20-2 精霊達の祝福
なろう運営「作者、あなたは健全ですか?」
作者「はい、健全です」
なろう運営「健全は義務です」
……なんのことか分からないと思いますが、察してください。
ナキナの城を出て街に出た。狭い城内に留まっていては皐月達に捕まってしまう。
どこか隠れられる場所を探して今夜はそこに潜む。異世界はサバイバルなので安全に眠れる場所を探さなければ。
「そこにいるのは御影ではないか」
王都の南側に到着すると見知った顔と出くわす。
カメレオンに乗ったジャルネが夜の街を散歩している最中であった。護衛でガフェインとローネ、お馴染みのメンバーを揃えている。
「名前と仮面を変えただけではなく、雰囲気も若干変わったようじゃな」
「こんな夜更けにジャルネはどうしたんだ?」
「レオンと散歩じゃ。流石に日中は人目があるゆえ、夜に乗ってやっておる」
淫魔王の眷族であったカメレオン。今はジャルネの従僕として付き従っているようだ。精霊帝国から脱出する際にも透明化スキルで役立ったらしい。
淫魔王は好んで子供の背に乗っていたが、カメレオンも誰か人を乗せる憧れがあったらしくジャルネを背に乗せていた。
「そうだ。今日は獣の種族のテントで眠らせてくれないか?」
「なんじゃ。自分のところの嫁達を放り投げて、わしのところを訪ねてくるのは節操がなくないか」
「……俺はアニッシュと違ってまだ結婚していない。ぎりぎりセーフだと思う」
「むしろ不誠実ではないか」
ちなみに獣の種族は一夫多妻も一妻多夫も一般的なようだ。部族によって異なるようだが、ジャルネが属する鹿の部族は一夫多妻らしい。
「良いか。男は甲斐性の分だけ家族を養わなければならぬのだ。特に強い男ならば義務と言って良い」
「あ、あのジャルネさん?」
「人数がいれば魔族の襲撃にも耐えられる。耐え切れなくても一人ぐらいは生き残るかもしれぬ。わしのようにな」
ジャルネは若くても――というかまだ幼いのだが――種族をまとめる代表だ。若者の誤りを正そうと部族の知恵を披露する。
「文化が違い過ぎる。誠実さとかを考慮したりは?」
「誠実さよりも魔王を考慮するのが先であろうが」
ごもっとも。
「よし、御影の考えを正してやろう。救世主職が相手となれば、一声かけるだけでも多数集まる事だろう」
何やら話が妙な方向に向かってしまっている。俺はただ寝る場所を貸して欲しかっただけなのに、ジャルネは獣の種族の女性を集めようとしていた。
「子供の世話が面倒であれば認知しなくても良いぞ。お主はただ楽しめば――」
「失礼しましたっ!」
獣の種族は駄目だ。ジャルネはまだ幼くて安牌だと思っていたが、お節介な性格が災いした。逃げなければ明日、女を紹介されていたと伝わって殺されてしまう。
続いて訪ねたのはヘンゼルが泊っている宿である。
金の亡者なので助けを求めるためには現金を必要とするが、逆に言えば現金さえ用意しておけばビジネスなやり取りが可能な相手でもある。
「ヘンゼル、良いか?」
「鳥系ではなくなったお客様でありますね。どうぞ、であります」
片目を隠さなくなったヘンゼルが室内へと案内した。
ヘンゼルは魔族と正体がバレた後もナキナに残っている。アニッシュ達には報告しているが、ジャルネのカメレオンという前例がある。魔族が土地神になった前例さえあるので特に問題はならなかった。
オルドボ商会を辞めた今はフリーの商人職でしかないが、ナキナお抱えの商人になるかは交渉中らしい。
「金を払うからここに泊めさせてくれ」
「聞く人によっては恐ろしくゲスな商談であります。良い、であります」
流石はヘンゼルである。男を泊めるのにも躊躇がない。
「……待った。皐月に掴まされた金貨の枚数を教えろ。その倍を払おう」
「カンの良いお客様は大好き、であります。ちなみに金貨十枚、であります」
一マッカルがだいたい一万円計算となる。
一泊二十万は高過ぎる出費だが安眠のためだ、払おうではないか。流石に二十枚を越えると持ち合わせがなかったので諦めるしかなかったが。価格設定が絶妙である。
「ふう、ようやく落ち着ける」
簡素な室内の床に座れる。それだけでも幸せを感じてしまう。
「お客様がどうして逃げるのか分かりかねます」
「別に皐月達がどうこうという訳ではない。地球から俺を助けにきてくれるぐらいに熱心になってくれているのは素直に嬉しいさ」
「では何故、であります」
「記憶を失っている間にアイサが同じぐらいに俺を慕っていた。まずはアイサと話して、皐月達とも交渉するのが先決だろ」
魔法使い組とエルフ組。俺を狙っているグループは大きく分類すると二つになる。
痴情のもつれによる殺人事件は想像以上に多い。両グループが争わないように話し合っておかないと最悪味方同士で殺し合い、俺達は魔王と戦う前に崩壊してしまう。
「分かりました、であります。現地妻の認知を皐月にさせて、気楽になってから手を出したい、でありますね」
ヘンゼルはまったく理解していなかった。いや、分かっているのかもしれないがもう少し言葉を選んで欲しい。
「アイサはあれで頑固だから、レベル差があっても皐月達に意地を張る。それが可哀想だ」
アイサにリリームが加わっても戦力差を埋める程にはならない。せめて、魔法使い組とエルフ組の戦力が拮抗していればアイサが焦って夜に動かず、即発されて皐月達も動く事もなかったはずなのだ。
どうにかならないものかと悩んでいると……ドアからノック音が響いた。
「皐月だけど、御影来ていない?」
ヘンゼルの左右で色の異なる瞳が、俺の顔をじぃーと見てくる。俺は当然、首を左右に大きく振る。
「いない、であります」
「そう」
よし、危険は過ぎ去った。安全は金で買えるんだ。
「あのー、ラベンダーだけど。御影いる?」
皐月に続いてラベンダーまでやってくるとはしつこい。金で買った安全の前では無駄だというのに。
「いる、であります」
「はぁっ?!」
たった数秒間で安全神話が崩れ去った。裏切ってくれたヘンゼルに契約違反ではないかと抗議する。
「お客様は皐月の分の代金しか払わなかった、であります。ラベンダーは契約外、であります」
……確かに、皐月からは俺を匿ってくれていたな。契約違反をしていないが……納得したくない。
「おい、ラベンダー!? こんな馬鹿げた金の使い方をするなんて、何を考えている。四人の魔法使いの中では一番まともだと信じていたのに!」
扉の向こう側で『魔』が高まる。今すぐに『暗影』で脱出だ。
「みーかーげー? 炎の魔法使いがクレイジーだってェ?」
「御影が私を常識人って評価してくれていたのは嬉しいかな」
やはり金さえあれば何でも買えると思っている商人は当てにならない。今度は聖職者の所に向かってみよう。
「ご訪問されるとは分かっていましたわ。そう、『神託』で!」
教国のエリアに入ると、ナイトドレスを着たリセリが俺を出迎えた。寛いでただろうに迷惑をかける。
「いえ、教国の人間が救世主を蔑ろにするはずがありませんわ。ささ、どうぞ」
ナキナにおける精神的な支柱であり、ストレスレスレスなナキナの中で唯一心を安らげてくれる女性として人気が急上昇している女性。それがリセリだ。
いつもはバトルシスターの服装――鉄板入り――でいるリセリであるが、私室の中ではラフな格好でいるようだ。
「教国には俺と同じ救世主職だった人の祭壇があるのでしたっけ」
「白い団円形の建物全体が祭壇になっています。巡礼地としても観光地としても人気のスポットになっていたのですよ」
魔王連合が人類圏に侵攻している現状ではどうなっているのか分からないが。
オリビア・ラインが崩壊した事により人類圏の情勢が判明しつつある。暗いニュースしか集まっていないようだが、魔王連合の主力は人類最大国家である帝国のほぼ全土を支配してしまったらしい。周辺の小国も帝国と一緒に滅ぼされてしまった。
今はリセリの故郷、教国を中心に抵抗を続けているらしいのだが、人類国家の多くが自国防衛に専念しているため連携がまったく取れていない。
「暗いニュースばかりではありませんわ。御影様がエクスペリオを倒したお陰で、魔王軍の侵攻が極端に鈍ったようなのです。以降は大規模な戦いは発生しておらず、人類は休息を得る事ができました」
「魔王連合にもかなり打撃を与えていますから、モンスターの数はあっても司令官が不足しているのでしょう」
「まさに救世主的な活躍です。……思えば、この私も吸血魔王の手からお救いくださいましたわ。今度は祖国まで。もう、どのようにお礼をすれば良いのか」
リセリがうっとりした表情で俺を見詰めてくる。銀髪と黒いドレスの組み合わせはなかなかに反則で、黙っていなくても綺麗と評判とリセリの色香を補助していた。
暗い部屋に年頃の男女が二人。
「……くす。こうして二人だけでいると、緊張してしまいますね」
「そ、そのようで」
「この胸の高まりは信仰の対象である救世主様と対面しているからでしょうか? それとも、数々の魔王と戦い続ける強い男性に恋焦がれているからでしょうか?」
……ふむ。助ける相手を間違えなかったが、そもそも女一人の寝床に助けを求めるのが間違っていたか。
「よ、用事を思い出しました!? 今晩はこれにて」
「御影様ぁぁ」
リセリは猟犬のように追走してこない分ので、やはり常識人だ。
「ああ、男は良い。男同士は最高だ」
「お前な……。妙な事を口走るなよ」
助けを求めるべき相手は最初から一人だけであった。
ペーパー・バイヤーこそが俺が唯一頼れる親友だったのだ。どうして最初からこの駆け込み寺へと向かわなかったのか不思議でならない。
就寝直前だというのにペストマスクを付けている奇妙な男であるが、その程度の欠点は気にしないでおく。
「お前達はその元気を世界のために活用しろよ。魔王連合はまだ残っているんだぞ?」
「残りは四体で半分は切った。四体の内の二体、迷宮魔王と墓石魔王は情報が集まってきているさ」
去年の今頃まではこうして二人で何をするでもなく語り合っていたものだ。話題は選ばない。
「気楽なものだな。『カウントダウン』は続いている癖に」
「このスキル、やっぱり不気味だよな」
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“●カウントダウン:残り十年と六月”
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意味深なスキルの残り年月は怨嗟魔王が消えても変化しなかった。教国に行けばこのスキルの意味が分かるらしいのだが、ゼナは勧めていない。
とはいえ、いつまでも放置していられないだろう。人類圏を魔王連合から解放した後にでも訪問してみるか。
「……それで、お前の本命は誰なんだ」
あれ、世界情勢や魔王とか、真面目な事を考えていたはずなのにペーパーが何か口走ったぞ。
「な、お前には関係ないだろっ」
「こうして俺の部屋に逃げ込んでおいて関係ないはない。ほら、言えよ。言った相手の始末……もとい説得ぐらい手伝うぞ?」
「必要ないって」
「何だよ。言えって」
「しつこいな」
「ほらほら、言って楽になれよ」
ペーパーはこんなに察しが悪い奴ではなかっと思うのだが。俺が言いたくないという雰囲気を醸しているのに追及してくるはずがない。
あれれ、おかしいな。
「ふむ……もしもし」
おもむろにスマートフォンを取り出すと、電話帳を開いて選択、通話を開始する。
「ペーパー。今どこにいる?」
『はあ? お前が今夜は車で寝ろって忠告してきたんだろうが』
ペーパー・バイヤーは外に駐車しているL‐ATVにいた。
では、目の前にいるペーパー・バイヤーは何である?
「お前っ、黒曜だろっ!!」
一気に近づいてペストマスクを剥ぎ取った。鳥の怪人のようなマスクの下に隠れていた素顔は、褐色美人の悔し顔である。
「本人に連絡するとは卑怯なッ」
「黒曜こそ俺の親友に化けるなよ!」
まさかペーパー・バイヤーすら信用できないとは思わなかった。ナキナに安息の地はないのだろうか。
俺が最後に頼ったのは年の功、御年二千歳のゼナである。
近所への迷惑を考えず、エルフ居住区の屋敷の扉を叩きまくる。
「助けてくださいっ、助けてくださいっ!」
「御影か。救世主を泣かせる程に追い詰めるとは何があった??」
女性を頼るとリセリの時と同じ悲劇が起こる危険はある。が、相手は俺の百倍以上の時を生きるエルフ。俺など子供にしか見えないはずだった。
助けを求めて室内に案内されると、小さな丸テーブルの上に酒が注がれたグラスが置いてあった。どうやら一人で晩酌を楽しんでいた最中だったらしい。
「酒を飲まれるのですね」
「偶には飲みたくなる日もある。総人口の三割が森を嫌がるようになってしまった日は特にな」
非難の込められた目線を見ないようにする。全部エルテーナが悪いのです。
椅子が一つ増やされて、グラスも用意される。晩酌に誘われたので拒否はしない。
「あ、美味しい」
「そうであろう。魔界の奥地でしか取れない天然物の酒だ。味もそうだが効能も独特でな。人の手で熟成されたものとはまた異なった趣がある」
果物が自然発酵した酒らしい。アルコール度数はそこそこ高いが、喉が焼けるような味ではないので簡単に飲めてしまう。飲むと心の奥底が温まる。
あまりにもおいしかったために、一口で飲み干してしまった。透明な氷をグラスに投入し、新しく蜜色の酒を注ぐ。
「長年生きているが、黒曜の存在は一切気付いていなかった。森の種族から救世主職が誕生していたのは喜ばしい限りであるが、トピューアが捨てた子であったというのは痛恨だ。恨まれていても仕方があるまい」
「黒曜は口で言う程に森の種族を恨んではいないと思いますよ」
「それが救世主の資質というものなのだろう。恨むべき相手を恨まない心根の優しさが救世主職にはあるのだ。が、それに甘えてどうするというのだ」
「いやー、照れます」
「救世主全般がそうであるとは言っておらんぞ。まったく」
ゼナが酒を飲み干したので、俺も続けて飲み干す。一緒に用意した方が手間がかからない。
「私のような者は早く引退して、森の種族は世代交代をするべきだったのだ。私以外の誰かであればエルテーナの台頭を許さなかったはずなのだ」
「ゼナはうまくやってきたと思いますけどねー」
「何もできておらんのだ。結果、タイムリミットは近づいておる。この先にある苦難を黒曜とソナタの二人に任せねばならんのは心苦しさしかない」
「この先ー?」
あ、もうグラスが空だ。注がないと。
「原型一班の面々が狂う程に悲観した脅威が残りたったの十年で現れる。私にできる事はお前達を信じる事だけだ。頼む、この世界を救ってくれ」
「このグラスを注いでくれー? 了解でーす」
あれ、まだ飲み切っていないはずなのに。まあ、今ある分を全部飲んでから追加すれば良いだけか。
「残り十年。これは悲劇だ。一年後であれば人間族の肉体の全盛期に到達したソナタが戦えた。二十年あれば救世主の血を受け継ぐ子世代と共に戦えた。が、十年後ではどちらの時期にも該当しない」
「子供とかまだ早いでーす。三十代でも現役でーす」
「泣き言を言っても始まらん。『カウントダウン』の年月が十年伸びる事を期待して、動かねばならぬ。とはいえ、二千歳の年の差があっては辛かろう」
氷、酒、注。
「二千歳ぃ? 大丈夫、大丈夫。ゼナはまだまだ美しい!」
「そ、そうか。ソナタと黒曜の子の話だったのだが、私でもいけるか?」
「いける! いける! 何か分からないけどいけば、いける!」
「ふ、ふむ。では私も参加するとしようか。騙した訳ではないが、森の種族に伝わる子作り酒をソナタに飲ませてしまった責任を取ろう!」
…………ぐぅ。
▼▼▼
酩酊してしまった意識。蜜色の液体に浸った脳細胞は心地よさに支配された。
体中が熱くてたまらないが熱っぽい訳ではない。むしろ元気になってしまって落ち着きがない。
「二人共、もう隠れていないで出てくるが良い。御影は完全に酔いつぶれた」
ゼナと一緒に飲んでいるのだから、ゼナの声が聞こえるのは当然だ。
「……本当に酔ったのでしょうか。御影様には『耐毒』スキルがあったはずです」
「『鑑定』発動……うん、大丈夫。ステータス異常『酩酊』になっているよ」
ゼナ以外の声が言う通り、アルコール毒素ぐらい『耐毒』スキルで簡単に打ち消せるだろうが、何故そんな勿体ない事をしなければならない。酒で酔っぱらって何が悪い。スキルを使用するのは二日酔いになってからだろう。
「御影は六杯は飲んでいる。子作り酒の性質上、六回達するまで酩酊状態が解除される事はないが、邪魔が入る前に素早く済ませるとしよう」
絹が擦れるような音がして、服が床に落とされるような音を耳にする。それが合計三回も。どうやら俺の聴覚は酔ってしまっているらしい。
「リリームは足を持て、私とアイサで上半身を支えるぞ……待て、そこを掴むのは後だ」
酔ってしまった俺を皆がベッドまで運んでくれる。……皆?
「男子が欲しいものは子作り酒を飲め。その間に準備を済ませておく……ん」
全自動で服まで脱がせてくれるのはありがたい。シワになるといけないからね。
「御影よ。今日だけは私をゼァミリアと呼んでくれぬか?」
「ゼァ……ミリア?」
「そうだ。ゼァミリアだ。口を奪うぞ。ん」
甘ったるい酒を飲んだばかりだというのに、もっと甘い蜜を飲まされる。体が更に熱くなっていくので飲まされたのは蜜ではなくガソリンだったのかもしれない。
ひんやりとした感触が唇から首筋、胸を伝って下っていく。熱いからもっと冷やして欲しい。
「ゼナ様。どう扱えば??」
「優しくしてやれば良い……らしいがな。すまんが知識しか持たぬ。工夫せよ」
「ぼ、僕がしてみます! 地球知識のドージンなるものに、何故か大量に森の種族を題材にしたものがありました!」
「よし、任せる。やってみせよ」
「行きます! 噛み千切るくらいに、全力で!」
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“『一発逆転』、どん底状態からでも、『運』さえ正常機能すれば立ち直れるスキル。
極限状態になればなるほど『運』が倍化していく”
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●運:219 = 119 + 100”
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身が一部噛み切られる危険性に理性ではなく本能が反応した。避けるべく体を転がす。
「どうして僕から逃げるの、凶鳥!?」
「アイサ。優しくとゼナ様が言っただろ」
「じゃあ、姉さんがしてみてよ」
「任された。がぶりッ」
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●運:319 = 119 + 200”
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再び寒気がして身が縮む。今の俺は恐ろしくヤバい状態なのではなかろうか。
「愚か者共。まずは警戒を解くために舌と舌を絡めて、ん、えろぉ」
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●運:119 = 119 + 0”
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あ、やっぱり心配いらなかったんだ。
「ゼナ様流石です」
「こ、今度は僕もうまくしてみせます」
「……んむ。良いか。これは世界を救うための儀式なのだ。御影の意識を無視した卑劣な行為であるゆえ、せめて、御影の趣向は尊重せよ」
「は!」
「分かりました!」
酔っぱらった状態でも心地良いというのに、これから更なる極楽を体験できそうな予感に心が弾む。
……けれども、本当にこれで良いのだろうか。分からない。
「――このッ、盛ったエルフ共がァァ! パパから離れろ!!」
分からなかったから、誰かが乱入して俺を救出してくれたのは嬉しかった。