第2回自民党に関係断たれた教団 続く個人的関与、政治との「距離」を模索

笹山大志

 5月、中部地方のある都市で、自民党公認として参院選に臨む立候補予定者の事務所開きがあった。応援に駆けつけた衆院議員は、支援者でごった返す会場に「いるはずのない」数人と目が合い、ばつが悪い思いをした。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体である「世界平和連合」の関係者だった。

 自民は2022年7月に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件を受けて、教団や関連団体との関係断絶を宣言。この議員も教団との付き合いを断ち、しばらく送られていた広報誌の受け取りを拒んだ。

銃撃事件から3年

 安倍晋三元首相(当時67)が参院選の演説中に撃たれ、死亡した事件から8日で3年となる。解散を命じられた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)がいま何を考え、どこに向かおうとしているのかを連載で描く。

 だが、教団の関係者は過去の自身の選挙の際に労を惜しまずボランティアに励んでくれた人たちでもある。組織として関係を断っても、個人的な付き合いを完全になくすのは難しい。

 人前で握手はできない。とは言え、無視もできない。議員は教団関係者に軽く頭を下げ、そそくさとその場を離れた。

 教団創始者の文鮮明(ムンソンミョン)氏は、「共産主義に打ち勝つ」として1968年に政治団体「国際勝共連合」を設立し、日本政界との関係を深めてきた。自民との結びつきを強めるため、とりわけ岸信介氏、安倍晋太郎氏、安倍晋三氏という3代の政治家を重視してきたことは、教団の資料や証言から明らかになっている。

 国際勝共連合の渡辺芳雄会長は今月、朝日新聞の取材に応じ、現在の自民との関係について「組織的なつながりはない」としたが、一方でこうも語った。

 「それぞれの地域で個人的な関係はあるだろう」

あきらめない関係修復

 安倍氏の事件以降、国際勝共連合の活動は街宣や集会が中心だ。それでも、共産主義と闘うことや憲法改正の実現、同性婚合法化の反対などを進めるため、政界に働きかけることは否定しない。団体ウェブサイトの活動内容には、いまも「国会議員・地方議員・各界有識者に対する政策提言」の一文がある。

 自民との組織的な関係維持が厳しくなった教団は、自民以外にも関わりを広げようとしている。今回の参院選で支援を決めたのは、政治団体「NHK党」の現職議員だ。NHK党の立花孝志党首は6月13日の会見で「教団の応援をいただく」と認め、信者らに投票を呼びかけるはがきを送るとした。

 ただし、自民との関係修復をあきらめたわけではない。渡辺氏は「自民は保守政党の柱であり、必要な政党だ。政権交代が起きないようにしないといけない」としたうえで、こう強調した。

 「自民には、がんばってもらいたい」

自民への思い「複雑」

 安倍晋三元首相が銃撃された事件は、8日で3年を迎える。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好政治団体「国際勝共連合」の渡辺芳雄会長は2日、朝日新聞のインタビューに応じ、政治との「距離」について語った。

 ――現在の自民党との関係は。

 完全に断絶しており、組織的な関係は全くない。ただ、(自民議員のなかには)関係断絶宣言はやりすぎだと思っている人もいるはずだ。個人的なつながりは、それぞれの地域であると思う。いちいち確認していない。

 ――自民議員の集会に、信者が来ているとの情報もある。(勝共連合として)動員していないか。

 ないと思う。迷惑をかけるから表に出ないように、脇から(顔を出す)という人がいる可能性はあるが。

 ――自民党に思うことは。

 安倍氏の銃撃事件は、社会に大変な混乱をもたらした。関係断絶を宣言した岸田文雄前首相も「プレッシャーから逃れたい」との思いがあったのだろう。いろんな事情があったと思うので、複雑だ。

 ――今後、関係はどうなるのか。

 自民党は日本の保守政党の柱であり、必要な政党だ。断絶宣言が解消されることを望みながらやってきた。いつできるか展望はないが、その気持ちは残っている。

安倍氏地元で教団「不許可」 蜜月の終わり「あれだけ応援したのに」

連載「深流Ⅴ 安倍氏銃撃から3年」の1回目はこちらから読めます。

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旧統一教会問題

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