ペパーミントと繁栄の花

『繁栄の花』という、星新一の書いた短編 SF 小説がある。

そのあらすじはこうだ。-----

文明をもつ「メール星」と地球は交信を始めた。メール星は武力を持たず、花を育てたり、ハチを飼ったりしてのんびりと暮らす平和な星だった。いざとなったら攻め込んで占領することもできる、安全な惑星だと判断した地球人は、メール星との交易を試みることにしたのだ。

そんななか、メール星から小型のロケットに乗って、ひと粒の種子が届く。それは「繁栄の花」という草花の種子で、メール星が交易品のサンプルとして地球に贈ったものだった。

人びとは種子を注意深く育てた。その花は害をおよぼすどころか、季節ごとに色を変え、朝にはすがすがしく、夕暮れにはほのぼのとした香りを漂わせる素晴らしい花だということが分かってきた。その美しさに魅了された人びとは、メール星の許可なくこの花を増やすことにしてしまったのだ。

花を増やすのは簡単だった。繁栄の花というだけあって種子は大量にとれ、しだいに大衆の手に渡りはじめ、世界中に花は広がっていった。

人々は繁栄の花を枯らさないよう大切に育てたが、やがて大切に扱わなくても枯れないということが分かってきた。それどころか、枯らそうとしても決して枯れないのだ。薬品をまいても熱や光をあびても生長は止まらず、花を咲かし、大量の種子を作る。

これが判明したころには、もうすべてが手遅れであった。世界中に広がった花をすべて引っこ抜き、宇宙に捨てるなんてことは現実的に不可能だった。この花はまもなく地球上のなにもかもを埋め尽くしてしまうだろう。

その時、メール星から使節団の乗ったロケットがやってきた。地球側が「なんとか花を枯らす方法はないのか」と尋ねると、メール星人はロケットの中の箱からハチのような昆虫を取り出し、飛ばしてみせた。ハチが花を食べると、その植物はうそのように枯れてしまった。

「効果がおわかりでしたら、このハチをお買いになりませんか。もっとも、このハチには生殖能力がありませんので、永続的にご入用のことと存じますが」とメール星人は皮肉たっぷりに言った。追い返してしまえば、地球は繁栄の花で埋め尽くされてしまう。地球側はメール星の言うがままに、貿易協定に調印しなければならなかった。

それからは、花を枯らすためだけの虫ケラの載ったロケットが定期的に地球を訪れ、帰りには地球の貴重な資源や製品を積んでいった。貨物ロケットの乗員は、地球を立ち去るときにこんな言葉を口にするのだった。

「わたしたちが”繁栄の花”と名付けた意味がおわかりでしょう」-----

最近、中国から世界中に謎の種子が送られているらしい。こわいね。『繁栄の花』は、僕が生まれるよりも前の国語の教科書に掲載されていたらしく、このストーリーを論拠に今回の事件についてコメントしている人がいたので、気になって読んでみた。めちゃくちゃ面白いです。

ただ、『繁栄の花』はあまりに SF な世界であるし、これを現実の事件に当てはめるのにはいささか無理がある点が多い。今回の「種子事件」によって連想されはしても、論拠にはなり得ないように思う。当該コメントについても、興味を引かれど僕はまったく正当性を感じられなかった。

しかしながら、そのコメントに対する共感や好意的な反応は思ったよりも多く、僕はどちらかというとそれへの恐怖のほうが大きかった。

ニュートンの法則が物体の運動を説明するのと同じように、抽象的な観念はしばしば具体的な事物を説明していると考えられがちだ。前者は物理学の手法によって論理的に抽象化されたものであるが、後者はその限りでない。このように、曖昧なテンプレートに現実を当てはめて考えるという行為はしょうもない性格診断と変わりないのだが、こういった錯誤は少なくない。

もちろんこのような類推(アナロジー)が無駄かと言えば、そうは言いきれないのだけれど、アナロジーには「ある一面で似通っている二つの事柄について、別の面でも似通っているように錯覚させることができる」という危険性があることは理解しなければならない。


最近、コンクリートのすみにペパーミントが生えていたので、3本ばかり採取してハーブティーにした。

飲んでみたところ、想像していたさわやかな飲み口ではなく「薄めたハッカ油…」というような淡泊な味であまりおいしくなかった。

調べてみたところ、ミントにはペパーミントの他にスペアミント、アップルミントなどがあるそうだが、ペパーミントはメントール感が強すぎるため単独でハーブティーにするには向かないらしい。どこかにスペアミントが生えてたりしないかな。

ミントの栽培について調べていたら、「ミントテロ」なるものがあるらしいと知った。

ミントは繁殖力が異常に高く、一度植えてしまうと地下茎や種を介してどんどん増殖するらしい。根を引き抜いても、1 cm ほどの千切れた根が残っていればそこから再生することもあり、根絶するには除草剤を撒くしかないのだそう。

これを利用して、気に食わない隣人の庭にミントを植え付けることを「ミントテロ」というらしい。

「良い香りがする」と育てていたらみるみる増えて庭を埋め尽くす、みたいな例もあるらしく、これまた『繁栄の花』ではないかと思ったのだけど、野生化すると香りが薄れてただの雑草と化すらしい。嫌すぎる。

と、いろいろ調べていたんだけど、実際はミントにそんな繁殖力はなくて、ミントテロの話はめっちゃ嘘らしい。

なんでそんな嘘つくの?

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コメント

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ペパーミントと繁栄の花|yurigai
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