2年前に日本国籍を取得し、22日投開票の東京都議選に挑んだ在日コリアン3世の金正則さん(70)は、選挙期間中に強い逆風と向き合った。交流サイト(SNS)上で「日本と日本人を恨む反日活動家」などと中傷され、差別のない社会を目指すという訴えも有権者に響かなかった。杉並区選挙区で17人中16番目の得票という厳しい現実に直面しつつ、「これからもやれることをやる」と自らに言い聞かせている。(佐藤航)
◆「面と向かって何か言われるというより…」
選挙期間中のある日。街頭演説をする金さんの元に、19歳の学生を名乗る青年が現れ、陣営スタッフにこんな話をしたという。
「自分は大学で政治サークルに入っていて、メンバーと議論することもある。自衛隊を差別する左翼は嫌いだが、穏やかに話し合いたいと思っている」
一見すると落ち着いた物腰だったが、スタッフが彼のSNSを確認すると、中傷を書き込んでいた。「キム・ジョンノリこと金まさのりは日本人を差別するレイシストです」
金さんは振り返る。「面と向かって何か言われるというより、誹謗(ひぼう)中傷はほとんどがSNSだった」。急増したきっかけは、同じ杉並区選挙区に出馬した新人候補の会見で、埼玉県戸田市の河合悠祐市議が金さんを名指しし、「売国奴とも言うべき候補者」などと表現したことだ...
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