第4話 爆乳勇者パーティーに服をプレゼントしてみた





「いやー!! お風呂、気持ちよかったね!!」



 ルナティア、テレシア、マリーの爆乳スポンジで汗を流した僕は満面の笑みでお風呂を出た。


 いや、本当に最高だった。


 ルナティアとテレシアが殺意に満ちた目で俺を睨みながら、ふかふかの爆乳で丹念に身体を洗ってくれるものだから興奮してしまった。



「そ、そうですね、あはは……」


「「「……」」」



 四人の中でマリーだけが僕に相槌を打つ。


 ルナティアは拳を握り締め、テレシアは牙を剥き出しで僕を威嚇している。


 メイは僕のペンペンで赤くなったお尻をを気にしているのか、僕を睨みながら自分のお尻を撫でていた。


 ああ、ルナティアたちに向けられる軽蔑の眼差しが心地よく感じる日が来ようとは。



「今に見ていろ、いつか貴様の悪行を断罪してやる」


「まあまあ、そう怒らないでよ。皆にプレゼントがあるから」


「き、貴様が妾たちにプレゼントじゃと?」



 僕からプレゼントという言葉が出てきたのが意外だったのか、ルナティアたちは面食らった様子だった。


 四人をリビングまで連れて行くと、ちょうどシリルさんが作業を終わらせたらしい。



「これが今日から貴女たちの着る服です」



 シリルさんが四人に服を手渡した。


 今までずっと全裸だったからな、そろそろ服を着せてやろうと思ったのだ。


 しかし、ルナティアはシリルさんから服を受け取った瞬間、それを見て顔を耳まで真っ赤にして怒鳴った。



「なっ、こ、これは、私の鎧ではないか!!」


「はい。ゴテゴテした部分を全て取り除き、マイクロビキニアーマーに改造しました」



 親指を立ててグッとシリルさん。


 その服は、かつてルナティアが愛用していた鎧を改造したものだった。


 たしかルナティアの祖国に伝わる伝説の鎧で、いにしえの勇者がドワーフの名工に作らせたとか何とか。


 それが今では露出度マックスのマイクロビキニアーマーになるとは。


 ドワーフも過去の勇者もびっくりだろうな。



「ほら、さっさとその服を着ろ。シリルさんがお直ししてくれたんだからな」


「「「「あぐっ!?」」」」


「ほらほら、早く着ないとどんどん苦しくなるぞ」



 僕の命令に逆らおうとすると首の紋章が締まるため、ルナティアたちは嫌々ながら服を着た。



「くっ、この屈辱、いつか必ず……っ!!」


「今のルナティアに睨まれても全然怖くないね」



 ルナティアは伝説の鎧を改造したマイクロビキニアーマーを着ながら、僕を睨み付けた。


 ばるんっ♡ ぶるんっ♡ ばるるんっ♡


 身動ぎ一つで激しく揺れる爆乳を見ていると、優越感のようなものを感じる。



「ちょ、ちょっと!! な、なんなのよこの服!! ほとんど裸じゃない!!」



 お尻をまだ赤く腫らしたメイがニャーニャーと騒ぎ立てる。


 メイの服は、最早服ではなかった。


 爪先から脚の付け根までをぴっちりと覆う黒いゴムのような材質の靴下と、指先から二の腕までを覆う同質の長手袋。


 それ以外に布らしいものは何もなく、強いて言うなら局部を隠すハート型のシールがあるのみ。


 丸出しではないので全裸よりマシだろう。


 

「メイ様はネコミミや尻尾が生えていますから、余計な装飾は不要かと判断しました」


「似合ってるね、メイ」


「ぜ、絶対に許さないんだから!! アンタもそっちのサキュバスも、いつか痛い目に遭わせてやる!!」



 さて、続いてはマリーだ。



「こ、これは、お恥ずかしいのですが……」


「我ながらドスケベシスター服は傑作ですね。特に白のニーハイソックスとガーターベルトの部分が」



 マリーの服もルナティア同様、元々彼女が着ていたものを改造したものだった。


 ウェディングドレスのようにも見える純白のシスター服がかつての面影を残しながらも、おっぱいやお尻が丸出しだ。


 へそや肩、背中、太ももなども露出しており、全体的に布面積が小さくなっている。


 シリルさんは純白のニーハイソックスとガーターベルトがツボらしい。

 流石は淫魔、男の好みというものを理解している。


 最後はテレシアだ。



「な、なんなのじゃ、これは!?」


「我が王、アーク様の元いた世界にあった『ミコ服』なるものを参考に製作しました。会心の出来です」


「こんなもの着るくらいなら全裸の方がマシなのじゃ!!」



 テレシアが着ているのは、赤と白を基調色にした和服――巫女服だった。


 ただし、普通の巫女服ではない。


 袴の丈が極めて短く、肉感のあるお尻や太ももを惜し気もなく晒していた。


 問題は上半身だろう。


 白い生地の乳暖簾のお陰で辛うじて隠れているが、少し身動きしただけで爆乳の先っぽがもろ見えしてしまうのだ。


 これはエロい。


 ドラゴン娘とエロ巫女服の組み合わせは中々どうしてそそるものがある。



「やはり素材がいいのでどのような服でも似合いますね。作り甲斐があるというものです」


「いやいや、シリルさんの腕前ですよ」



 本当にシリルさんは凄いと思う。


 屋敷の管理や食事の用意、ルナティアたちの服のお直しなど、とても一人にできる仕事量ではない。


 それを平然とやっているのだ。


 実は無茶していないかちょっと心配だったが、そういう様子も特にないし。



「んじゃ、お前らは部屋に戻ってろ。あ、マリーは残ってね」


「え!? わ、わたくしだけ、ですか?」



 マリーがビクッと肩を震わせて怯える。



「ちょ、ちょっとこの変態!! マリーに何するつもりよ!!」


「自分の格好を見てから言え、メイ。変態はお前だぞ」


「っ、ア、アンタが着させたんでしょ!!」



 メイが尻尾をピンと伸ばして威嚇してきたが、格好が格好なのでちっとも怖くない。むしろ――


 ばるんっ♡ ぶるんっ♡


 むしろメイの爆乳が馬鹿みたいに揺れるので、逆に笑えてきた。


 マリーを除くルナティア、メイ、テレシアは最後まで僕に抗議していたが、僕の命令には逆らえない。


 三人が大人しく部屋に戻った後、マリーが怯えながら問いかけてきた。



「ヒュ、ヒューガさん。わ、わたくし、何か粗相をしましたか?」


「してないよ? あ、別にお仕置きするから居残りさせたわけじゃないから。従順なマリーにはご褒美をあげようかなって」


「え? ご、ご褒美?」


「そ。ご褒美」



 僕はマリーを連れて食堂に向かった。



「こ、これは……」


「シリルさんの作った料理だよ。美味しそうでしょ」


「は、はい、とても」



 ルナティアたちに出されている食事はパンやスープといった簡素なものだ。


 彼女たちの食事と比べて、今食堂のテーブルに並ぶ料理はどれも手が込んでいて美味しそうなものばかり。



「ほら、マリー。好きなだけ食べて」


「ほ、本当にいいんですか?」


「もちろん。おかわりも自由だよ」


「……ごくり。い、いただきます」



 マリーはテーブルに並べられた料理を美味しそうに食べ始めた。


 そうだ、それでいい。


 俺を除く爆乳勇者パーティーの絆は固く、崩すことは容易ではない。


 だから少しずつその関係にヒビを入れるのだ。


 大岩を真っ二つにするために、釘をハンマーで少しずつ打ち込むように。

 少しずつ、慎重に。それでいて悟らせないように。


 そのための第一歩。


 今まで僕にパワハラしてきたツケを、しっかり払ってもらうのだ。






―――――――――――――――――――――

あとがき

ワンポイント小話

シリルの趣味は服作り。淫魔なのでデザインは絶対にエッになる。


作者の一言

週間ランキング45位、日間ランキング21位。面白いと思ったら是非★を!!


「伝説の鎧がマイクロビキニアーマーは草」「マリーかわいい」「シリルさんマジパネエッす」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。

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