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アーティストライブの地方開催の夢と限界―ライブエンタテインメントの地域格差 #エキスパートトピ

濵田俊也文京学院大学教授(マーケティング戦略)、プロデューサー
提供:イメージマート

アーティストライブの地方開催の減少が話題になっています。ファンの熱量は高くとも、また各エリアのライブエンタテインメント関係者が望んでも、あまりライブが行われないという印象を、さまざまな地域のファンやライブエンタテインメント関係者が感じています。

いくつかのニュースでは、アーティストがライブを地方開催できない理由として、大きな会場が用意できない、ということを挙げています。本稿では、広島(上から1番目の記事)、名古屋(2番目)、関西(3番目)を紹介します。

ココがポイント

「コンサートが『広島飛ばし』にされて少ない。就職を機に転出も考えている」と話し、有料興行の制限緩和を求めた
出典:中国新聞デジタル 2025/5/20(火)

名古屋のコンサート運営会社は「名古屋飛ばしの実感はないが、ハコがないため名古屋公演を見送るケースはある」
出典:東海テレビ 2025/6/21(土)

このまま一極集中が進行した場合、『大型公演の関西飛ばし』が更に加速することは間違いなく、関西のエンタメの衰退を危惧する
出典:朝日新聞 2025/7/6(日)

エキスパートの補足・見解

地方でのライブ開催は、アーティストにとってはファンの裾野拡大といった面で意義がある一方で、興行としての採算性に大きな課題が残ります。最大のネックは、地方における会場のキャパシティの問題です。大型のアリーナやホールなどが都市部に集中するなかで、地方では中規模・小規模のホールが中心となっており、チケット売上や物販収入にも限界があります。

各地域にとってエンタテインメントは地域振興の有力な方法です。しかし大規模ホールの新設は簡単ではありません。こうした問題に対処するには、収益性確保のための公的支援と、地元企業との連携の紹介・あっせん、ライブビューイングや配信などのハイブリッド型収益モデルへの支援などが必要でしょう。

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文京学院大学教授(マーケティング戦略)、プロデューサー

番組・動画・イベント・クリエイティブ関連を中心に、エンタテインメント全般関係のマーケティングの解説を行います。 大学で教員としてマーケティングの理論研究と教育を行い、テレビ局で番組・フェスプロデューサーとして実務活動してきました。経験に基づくわかりやすい解説に努めます。 文京学院大学経営学部教授(マーケティング、消費者行動、マーケティングコミュニケーション)、京都大学博士(経済学)、プロデューサー(〜16 TOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)総合P)。主な研究と活動の領域は、心理変容・行動変容、エンタテインメント(番組、動画、イベント、アイドル、ゲーム、ゲーミフィケーション他)

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