日本を滅ぼす研究腐敗――不正が不正でなくなるとき(33) 5章 絶対にあきらめない精神 6
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そして、告発2の「1兆円」の誤記が一致した問題だ。これに関しても訴訟のなかで不可解な調査実態が明らかになった。私が雑誌『選択』に書いた記事を読まずして類似た文章が出来上がり、さらに、2010年度期末における民間銀行が日本学生支援機構に貸し付けた残高を「1兆円」と誤って書いた(正しくは3800億円)点までもが一致した理由について、大内教授は弁明書でこう述べている。
大内裕和「教育における格差と貧困 「貧困ビジネス化」した奨学金問題から考える」(奨学金問題対策全国会議編『日本の奨学金はこれでいいのか!』第1章を書く時点では、雑誌『選択』に掲載されていた記事の存在、またその執筆者が三宅氏であることを知らなかった。
…「…1兆円」については、独立行政法人日本学生支援機構「平成22事業年度 事業報告書」16頁に「1,176,467百万円」と記載されている。
22年度事業報告書――これは中京大の調査では行っていなかった説明である。そこで、大内氏が指摘する事業報告書の該当部分を確認してみた。そして(いい加減なことを言ってごまかしている)とあきれた。
事業報告書に記載された「1兆0176億円」は「長期借入」だ。民間銀行からの借り入れとは書かれていない。しかも期末残高は「6兆3981億円」とも書かれている。この記載からいったいどうやったら「2010年度期末の民間銀行からの貸付残高はだいたい1兆円」という、私の記述と同じ記述が生まれるというのか。ありえない。見え透いた嘘だ。
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