管理費0円の賃貸管理会社に任せた末路、という内容をお話しさせていただきます。
読者の方の中には、賃貸管理会社に物件の募集や管理をお任せしている方も多いと思います。賃貸管理費は、一般的には家賃総額の5%程度です。
空室リスクがなくなる一括借り上げ(サブリース)契約だと家賃の20%~30%程度、サブリースまでいかなくても手厚い賃貸管理の場合は10%程度の事もあるでしょう。
「管理費がもったいない!」と思う場合は、自主管理が一般的です。
自主管理も良いのですが、ゴミの不法投棄や入居者の夜間クレーム、緊急対応等で大家のストレスが大きくなるのは当たり前です。
■管理費0円の会社のビジネスモデル
ではどうしたら良いのか。「管理費はもったいないし、自主管理もしんどい」という人向けに、最近では賃貸管理費0円(以下0円管理)をうたっている会社が少しずつ増加してきています。
そのような会社は、どのようにして利益を出しているのでしょうか。
1つは更新料収入です。
管理物件が増加してくると、更新料収入だけでも毎月それなりの数字になってきます。
例えば3,000戸管理している賃貸管理会社の場合、家賃を平均8万円程度とすると(1Kから4LDK等ファミリークラスまでの平均値)、2年間で約1億2千万円の収入です。
これだけでも毎年に直すと6千万円ですから、諸経費はかかりますがかなりの収益になる事でしょう。
加えて空室物件の募集時には、成約時の話にはなりますが広告料を1ヵ月分いただけます。
他には、火災保険料の代理店収入や、引っ越し会社と提携して紹介料を頂く、地味な分野にはなりますが置き薬の紹介や飲料水定期購入の紹介なども、収入が見込めるでしょう。
更には、リフォーム会社からの紹介料収入も、期待できます。大家さんは、つい入居者さんが退去した後のリフォームを、賃貸管理会社に任せがちです。
繁忙期でしたら費用よりまず工期優先という事になるし、例え閑散期の場合でも「このリフォーム費用、ちょっと高いなあ。でも管理会社には、いつもお世話になってるからなあ」という気持ちになるのが、人間の感情としてむしろ当たり前なのかもしれません。
こうして大家さんが管理会社にリフォームを発注すると、当然ですが下請けの施工会社から管理会社に、紹介料が支払われます。ですので、管理費を取らなくても賃貸管理会社として充分ビジネスになる、という事が解ります。
これは以前から感じていたことですが、腕利きの収益物件売買営業マンの中に、「将来の夢は賃貸管理会社を興して、安定したビジネスを展開したい」という気持ちを持っている方が少なくありません。
売買仲介料や、大家さんになって家賃を頂くのも悪くはないのですが、いずれは賃貸管理会社になって管理物件を1,000戸位に増やし、自分は賃貸物件を持たなくても、充分かつ安定した管理収入を得たいという考えなのでしょう。
管理物件が1,000戸で、その平均家賃が8万円だとしたら、毎月家賃は約8,000万円です。
この場合は管理費5%で、毎月400万円の収入になります。
当然他に、更新料や各種紹介料収入も見込めます。
何もリスクを冒して、物件の売買や物件所有をしなくても「物件の管理をしているという無形資産だけで、収入を毎月安定して得る」というのが賃貸管理会社としては理想形のビジネスモデルなのです。
このような理由から、賃貸管理費0円でもビジネスモデルとして成り立つことがわかります。
■管理費0円の管理会社に管理をお願いしてみた
しかし、管理は安いだけでなく、質も大切です。
実は私は近年、この0円管理のなかで某社と管理委託契約を交わし、管理をお任せしてみました。
感想をざっとお話ししてみようと思います。
1)担当者がすぐ辞めてしまう
→やはり少子高齢化の影響で、若手の採用が難しくなっているようです。良さそうな担当者だなと思っても、すぐに辞めてしまうケースが少なくありません。特に、新興賃貸管理会社ではこの傾向が強い、と感じています。
2)連絡が遅い担当者も少なくない
→責任感がない担当者だと、折り返しの電話がない事やメール返信が無い事もよくあります。
3)リフォーム費用は割高な気がする
→賃貸管理費無料な分、他で当然収入を得ようとしているので、リフォーム代が高いと感じています。
例えば都内のワンルームをクリーニングする場合、通常は2万円~2.5万円程度だと思うのですが、0円管理の見積もりだとこれが3.5万円だったりします。
4)結局、手厚い管理ではない雰囲気
→信用状態がよく判らない人を普通に客付けしてきたので、「大丈夫なんですか?」と訊くと、「保証会社の承認はおりましたし、私が管理しますので」と言うので、入居させたのですが、管理するはずの担当者は早々に転職してしまいました。
頼みの保証会社も「家賃を入居者が滞納したので現地確認したら、別人が住んでいた。入居者が勝手に入れ替わっているので、家賃保証はしません」となり、私が致し方なく今もその部屋だけは、家賃集金や督促を行なっています。
5)出張時は助かった事も
→私の場合、遠方に出張している時に限って、「エアコンが壊れた」「給湯器が故障しました」となるケースがあります。こんな時に緊急手配をこなしてくれたので、私が電車内で焦らずに済み、この時は対応してくれた事について、心から担当者に感謝しました。
6)募集はレインズ中心
→老舗の賃貸管理会社だと、提携している大学や会社に太いパイプがあり、レインズに頼らなくても迅速な客付けをしてくれる場合があります。
好立地に店舗を構えていて、フリーのお客さんが多数来店するケースもあるでしょう。新興の0円管理の場合は、どうしてもレインズ中心で客付けするので、時間がかかる時もあります。
7)良い施工業者とのコネクションがない
→老舗の賃貸管理会社の場合は、地場の工務店に太いパイプを持っている事が多いです。この場合は、例えば漏水したとか雨漏りした等、少し厄介な工事でも迅速に引き受けてくれたりします。0円管理の場合は、これが決定的に不足しているように感じています。
もちろん、クロスを張替えとかクリーニングとかペンキを塗る位の簡易施工は問題ないのですが、私が委託した0円管理は本格的な排水管漏水時には対応できる協力業者がいなかったので、本当に困りました。
8)自分でも管理するなら、0円管理も悪くはない
→上記の欠点を補うべく、例えば頼りになる工務店とはあらかじめ懇意にしておく事や、退去時のリフォームを業者任せにしない、いい加減な担当者の場合はきちんとクレームを上司に入れる等をすれば、0円管理も一つの選択肢かなとは感じています。
■まとめ
結局、賃貸管理費はその管理会社が長年培ってきた人脈や地縁を買う事と同義かなと、最近改めて感じています。
商流や人脈を作る事は、当たり前ですが、一朝一夕にはできないのです。このおすそ分けにあずかれるなら、賃貸管理費を支払う意義もまたあるのかなと思うのです。
0円管理の場合は、自分でもこのような商流作りや人脈作りを継続していく必要性があるのかなと感じますが、その分、管理費は無料なわけで、これは大家の考え方次第かなと感じています。
私も、今後とも0円管理と一般的な管理会社、両方と良いお付き合いを継続しながら、不動産運営を進めていくつもりです。
物件管理上の参考に多少でもなれば、幸いです。