあがらなかった、カーシャなんてヒロインは初めからいません。
「みんな星になってしまえ」と言ったのはロッタあたりの別の人だったと思います。
接触編・発動編の上映のほか(みんな死んだ後は良い顔してました)、総監督の富野由悠季氏、キャラクターデザインの湖川友謙氏、ファン代表として小説家の福井晴敏氏が壇上にあがり、2時間のトークショーが行われました。
富野氏のトークはいつも通り盛り上がりましたが、湖川氏の話が予想以上に面白かったです。
福井氏はあまり喋りませんでしたが、アウェイにも関わらず(明らかに福井氏への拍手の量が少ない!)意外に頑張っていました。
以下、トークショーで印象に残った点を箇条書きに。
メモを取っておらず記憶に頼って書きましたので、不正確な部分も多いです。
イデオン30周年
・(福井)ファンは発動編が基準になっているので、イデオンが30周年という気がしない。2年後の発動編、公開30周年はきちんとお祝いしたい。
・(富野)133億ぐらいあれば、等身大イデオンを作れるはず。(111mの)テコンVが出来る前には作りたい。
(福井)ナスカの地上絵のように地表に等身大イデオンを描いて山から拝むのは?
(富野)立ってないとダメ。
・(湖川)発動編は絵コンテが上がるのが物凄く早かった。
・(富野)イデオンを何時までも手元に置いておくと自分が狂いそうになる。それが怖かったので早く仕上げた。今見ると、ラストの幽霊のシーンは雑になっている感覚はある。イデオンはある種の頂点だが、それ故に新興宗教が作れるぐらいのヤバさはあった。イデオンがアニメで良かった。実写だったら絵空事では済まされなかった。
・(福井)イデオンが無ければ作家にはなっていなかった。バディ物に代表されるように個人対個人で、お互いの人なりを浮かび上がらせる作品はたくさんあるが、神対人という対立軸で、人とは何か?と問いかける作品はイデオン以外には2001年しかない。
・(富野)イデオンは傑作なので、40年50年後には必ず再評価されると自惚れている。次の世代にも受け継いでいきたいので、若い人たち宜しくお願いします。
富野監督を絶賛し続ける湖川氏
・(湖川)イデオンは自分のキャリアで一番大事な作品。富野氏とまた組みたい。
・(富野)呼びたいけど、湖川君を指名する権限がない。そういう、大人の世界の仕組みが分かってきた。
・(湖川)絶対呼べるはず!今嬉しいのは、富野さんは初対面の時に僕の事を年上だと思ったので「湖川さん」とずっと呼んでいたけど、今日は「湖川くん」と呼んでくれた事。他の人からは嫌だけど、富野さんは天才だから君付けで呼ばれたい。
・(湖川)イデオン打ち切りが決まっても、富野氏が(作画を)続けて良いと言ったので嬉しかった。
発動編の原画はメカ以外は殆どチェックした。外注の原画が上がってくるとゴミ箱に捨てて自分で描き直した。その方が早いから。
・(湖川)皆さんは富野さんの絵コンテ見たことありますか?本人は謙遜するけど、富野さんレベルの絵が描ける人はそうはいない。僕ほどは上手くないけどね。
ハルル様が大人気
・(湖川)キャラクターは自分の描いたものが全部そのまま採用されたが、ハルルだけは一度却下された。顎のはった美人のハルルを気に入っていたので、手を抜いた当て馬を5体ぐらい出したら結局、最初の絵が採用された。
・(富野)覚えてません。
・(湖川)富野さんは都合の悪い事は全部覚えていません、で済ますよね。
・(富野)ガンダムのキシリアが気に入っていたが、それを超えるぐらい良い女としてハルルは設定した。ただ、湖川さんの顎が尖った絵に引っ張られて、想定以上に(ハルルのみならず)キツイ芝居が増えたかも。
・(湖川)発動編の気に入っているシーンはハルルとドバがぶつかるシーン。それと、あそこのドバの歩き方は上手く描けた。
福井氏はシェリルが好きらしい
・(富野)シェリルは作劇の都合が見えすぎているので嫌。
・(湖川)富野さんはシェリルはかなり好きなキャラクターだと思っていた。
・(富野)好きだし頑張ったが、お話を進行させる為に振りまわし過ぎてきつくなりすぎた。それに匹敵するドラマを作ろうとして、(発動編の)ドバファミリーが出来た。当時、自分にはドバの気持ちは想像も出来なかった筈なのに、我ながら良く出来たと思う。
色が少なくて大変
・(湖川)当時は丁度100色ぐらいしか無くて大変だった。バッフ・クランに色を割り当てていったら全部無くなったので、禁じ手で白を使った。許せない部分。
・(福井)バッフ・クランの白が良いですね、と言わなくて良かった。
・(湖川)バッフ・クランの宇宙船の内部なんかは原色を組み合わせて上手くいったと思う。最近は色が無限にあるので中間色ばっかりで、原色の使い方が下手。中間色は大好きだけど、可能性が広がった分難しさも増している。
・(富野)色が無限になった分、詰まらない出来になる可能性も増えたかも。
声優
・(富野)ザンボット3、ガンダムの声優のキャスティングは音響監督のセンスが大きかった。アフレコでは、ガンダムの途中ぐらいから本格的な演技指導をやるようになってきた。
・(富野)ザンボット3で大山のぶ代氏や、ガンダムの古屋徹氏などで、役者を普段演じる役とイメージの異なる役に起用する事で、彼らが面白がる性質が分かってきた。横で見ていても、声優が一年ぐらい同じ役ばかりやっていると飽きてくるのが分かる。色んな役をやってみたいのは役者の持つ性質。
・(富野)ハルルにヤマトの森雪のイメージの強い麻上洋子氏を起用したのも同じ。イデオンでは声優の人達が収録を楽しみにしてくれていたので嬉しい。
・(湖川)僕はヤマトもやっているから、麻上氏で大丈夫かと正直心配したりもした。実際は大丈夫だったけど、声優の写真を見ると、みんな僕の描いたキャラクターにそっくりなのが不思議。
・(富野)キャスティング時は気にしていないが、顎の形が似ているとハマる。コスモ役はなかなか決まらなかったので、20人ぐらいオーディションした。
・(湖川)コスモは頭がポイントなんですよ。
やっと話題に上がった主人公コスモだが特に語る事がない。それは何故か?
・(福井)イデオンを考えるとき、コスモの位置づけが出来ず止まってしまう。
根暗だったアムロに比べると従来のロボット物よりの主人公だが?
・(富野)コスモは生贄。イデに捧げられた人。
その他
・(富野)イデオンの全長が100mではなく105mなのは、端数があると尤もらしく聞こえるから。
・(富野)リセット願望は人類が数万年前からもっている普遍的なもの。ただ、そんな作品が見たいかどうかは全くの別問題。
・(富野)イデは神様ではなく、神様になりたい存在。固有の存在であって普遍的な存在ではない。イデが何か考えすぎてもヤバい方向にしか行かないので、自分の中でイデオンパート2はないと思っている。
・(富野)イデオンの音楽は最初、すぎやま氏に「カンタータ」を渡したら「全部分かった」と言ってくれた。「カンタータ・オルビス」を最後に使う予定もあったので頑張った。
・(福井)「コスモスに君と」はメロディが綺麗なので、結婚式で使われる楽曲に組み込まれている。その人たちが歌詞を知ったらびっくりすると思う。傷をなめ合う道化芝居だから。
・(湖川)富野さんはOPのイデオンの変形合体シーンの原画を描いてる。凄い仕事量だと思った。(富野)覚えてません。
・(湖川)キッチンの絵面は、いかにもといった感じであまり好きでない。人気はあるけど。
・(湖川)年を取った分、イデオン当時より絵が上手くなったと自負している。
・(湖川)バッフクランの髪型のモチーフは往年のSF作品「謎の円盤UFO」の女性オペレーターの髪形
ロゴダウの異星人めっ!
観客プレゼントは湖川氏の描いた「キッチン」「(ハルルを治療した)看護婦」「コスモ」。看護婦>キッチン>コスモ の順に貰われて行きました。
コスモは不人気です。
二時間全く話題にあがらなかった、カーシャなんてヒロインは初めからいません。
「みんな星になってしまえ」と言ったのはロッタあたりの別の人だったと思います。