静岡 伊東 田久保市長 “辞職し市長選挙に改めて立候補”

学歴詐称の疑いが指摘されている静岡県伊東市の田久保真紀市長は、7日夜、臨時の記者会見を開き、辞職勧告の決議案が7日の市議会で全会一致で可決されたことを受けて、速やかに市長を辞職し、市民の判断を仰ぐため市長選挙に改めて立候補する考えを明らかにしました。

伊東市の田久保市長の学歴詐称の疑いが指摘されている問題をめぐり、7日、伊東市議会の本会議で、市長に対する辞職勧告の決議案と、強い調査権限を持つ「百条委員会」の設置について全会一致で可決されました。

これを受けて田久保市長は午後7時半から臨時の記者会見を開き、冒頭で謝罪したうえで、速やかに市長を辞職し、市民の判断を仰ぐため市長選挙に改めて立候補する考えを明らかにしました。

会見で市長はみずからの学歴について、「東洋大学を卒業しておらず、大学の記録では『除籍』になっていた。市の広報誌に、『東洋大学法学部卒業』と記載していた件については、事実に反することを認めます。担当課で記事を作成する際、『卒業』と記載することを認めておりました」と述べました。

一方、みずからの認識については「6月28日に東洋大学の窓口に出向き、除籍であると確認するまで、卒業したと考えていた」と説明しました。

また、市議会の議長らに卒業証書だとする書類を提示していたことについては、「この卒業証書については卒業アルバムや在籍期間証明書、私の上申書とともに静岡地方検察庁に提出し、検察の捜査にすべてお任せしたい」としたうえで「私の中では本物だと思っているが、本物だとする証明が取れないので、こうなった以上、きちんとした捜査機関に調べてもらい結果をお伝えしたい」と述べました。

中島市議会議長「本当に勇気ある決断をしていただいた」

田久保市長が市長を辞職し、市長選挙に改めて立候補する考えを明らかにしたことについて、伊東市議会の中島弘道議長は、「悩んだと思うが、本当に勇気ある決断をしていただいた」と述べました。

そのうえで、設置が決まった百条委員会の進め方については、「市長による検察への上申や、刑事告発との兼ね合いで進め方を考えていかないといけない」と話していました。

==記者会見【詳しく】==

静岡県伊東市の田久保市長は、7日午後7時半すぎから臨時の記者会見を開きました。

【ノーカット動画】田久保真紀市長 会見

(※動画は56分。データ放送ではご覧になれません)。

「私の学歴問題で大変迷惑おかけした おわび申し上げたい」

静岡県伊東市の田久保市長は記者会見の冒頭で「私の学歴に関する問題でたくさんの市民や関係者に本当に大変迷惑をおかけしました。そのことに改めて深くおわび申し上げたい。本当に申し訳ありませんでした」と述べ頭を下げて謝罪しました。

「大学卒業 事実に反することを認める 卒業したと考えていた」

田久保市長は「東洋大学を卒業しておりませんでした。大学の記録では『除籍』になっています。市の広報誌に、『東洋大学法学部卒業』と記載していた件については、事実に反することを認めます。担当課で記事を作成する際、『卒業』と記載することを認めておりました。6月28日に東洋大学の窓口に出向き、除籍であると確認するまで、卒業したと考えていたからです」と述べました。

「卒業証書を検察に提出 捜査にすべてお任せしたい」

田久保市長は記者会見で市議会の議長らに卒業証書だとする書類を提示していたことについては「この卒業証書については卒業アルバムや在籍期間証明書、私の上申書とともに静岡地方検察庁に提出することにしました。卒業証書の方は捜査の対象として調べていただきます。検察の捜査にすべてお任せしたいと考えております」と述べました。

「地検に上申したのち速やかに辞任したい」

田久保市長は記者会見で、みずからの進退について「地検に上申したのち、速やかに辞任したいと考えております。地検に上申するためには、手続きと書類の作成でそれなりの期間が必要だが、必要な手続きを終えたら極めて短期のうちに辞任する」と述べました。

「辞任をして再度 市長選挙に立候補したい」

田久保市長は記者会見で「一度きちんと辞任をして自分の進退を決めさせていただいたのち、改めて市民の皆様の判断を仰ぐために再度、市長選挙に立候補したい」と述べました。

卒業証書だとする書類「私の中では本物だと思っている」

田久保市長は記者会見で、ことし5月、市議会の議長らに示した大学の卒業証書だとする書類について「私の中では本物だと思っているが、それを本物だとする証明が取れないので、こうなった以上、きちんとした捜査機関に調べてもらい結果をお伝えしたい」と述べました。

「検察に調べてもらうことは勇気がいる」

田久保市長は記者会見で「検察に調べてもらうことは勇気がいるが、市民に真偽を示すにはこの手段しかないと思って決断した」と述べ、検察への書類の提出は今後、10日から2週間の間に行いたいという考えを示しました

市議会 辞職勧告決議案を全会一致で可決

ことし5月に行われた伊東市長選挙で初当選した田久保市長は先月、発行された市の広報誌に「平成4年 東洋大学法学部卒業」と記載されていますが、市議会で学歴を偽った疑いがあると指摘され、市長は今月2日の会見で「卒業の確認はできず除籍されていた」と認めました。

これを受けて7日、伊東市議会の本会議で、市長に対する辞職勧告の決議案が全会一致で可決されました。決議案ではこれまでの市長の対応について「無責任かつ卑劣な人物が市長であり続けることを、市議会としては到底容認できるものではない」などと批判しています。

また、市長の経歴などを詳しく調べるために強い調査権限を持つ「百条委員会」の設置についても、全会一致で可決されました。

田久保市長は午後1時ごろ報道各社の取材に応じ「辞職勧告を重く受け止めている。進退については、このあとの会見でしっかり説明したい。除籍の書類については手元に届いたので、会見では実物を示してきちんと説明したい」と述べました。

また市議会の議長らに大学の卒業証書だとする書類を示したことについては「市民の皆様にしっかり分かるように会見で説明したい」と述べました。

【ノーカット動画】田久保真紀市長コメント(13時すぎ)

静岡県伊東市の田久保真紀市長は7日午後1時ごろから報道関係者の取材に応じました。(※動画は9分13秒。データ放送ではご覧になれません)。

市議会議長「最終的には不信任案の提出も」

市議会の終了後、中島弘道議長は、報道各社の取材に応じ「情けなくて涙が出てきた。市長にはしっかりと自分を見つめて、考えていただきたい。このような話で伊東市が全国的に有名になり、恥ずかしいかぎりだ」と述べました。

その上で今後の議会の運営については「最終的には不信任案の提出になると思う。市長が議会を解散するかもしれず、そうなると伊東市はよけい混乱する。到底許せず、辞職勧告を受けて身の振り方を決めてほしい」と述べました。

市長を公選法違反の疑いで刑事告発

田久保真紀市長の一連の騒動を受け、伊東市の会社経営者の男性が警察に公職選挙法違反の疑いで刑事告発しました。

ことし5月に行われた伊東市長選挙で初当選した田久保市長は先月、発行された市の広報誌に「平成4年 東洋大学法学部卒業」と記載されていますが、市議会で学歴を偽った疑いがあると指摘されました。これについて市長は今月2日の記者会見で「卒業の確認はできず除籍されていたことがわかった」と明らかにしていました。

この問題をめぐり、田久保市長が市長選挙の際に報道各社向けの経歴票に「東洋大学卒」などと記載し、虚偽の情報を公にしたことは公職選挙法違反の疑いがあるなどとして7日、伊東市で建設会社を経営する男性が警察に刑事告発しました。

伊東警察署で告発状を提出した山口喜廣さんは、報道各社の取材に応じ「田久保市長は自分の都合のよい解釈に終始している。伊東市民のみならず国民が注目している問題なので真相が明らかになってほしい」と話していました。

市長はこれまでの会見で「大学卒業の経歴は、選挙中にみずから公表していないので公職選挙法上は問題ない」と説明しています。

市職員労組 謝罪・詳しい説明求める要請書

学歴詐称の疑いが指摘されている田久保真紀市長に対し、伊東市の職員の労働組合は「職員の中にも動揺が広がり、不安を抱えたまま業務を遂行している」として謝罪や詳しい説明を求める要請書を手渡しました。

7日午前、田久保市長の元を訪れたのは「伊東市職員労働組合連合会」のメンバーで、齊藤勝巳中央執行委員長が一連の問題について市長に謝罪や詳しい説明を求める要請書を手渡しました。

要請書では「市長の学歴詐称問題が連日のように報道され、市民の間に混乱と落胆、怒りが広がっている。同時に市の職員の中にも動揺が広がり不安を抱えたまま業務を遂行している状況だ」としたうえで「問い合わせや苦情を受け付ける部署の職員は通常業務が遂行できず疲弊しきっている」と訴えています。そして「市長は事の重大さを受け止め、市民や職員に速やかに謝罪し、納得のいく説明とみずから招いた責任の所在をどう取るのか、速やかに明確にすることを求める」としています。

要請書を受け取ったことについて、田久保市長は「いろいろとご迷惑をおかけして申し訳ありません。議会の決定と合わせて早急にどのようにするのか決めて説明したい」と述べました。

市民の反応は

田久保真紀市長に対する辞職勧告の決議案が全会一致で可決されたことについて、市内で話を聞きました。

60代 女性
「選挙の演説内容を聞いて、伊東市の将来を考えているなと思って田久保さんに投票しましたが、このような問題が起きてショックです。辞職勧告を決議した市議会の判断はしかたないと思います。市長には正直にすべてを話して謝罪し、身を正してもらいたいです」

70代 男性
「自分が大学を出ているか出てないかくらいは、わざわざ大学に確認に行かなくてもわかるのでやはり、ごまかしていたのかなと思います。だますのはよくないので早く辞めたほうがいいと思います」

50代 女性
「田久保さんは市民のために一生懸命やってくれる人だと思って投票しました。議会から辞職勧告を受けたことはしかたがないと思いますが、人には誰しも失敗はあるので、次のチャンスを与えてくれるような世の中になってほしいです」

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