鹿児島 十島村 強い揺れ相次ぐ 当面 最大震度6弱程度に注意を

トカラ列島近海で活発な地震活動が続き、鹿児島県十島村では6日から7日にかけて震度5強や5弱の強い揺れを観測する地震が相次いでいます。気象庁は、当面、最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。

十島村の久保源一郎 村長は、これまでの地震で睡眠不足になっている島の住民のために、7日から海上保安部の巡視船や警察の警備艇で、仮眠や入浴できるようにする措置を始めたことを明らかにしました。

鹿児島県のトカラ列島の悪石島や小宝島付近では、6月21日から地震活動が活発になり、これまでに悪石島で最大震度6弱の揺れを観測したほか、6日は午後2時1分ごろと2時7分ごろにマグニチュード4.9と5.5の地震が起き、いずれも悪石島で震度5強の揺れを観測しました。

7日も午前0時12分ごろにマグニチュード5.1の地震が発生し悪石島で震度5弱の揺れを観測しています。

この地域では、おととしや2021年にも活発な地震活動がありましたが、今回は震度1以上の揺れを観測する地震の回数が7日午前11時の時点で1592回にのぼり、過去のケースを大きく上回っています。

気象庁は、震源が浅く、観測点に近いと震度が大きくなるとして、当面、最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。

十島村長 “巡視船や警備艇で仮眠や入浴できる措置”

十島村 久保源一郎村長

鹿児島県十島村の久保源一郎村長は、7日午前、記者会見を開きました。

7日午前行われた久保村長の記者会見によりますと悪石島では6日から7日にかけて震度5強や5弱の強い揺れを観測する地震が相次いで発生していることなどを受け、睡眠不足となっている島の住民が多いということです。

このため村では海上保安部の巡視船や警察の警備艇で、7日午前9時から午後4時までの間、仮眠や入浴できるようにする措置を始めたということです。

また、6日までに島外に避難した住民のうち、村が手配したホテルに滞在している住民に対して保健師が健康状態を確認したところ、数人が発熱や、血圧が高いなどの体調不良を訴えているということです。

十島村 “落石や崖崩れを確認”

十島村は6日午後、悪石島で震度5強の揺れを伴う地震が立て続けに起きたあとに、島で確認された被害の写真を公開しました。

このうち、集落から西へやや離れた場所では高さ2メートル、幅と奥行きがいずれも1.6メートルの落石が確認されたということです。

また、2回目の震度5強の地震が発生した時刻には、やすら浜港や周辺を映した村のライブカメラで、土煙のようなものが巻き上がっている様子が確認されました。

この場所を海上保安本部が海上から撮影した写真から、村は崖崩れが発生していたと明らかにしました。

悪石島に「災害支援ナース」派遣

地震が続く鹿児島県十島村の悪石島に、住民の心身のケアを行う「災害支援ナース」が派遣されることになり、鹿児島市内の病院で出発式が行われました。

活発な地震活動が続く中、十島村の悪石島では住民の島外への避難が行われる一方で、避難が難しい人たちもいて、いまも23人の住民が残っています。

住民からは「夜眠れない」などといった地震への不安の声もあがる中、鹿児島市立病院は、災害の被災地などで住民の健康確保や心身のケアにあたる「災害支援ナース」として、感染制御部の看護師、永尾香織さんの悪石島への派遣を決め、出発式が行われました。

この中で、坪内博仁院長は「震度6弱など、大きな地震が続いているので、自分自身が被災しないように十分注意しながら地域の皆さんの役に立ってほしい」と激励のことばを送りました。

鹿児島市立病院 感染制御部 看護師 永尾香織さん

永尾さんは感染制御部での経験を生かしながら「島民の皆さんが不安な中、声かけをしたり、常駐の看護師のお手伝いをしながら、感染対策も含めて、支援をしていきたい」とあいさつしました。

永尾さんは7日夜にフェリーで悪石島に向かい、今月13日まで常駐の村の看護師や5日に派遣された看護師とともに、住民の健康相談などにあたるということです。

官房副長官「自治体と緊密に連携し 適切に対応」

青木官房副長官は記者会見で「住民の避難への対応も含め自治体と緊密に連携しながらニーズを丁寧に把握し適切に対応していく」と述べました。

その上で「当分の間、震度6弱程度の地震の発生に注意し行動してもらいたい。揺れの強かった地域では家屋の倒壊や土砂災害などの危険性が高まっており今後の地震活動や降雨の状況に十分留意し、やむをえない事情がないかぎり危険な場所に立ち入らないなど身の安全を図るようお願いしたい」と呼びかけました。

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