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「そういうやつは外山恒一教養強化合宿へ行け!」って誰かが言ってたよ。★外山恒一教養強化合宿15.5期レポート★


1.はじめに


 日本最高学府から合格通知が来たので、行くことにした。ここでいう日本最高学府とはもちろん日本でもっとも有名なFラン大学であるところの東大ではなく、福岡に拠点を置く教養強化合宿のことである。今年の夏で15期目になるこの合宿は志願者数の爆発に伴いこの夏から前半後半で行われることになっていた。両方に出願した僕はなんとか運良くたまたま偶然によって後半に合格することができ、2021年8月21日から8月30日までの後半の部(15.5期)に参加することができた。そして今、すべての過程を修了し最高学府の卒業生としてこの廃れた国家を背負って経つ未来有望な若者になったわけであるが、未来有望な若者としては君たち、つまり未だFラン人民ではあるもののFラン人民を卒業したくてモゾモゾしている君のことなのだが、君のために自らの経験を語り、いかに魅力的な合宿であるかを紹介し、踏み出す一歩の力を与える必要があると考えたのでこの文章を書くことにした。
 はじめに注意しておくが、この文章は外山合宿15.5期でのキャンパスライフのレポートであり普遍的なものではないこと(むしろ集まる同志などによってそれらが変わっていくことに本質があるだろう。実際、14期や15期の話を聞く限り毎度雰囲気や自由時間の過ごし方は異なるようだ)を理解していただきたい。なのでこの文書は外山恒一の教養強化合宿の紹介であるとともに僕自身の日記としての体裁を取る。「お前がいかに楽しかったのかなど知らん」という声もあると思うが、合宿についての細かな紹介や感想などは合宿を卒業した数々の先人たちがブログ等で残しているのでそちらを参照してほしい。下記に一つ14期生の記事を載せておく。

 あとなんでこんなにふざけながら文章を書いているかというと、単純に真面目なレポートばっかりでは何個もレポートを漁っている人が退屈してしまうだろうから一人ぐらいはふざけても良いのではないかという安直な考えによるものである。もちろんウザかったら僕のレポートは読まなくても良い。
 あ、あと講義の内容や扱う映像作品などのネタバレは絶対にしないようにしているので安心して読んでね❤(ӦvӦ。)

2.教養強化合宿の基本的な説明

【合宿のスケジュール】
〈一日目〉
集合
→歓迎会
(OB・OGや外山さんの友人の方々が出迎えてくれる)
〈二日目〜八日目〉
9時から14時まで講義
→昼ごはん(一時間)
→15時から18時まで講義
→自由時間&夕食
→20時から映像作品視聴会
→自由時間
〈九日目〉
上記+歓送会(OB・OGや外山さんの友人の方々が参加してくださるお疲れ様会)
〈十日目〉
解散(数日居残る人もいる)

 外山さんの募集要項にも書いているが、ご飯に関してはダダイストである桜子さんが美味しい料理を調理してくださり、さらに食費光熱費水道代等は外山さんが負担してくださるので僕たちは安心して講義に集中することができる。ちなみに風呂や洗濯物は24時間使い放題である。僕らのやることは講義に集中し、皿洗いや洗濯物を手分けして、あとは同志たちと酒を飲みながら語らうのみである。
 講義のシステムについてはまずテキストがあり、テキストを区切られた箇所まで各自で読みその後、外山さんの解説が行われるという一連のプロセスを繰り返すものである。テキストについては外山さんのTwitterを見ていたり、噂で聞いていたりする人もいるかもしれないので言ってしまうが、外山恒一『マルクス主義入門』立花隆『革中核vs革マル』笠井潔『ユートピアの冒険』絓秀実『1968年』である。とはいえ、順番や扱う本などは試験的に変わる場合もあるらしい。実際、僕達の時は試験的に『マルクス主義入門』の後に『1968年』を扱うことになっていた。(難しくて結局元の順番に戻ったが)。ちなみに、『マルクス主義入門』は外山恒一のnoteで販売しており、まともに買うと4370円(原稿用紙一枚×10円で価格設定している)する。↓

 しかし、合宿に行くと冊子版を無料でもらえる。

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 来場者特典までついてくるとはなんと良心的な合宿なのか。
 また、テキストの一覧を見て「全部読んでしまったから行く価値ないか〜」と思った脱Fラン予備軍の人、ご心配ならさらず。外山さんの講義は本の内容のみならず、注釈のように人物紹介や当時の社会背景、そして当時の思想、サブカルチャー、芸術の流れなどを横断的かつ網羅的に解説するものであり、テキストを一人で読む以上の知識と体系を理解することができる。またこれら4冊のテキストを通して形成される「外山史観」の概論にもなっており、講義の内容が過分にテキストの内容を超えていることは確実である。そのためテキストを既に読んでいるからと言って合宿に参加する価値がないことはまったくない。もし、2度も同じ文章を読むのが嫌なら黙読の時間は外山邸にある大量の蔵書からなかなか手に入らないものを見つけて一人で読んでおけば良いだろう。実際僕も先に読み終えてしまったときは山本夜羽音(山本夜羽)の漫画を読んだりして暇をつぶしていた。
 また、上記のテキストを見て「自分の興味の範囲では無いな」と思った人もいるかもしれないが、「そんな奴こそ行ったほうが良い」というのが僕の感想だ。本合宿の講義は主に全共闘と全共闘以後におきる政治運動、そしてその応答としての政治思想を学ぶものではあるが、実際にはそれらの政治運動や思想はサブカルチャーやポップカルチャー、音楽シーン、現代思想など様々な社会現象と密接に関わっており、広義の政治と広義の芸術と広義の思想は連関して展開しているというのが「外山史観」の一つである。そのため、政治や政治運動に興味がない人でも何かに興味があるならばその何かと大きな社会や政治運動の流れの関係を見いだせることだろう。また僕達は学生運動の「敗北」の後を生きているのであり、「なんかもやもやするけどこのもやもやを社会に伝える手段がない」「学生運動の時期が羨ましい」などと思っている人も多いだろう。そういった僕達がぼんやりと感じている無力感や「政治」への無関心や政治運動の盛り上がらなさがどのような歴史的な背景によって形作られているかを理解するのもこの講義の目的である。そのため、この講義は必然的に「今生きる若者」がどのような場所に立たされているのか、僕達を歴史的に形作っているものはなんなのかを理解する手立てになっていく。「今を変えたい」のならば、その「今」がなんなのかをまず理解しなければならない。そのような意味でもどんな学生にも行く価値は過分にある、というのが僕の感想だ。

 映像作品視聴で見る作品は多岐にわたり、映画やドキュメンタリー、演劇やコメディードラマなど様々である。映像作品に関しては当日のお楽しみということで具体的な作品は挙げないでおく。大体、2時間ほど見てから自由時間になりお酒を飲んだりしながら同志と語らい、夜を明かしたり明かさなかったりする。

 ご飯に関しては、昼と夜にダダイストの桜子さんが美味しいダダイズム料理を作ってくださる。

 ↑ダダイズム料理

↑亡命ロシア料理「帰れ!鶏肉へ」

 こちらの『亡命ロシア料理』にレシピが書いてあるのだが、とても良い文章だったので一部引用する。

 鶏肉の大きなかたまりと乱切りにしたタマネギを用意する(鶏肉四〇〇グラムにつきタマネギ中二個)。鍋の底に小さなバターのかけら、月桂樹の葉、粒胡椒、鶏肉、タマネギを入れる。水は一滴もいらない!塩を振り、弱火にかけて、その場を離れる。
 掃除なり、愛なり、独学なりに精を出せばいい。台所にいなくたってすべてはうまくいくのだから。一時間半程たてば、汁の滴るすばらしい料理ができあがる。それにはどんな付け合せでも結構。ゆでたジャガイモでも、ライスでも、マカロニでも。
―ピョートル・ワイリ/アレクサンドル・ゲニス『亡命ロシア料理』30頁より。

 あと、後半の15.5期は6日目に桜子さんが帰ってしまう関係で、7日目からは15期の卒業生が料理を作ってくれた。お二人共とても料理が美味しかったので、毎日ご飯が楽しみだった。改めて感謝を伝えたい。「ありがとうございます」
 というわけで昼と夜は作っていただける。朝と夜食などに関しては確実置いてあるものを適当に調理して食べるという感じだ。お酒に関してもOBOGさんたちが送ってくださったものなどは自由に飲んでよく、足りない又は別のが飲みたい場合は各々近くのコンビニで買うというようになっている。先程から自由時間は「酒を飲みながらでも」と書いているが別に飲まなくたって良い。僕がずっとお酒を飲んでいただけで割と遅くまで起きている人でもお酒を飲まずに討論や会話にだけ参加している人もいたし、各自好きな時間に寝ていた。僕らの合宿では起きなかったが、歴代の合宿では麻雀をやったりカードゲームで遊んだりする場合もあるらしく、夜外に遊びに行く人たちもいたというような話も聞いた。まぁ、自由時間なのだから自由なのだ。授業妨害など合宿の根本にかかるようなことをしないかぎりは基本的には何も言われない。これは外山さんの生権力批判とも関連しているのだろう。(単純に外山さんの人柄というのもあるが)。
 あと外山さんの大量の蔵書は好きに読んでよく、大量の映像資料や音楽も好きにかけて良い。
 これを十日間繰り返すのがこの合宿の基本である。

3.15.5期生と個人的な日記

 というわけで、合宿の流れは分かったと思うのであとはもう僕がいかに合宿を楽しんだかを伝える以外には語ることないだろう。
 その前にまずは15.5期生のメンバーたちを雑に紹介しよう。順番には特に意味がない。

①筑波大学 天皇制を支持している神秘主義者 最年少のため自分をみんなの「弟分」と言い張っている。ついたあだ名は「甘えん坊右翼」。
②エジンバラ大学 マルチスピーシーズ人類学を学んでいる。日本からスコットランドへの留学生であり、この合宿の前には寺で修行していた。↓彼のレポート。

③東北大学A 日就寮寮長。学生自治寮である日就寮を守るために活動している。最年長で、みんなの良心。
④東北大学B 外山恒一にやたら詳しい。議論に外山恒一の名前が出ると、「これに関しては〇〇のトークライブで〜と言っていた」と補足してくれる。とても助かった。彼は帰宅後東北大学アナキズム研究会(仮)を立てて、色々とやるらしいので今後の活動に期待。
⑤神戸大学 建築を勉強しているが、狭義の建築が嫌になったらしい。一番普通ぽい感じで振る舞っていたが帰宅後に色々と隠されていた情報(デザインやブログ運営、ダークウェブに詳しいなど)が判明した謎多き男。
⑥法政大学 法政大学に席を置いているが主に筑波大学付近で障害学や障碍者運動史などを勉強している。
⑦上智大学 大学の水飲み比べサークル、通称「ミズサー」に所属している。ちなみに「ミズサー」の会長は外山合宿OB。
⑧京都市立芸術大学 京都市立芸術大学が嫌いすぎて学内に敵が多いらしい。京都のグラフィティーなどの写真を集めたりしている。↓レポート。


⑨長崎大学 公害問題などの運動史を学んでおり、学生運動のようなものを作りたいようだ。合宿中静かに最後まで起きており、誰にも寝顔を見せなかったことからついたあだ名は「公安」。
⑩同志社大学A 政治学の勉強をしており、来年からはマスコミ関係者。映画で賞を取ったこともある。「保守」を自認しているが、僕ら「左派」とも積極的に討論してくれる。昔ネカマアカウントで同志社大学の中の一世を風靡したらしい。
⑪同志社大学B 神学部で市民宗教に関心がある。この合宿を通して「自我」が芽生えたらしい。
⑫京都大学 熊野寮生。自治寮の運営について日就寮との話でよく議論していた。生活リズムが最後まで読めなかった。
↓レポート


⑬九州大学 隠れキリシタンで卒論を書くらしい。色々あって「反原発」。
⑭東京大学 合宿中に進路選択を迫られていた。言葉を介さないコミュニケーションに興味があるらしい。

⑮早稲田大学 僕

 男女比10:5
 だいぶ内輪ノリになってしまったが、許してほしい。こういう面白い人たちが来るよ(画像はイメージです)ということだ。というわけで、これらの人たちが展開する合宿での日々の雑な日記を残しておく。以下も内輪ノリであるため、割愛してもらって構わない。必要そうな情報だけ太字にしてある。

【一日目】
南福岡駅集合。車で迎えに来てもらい、先発隊と合流、各々自己紹介をするが外山恒一が戻ってきて全員揃って再度自己紹介をする。その後ご飯を食べながらビールを飲んで、みんなと喋る。まだお互いお互いのことをよくわかっていないがなんやかんや話は弾み、外山さんに質問しにいったりして3:30ぐらいに修学旅行タイム(消灯して寝る体制で喋る)を経て全体が就寝した。最後まで起きている人たちは寝室とは別の講義室で寝るのだが、筑波の「甘えん坊右翼」が「エアコンガンガンにかけないと寝れないんすわ」と言ってエアコンをガンガンにかける。(ちなみに二階に女子部屋があるので男女別々で安心して?寝れます
【二日目】
朝起きると「甘えん坊右翼」が「寒すぎて寝れなかったけど、自分で下げたから上げれなかった」と言って震えている。「朝から天に向かって正拳突きしたいっすわ」と言って天に向かって正拳突きしていた。今日から講義がはじまる。『マルクス主義入門』が配られ、黙読する。室内は喫煙可能なので、若干分煙で席を分けてタバコを吸いながら本を読む。講義を終えて18時に近くにある銭湯に行こうという話になり男子7人ぐらいで銭湯に向かう(銭湯までは歩いて30分ぐらい)。かなりしっかりした銭湯でサウナ2種類あり、露天風呂もあり色々すごかった。満足して、帰りの道で「前進チャンネル」のオリンピックデモを流す。シュプレヒコールのアクセントの変化が癖になって地味に流行る。夕食を食べて映像作品を見る。自由時間になり酒を飲みながら語らう。なんか忘れたがダダとシュルレアリスムの話になったりして、色々話していたら3:30に就寝になった。最寄りのローソンでポムポムプリンのくじがやっており、ぬいぐるみを当てるためにコンビニに行くたびに引くことを決める。ポムポムプリンの巾着を当てたので合宿中の貴重品をここにブチ込む。本に出てきたブランキが流行る。
【三日目】
『マルクス主義入門』を読み終え、『1968年』を読み始める。2章まで行ったところで、前提知識が足りなさすぎて解説に時間がかかり過ぎるということで、元々のプログラムの『中核vs革マル』に戻ることになった。今日の講義はここで終わりで明日から本気出す『中核vs革マル』。空き時間に僕は色んな政治運動のシュプレヒコールを流したりしていた。ネオナチのデモはほぼロックでイカつかった。香港のデモは洗練されてて聞いてて楽しかった。SoundCloudにデモ音源入ってたりするのに気づいて面白かった。この日のお昼に「帰れ!鶏肉へ」が出た。夜食にラーメン作った。就寝3:30。なんやかんやみんな起きてる割にちゃんと講義中も起きている。
【四日目】
『中核vs革マル』上巻を読み始める。上巻がちょうど党派の形成と内ゲバが何故始まったのかの歴史なので、下巻には行かずに上巻のあとに笠井潔に行くらしい。↓講義内容のノートのイメージ。

いつもみんな遅くまで起きているがこの日は特に起きている人が多く、盛り上がった。筑波の男が酒を飲みすぎて「天皇の話をします」と言ってグミの話をずっとしていた。合宿中でも一番盛り上がった夜かもしれない。僕もこの日だけは途中から記憶がない……。(猛省)。この日の就寝時間はよくわからない。
【五日目】
引き続き『中核vs革マル』を読んでいく。この日あたりからみんなエナジードリンクがないとやっていけなくなってきた。誰かがコンビニに行くついでにまとめて買ってくるシステムで相互扶助した。講義での赤瀬川原平の話がかなり面白かった。赤瀬川原平の本はもっと読もうと思う。自分自身トマソンや意味のない閉鎖空間へのフェティッシュがあるので、そのへんはしっかり理論として学んでいきたいと思う。多分この日だったと思うが銭湯に行った帰りに僕と甘えん坊右翼の二人だけになって二人とも携帯がなく迷子になって30分ぐらい探検してた。今日は映画を見た。(なんの映画かはヒ・ミ・ツ)。絶賛するかは個人の自由だとしても外山さんの紹介する作品は基本的に必見のものだと思った。特に手に入りづらいものの中から選んでくれているのが嬉しい。ホワイトボードにお絵かきしたり、同室の友人を本で学んだ緊縛術で緊縛したりした。夜食として素麺とチャーハンを作った。元々チャーハン作る予定ではなかったためチャーハンは冷凍米を再解凍してから使ってしまったのでベチョってたが、卵とマヨネーズを多めに入れたのでリゾットっぽくなって案外食べれた。4時ぐらいにはみんな寝たと思う。
【六日目】
引き続き『中核vs革マル』。一応上巻は読み終えた。授業後たまたま見つけたので早稲田文学界隈が大好きな『去年マリエンバートで』を勝手にかけた。映像が馬鹿キレイなので退屈なストーリーでもめちゃ見れるのでやはりアラン・レネはすごい。『ヒロシマ・モナムール(邦題/24時間の情事)』をまだ見てないので早く見ようと思う。映像の世紀を見た。5時ぐらいに寝た。
【七日目】
今日から笠井潔の『ユートピアの冒険』。一冊足りないのでとりあえず一章の精読時間に二章分読んで人に貸して1ターン休憩というのをやっていた。その休憩時間に講義で前に紹介された山本夜羽音(山本夜羽)の漫画を読んだ。はじめに『エス/太陽は僕らの敵』を読むと、新左翼の話などが出てきてとてもアダルトコミックとは思えない作品世界に吸い込まれた。『中核vs革マル』を事前に読んだ分、時代背景が理解できて楽しい。やはり、蓄積が大事だ。ぼんやりとわかった気になって見過ごしてしまうものへの解像度が変わる。『Justice&peace spirit』も読んだ。作風が無際限すぎて強い。今度紹介記事でも書こうかな。
外山邸には外山さんが間違えて2冊買った本を買った値段で売り渡してくれる用の本棚がありそこで『カミュ・サルトル論争』を買った。百円だったのでラッキーです。
今日の映像作品は演劇だった。細部の会話のテンポがよく笑えた。
なぜかあった刀削麺を茹でまくって冷やしてそうめんみたいにして食べた。エディンバラ大学が明太子パスタを作った。大量に買ってきたお菓子でお菓子パーティーをして4:30には就寝した。そろそろ最終日が近くなってくるので悲しくなって修学旅行モードで消灯後の会話が続く。

【八日目】
『ユートピアの冒険』を午前に読んで、午後から『1968年』。授業後銭湯へ行く。夕食後に映像を見てから外山さんへの質問タイムになる。映像の合間に昔の福岡のCMが何個も出てきて個人的には映像の内容よりもCMのほうが面白かった。僕は夜食として大量のうまかっちゃんと生麺を茹でた。すぐなくなった。議論は白熱して、一旦仕切り直しでコンビニに行った。そういえば、コンビニに行くたびに引いてたポムポムプリンのくじ引きでついに一等賞が出てポムポムプリンのフードスチーマーが当たった。

↑寄贈したので使ってね。
 割と何でも使える、らしい。8時ぐらいまで結構な人が起きていて色々喋ってた。天皇の土着性と神秘主義の媒介としての天皇みたいな感じでみんなでめちゃ天皇の話をした気がする。隣の卓では恋バナをしていた。
【九日目】
最終講義。『1968年』を読み進める。朝、15期OG食事係のMさんが、お酒を飲みすぎた僕らの胃腸のためにお粥を作ってくれた。神です。ありがとうございます。この日は疲れすぎていてほとんど講義には出れずはじめと終わりに参加した。19時前ぐらいからOBさんや外山さんの友人などが来て、歓送会が始まった。僕が主催している早稲田大学マルクス研究会などでお世話になっている自称・文化系クルスさんなども来てくださった。14期OB、サークル教養強化のHくんと自分の卒論の問題設定(記号と超越的なもの)に関して話すと、色々と助言をくれた。同志社大学神学部さんも自分で言語化が苦手と言っていたが、キリスト教などの見地から質問してくれてありがたかった。神戸大学建築くんも質問ありがとう。感謝。7時ぐらいまでみんな起きてた。そういえば2時ぐらいにみんなで近くの公園に花火をしに行った。


【十日目】
最終日、帰る人の見送りをする。どんどん人が減っていって悲しかったが、15.5期生は僕を含めて5人残るようだった。クルスさんと食事係Mさんも残るらしい。僕も2日は残るつもりだ。「甘えん坊右翼」と創作料理対決をしようということになって創作オムレツ対決をした。甘えん坊右翼はめっちゃ普通のオムレツを作って自分の保守性に悩み、僕の方は和風オムレツを作った結果卵焼きが出来た。投票4:5で僕が負けたが、お互い勝った気がしなかったのでお昼に創作うどん対決をすることにしてスーパーに買い出しに行った。

↑左(僕)右(甘えん坊右翼)

割と好評で、二人共料理に目覚める。夜は手巻き寿司にしようと前日から決めていたので、少し休んでからちょっと遠くにある安いスーパーに買い出しに行くことにした。四人で買い出しに行き、残った人たちに酢飯を頼んだ。

↑刺し身全部僕が切った〜❤(ӦvӦ。)
ちなみに、居残りの人たちの食事は各自or自炊カンパ。自炊すればある程度安く抑えられる。手巻き寿司もかなり奮発したほうだが一人あたり六百円ほどだった。
寿司を食べてから映画『素人の乱』をかけたがめちゃくちゃ面白かった。リサイクルショップ素人の乱の店長松本哉が杉並区議会選に出る様子のドキュメンタリーなのだが、公職選挙法で曖昧になっているようなもののギリギリをついていくというものでめちゃめちゃ盛り上がっていたし、こういう運動の仕方が10年ほど前にあったと思うと世界も捨てたものではないと思えた。
外山さんがドラマ「リーガル・ハイ」を借りてきていたので、リーガル・ハイの10話11話を見た。公害訴訟がテーマになっていてコメディとしても作品としてもおもしろかった。昔リーガル・ハイにめちゃめちゃハマっていた時期に弁護士になろうとしていて、法学部を受験したことを思い出した。
その後、どくんごの映像を一部見たあとにブラックパンサー党をもとにした『パンサー』を途中まで見た。途中から酔いすぎて内容が入ってこなくなったが、最初の武装蜂起の時合衆国憲法を引用しまくってヒューイ・ニュートンが警察の発言の非正当性を詰めていくシーンがとてもかっこよかった。

↑ちなみに夜食でこんなものを作ったのですが馬鹿美味かったです。ささみと野菜をゴマドレで炒めてから柚子胡椒を入れるだけ、とても簡単。
ほぼお料理ブログになってしまっているのでここらへんで料理の話はやめておく。
割と遅くまで起きて寝た。過半数が帰ってしまったので合宿の余韻タイム。

代によっては遅くまで起きてる人が少ない代もあったり、講義出席率が低い代もあるらしく合宿メンバーによって雰囲気は変わってくるらしい。食事係Mさんいわく僕らは「無駄に元気が良すぎる」らしい。まぁ、毎回15人も別の人が集まるのだから雰囲気が変わってくるのも当然だろう。自分のときの同期のメンバーや雰囲気と他の代との差異を楽しむと面白いかもしれない。

4.余談(合宿延長戦日記)

合宿終了後、外山さんの予定次第ではあるが希望者は数日外山邸にいることができる。僕は2日外山邸に残ったので、サンプルとして日記を残しておく。これも蛇足なので興味のない人は読み飛ばしても構わない。残ったらこういう日々が遅れるよ〜というものだ。それは上の最終日十日目も同じだが。

【十一日目】
延長戦一日目、5人残った15.5期生のうち二人が帰るようなので、2人を送るついでに他の3人も天神に出て5人で天神観光することにした。昨日帰った九州大学くんも天神に遊びに来ることになり再合流した。お昼に「ビーフバター焼き」を食べて、その後商店街を観光。博多に行って二人を見送り、僕達は博多の丸善に行った。博多の丸善では古本屋とのフェアをやっていていろんな古本屋から古本が集められていた。入手困難と言われるジェラール・ジュネットの『フィギュール』も一冊2千円程度(ネットで買おうとするとその3倍する)で手に入れられてハッピーだった。スタバで休憩し、天神に戻ってうどんウェストという地元民御用達のお店で夜ご飯を食べた。モツ鍋を一人前290円で食べることができ、お腹いっぱい食べても一人あたり850円ぐらいだったのでとても満足して帰宅した。

↑うどんウエスト
九州大学生も外山邸に再度泊まることになり宿泊者は15.5期生四人とOB・OGが二人の合わせて6人。
明日の朝九時半に外山邸を出るので、少しお酒を飲んで、笠井潔の『ユートピアの冒険』の講義で飛ばして読み残した箇所を読んでから帰宅の準備に入った。
【十二日目】
九時半に外山邸を出る。東北大学の外山さんに詳しい男と二人で青春18切符で東京まで帰ることにしたので、この日は京都まで行くことを目標に進んだ。電車に乗っている時間は次の早稲田文学マルクス研究会の課題図書『経済学・哲学草稿』を読んだり、山本夜羽音の短編集を読んだりして潰した。久々に自分のプレイリストの音楽を聞いて変な気持ちになる。京都では、外山合宿OBのホリィ・センさんが経営しているサクラ荘に泊めていただけることになっていたので左京区の方まで行き、サクラ荘に泊めてもらった。ホリィ・センさんとは合宿での話やゼロ年代の話などをして、漫画批評やシェアハウスなどの話しについても色々とお話をした。特に声、声優の話は面白く、卒論で声をテーマに使用としている僕としてはかなり関心領域やその問題に近く、かなり示唆に富んでいたのでありがたかった。話しているうちに前々から思っていた藤本タツキの『ルックバック』について批評を書かなければという意識が高まっていった。帰ったら書こう。
【十三日目】
8時過ぎにサクラ荘を出て、京都から東京へと向かった。前日にかなり遅くまで起きていたため電車内ではほとんど寝ていた。この日は、一緒に電車で帰っている東北大学生が高校の先輩が「東京若手演劇祭2021」のBブロックに出るのでそのまま演劇を見に行くという話だったので僕も一緒に行くことにしていた。Bブロックのもう一つの団体(アイマイナナメ)を見ると、脚本・演出・役者担当に別口での友人(葦原梨華)がいて偶然の一致に驚いた。東北大学生の先輩も出場する団体(人格社)で脚本・演出・役者をやっているらしい。
というわけでなんやかんや王子駅に到着し、演劇祭の劇場へ入る。劇場に入ると東北大学生の知り合いが客として何人か来ていたのだが驚いたのは僕のやっている勉強会でお世話になっている先輩(メディチ後藤スカイさん)も劇場に来ていて、遭遇した。メディチ後藤スカイさんの後ろに座ると、ぼくの隣の人もたまたまメディチ後藤スカイんの知り合いだったらしく、知り合いの知り合いの知り合いの……が無限に乱立することになった。それで気づいたのは演劇というのも一つの「集まる」方法(特に「たまたま集まる」という方法の一つの形)だということだ。予想外の集まりがあるからこそ集まるということには創造的な「出会い」があるわけで、そのような意味では外山合宿などもそのような場所であった。今のご時世にあえて「集まる」ということはやはり意味があるのだろう。外山さんが合宿にこだわるのとテント演劇が好きなのはそういう意味でも必然性があるのかもしれない。十日目の夜に東北大学生(外山さん好き)が「予約のコミュニケーション」と「なりゆきのコミュニケーション」があって、後者が重要だという話をしていたが僕もまさにそのように思う。なりゆきに身を任せることは予測できる範囲に自分の身を置かないということだ。つまり、偶然性の前に開かれている。僕にとっては高田馬場ロータリーが「なりゆきのコミュニケーション」のアジールだったわけだが、現在は封鎖されてしまっている。コロナ禍に置いて消されつつあるのはやはりこの「なりゆきのコミュニケーション」だろう。そのような意味で演劇や合宿というものは「なりゆきのコミュニケーション」に身を任せる一つの手段なのだと思う。↓そのあたりに関して詳しくは下記の記事で書いているので興味のある方はぜひ。

というわけで演劇を見終えて、東北大学生とも解散。15.5期の亡霊も十三日目で成仏した。その後僕は高田馬場に行き、大学の友人と酒を飲んだ。

ゆるやかに、日常へ戻っていく。

5.外山合宿を通して、今後の活動など

 自分が合宿を通して感じたことはまず、自分の普段の言論の場がいかに狭いかということだった。僕は普段読書会を企画したりしているわけだが、基本的に「ポストモダン」思想や「リベラル左翼」思想の言論の場の範疇を出ることはなく狭い視野でポストモダン万能論のように凝り固まった思想にいることがわかった。そのような意味でも笠井潔などを読めたのはとても良かったと思う。これからは「リベラル左翼」のみならず右翼や保守思想なども学んでいき幅広い言論空間から自分なりの答えを見つけていきたいと思う。もちろん僕の専攻(と言っていいほどではないが)は現代フランス文学理論であり、「記号論と脱記号論」というものであるから立場上、ポストモダンに近い見地に立ってしまうわけであるが、左翼思想も右翼思想もどんな思想でも、ある種の時代性を伴っているわけで、そのあたりの対応関係を無視して片方だけ見るやり方はフェアではないとともに正しい認識ではないと思い、これからの勉強に生かしていきたいと思った。
 また、外山さんとしっかり討論できたことはとても良かった。外山さんがどう思ったかはわからないが、あくまで僕の立場は「私が私である以前」の無限責任、あるいは記号に還元されない超越性という有限性の世界(例えば法的な責任や企業の経営倫理のような問題)とは別の責任を思考すること、あるいはそこから始めることだと思う。そのような立場はある意味で有限性の切断を拒むということであり、外山さんに「無限な責任はある意味で無責任になる」と批判されたように、思考し得ないがために(または言葉にして時点で言葉という有限なものに落とし込まれ無限性を失うために)、批判される余地はあるだろう。しかし、言語や貨幣や法律や自我など様々な切断によって記号や主体、システムの外のものを便宜的に呼び出していたとしても純粋なもの(言語の場合は純粋な意味、貨幣の場合は純粋な価値、法律の場合は純粋な主体、自我の場合は純粋な私)を取り出すことはできない。そのできなさの中に本質があるように僕には思える。これはまだ出発点であってまとまった思想ではないためうまく説明できないし理論的な正当性はないだろう。でもここを詰めていくことが僕の目標の一つになった。とはいえ、外山さんがいうような「ファシズム」にとっては、あえて切断を加え有限なものの中で存在しない物語を引き受けることで政治運動へと自己を動員していく(超人≒人生に意味がないというニヒリズムを引き受けながらそれと同時に自ら意味を生み出し引き受けていく存在)のだから、外山さんの理論にもとても魅力を感じるし、僕はそこを理解した上で別の仕方を考えたいと思う。そのためにも外山さんの推薦図書は全部しっかり読もうと思う。
 また、合宿というような形の可能性を体感できた。合宿では僕達の行動にはある程度の自由が保証されるもののコンビニまでは遠いし簡単に遊びに行くこともできない。そのような縛りがあるからこそ、膨大な蔵書と映像資料などは僕達の勉強意欲を常に触発してくれる。また、合宿という環境は必然的に人と関わらざるを得ないからこそ、僕達が普段持っている壁のようなものをとっぱらざるを得ず、普段人に見られない自己さえも見せなければならない。このような予測不能なコミュニケーションというものはやはり現在では、特にコロナ禍では決定的に失われていると思う。このような意味でも合宿に参加したり企画したりするのは重要な活動になっていくだろう。幸い、僕の場合は合宿所を借りるつてがあるので積極的に合宿を企画していきたいと思う。年末には7日間のドストエフスキー合宿を企画していて、今後もどんどん企画していくつもりなので興味のある方がいたら協力してほしい。
 また前々から思っていた現在の文壇や論壇から排除されている人たちでの文芸雑誌・思想雑誌を作り、積極的に流通させてゲンロン的な戦い方でゲンロンと戦うということを本格的にやろうと決心できた。おそらく僕はシェアハウス運営など持続的な活動は向いてないので、言論の場を作るという意味でオルタナティブな「集まる場所」を作るという戦い方が向いているように思える。そのような意味では現在行っている読書会活動やそれらをnoteやyoutubeにあげる活動は継続していきたい。

今後の活動(継続していくもの)
①読書会
→「模範的社会人」になるための自己啓発読書会【自己啓発本の批判的読解】
→早稲田大学マルクス研究会の読書会
→フェミニズム✕SF読書会【次回は『女性状無意識』】(できれば今後も継続していきたい)
→他の人主催の読書会の継続的な参加
②座談会
youtubeにあげたり、noteにあげたりして積極的に公開していきたい。
③合宿
年末のドストエフスキー合宿(一週間)とそれに向けての事前学習読書会。今後も様々な読書合宿や勉強合宿を企画していくためにブラッシュアップしていきたい。

今後の活動(新しく始めたいこと)
①文芸誌の創刊
同人誌ではなく原稿料を支払う形のしっかりとした雑誌を作って流通させる。そして、将来的にはその利益で現在、論壇などでいたずらに引用されながらも原文が邦訳にされていないような「加速主義」や「反出生主義」などの議論の版権をもぎ取りたいと思っている。現在の論壇は思想のインフラを整備しなすぎるが、そこを批判してても仕方がないので自分がやるしかないと思っている。幸い協力してくれそうな人はいるのであとは僕の覚悟だけだと思う。
②合宿生との継続した勉強会など
特に今回は歴代でも地方勢(スコットランドまでいる)が多いので「集まる」というのが難しいため、積極的に勉強会などで交流して高め合ったりお互いの問題意識を共有したりしていきたい。
③右翼思想など普段批判しているような思想のしっかりとした勉強
自己啓発本の読書会をやってて気づいたのだが自己啓発本の名作はたしかにかなり面白い。自己啓発本を読まずに自己啓発本を批判することは簡単だが、読んだあと批判するとなると結構な精度の思考が必要になる。このように、自分とは異なるものを読み、自分の考えを述べるというのが一番思考のトレーニングになると思うので、ぜひやりたい。新自由主義研究会とか反知性主義研究会とか作りたいなと思いつつ、あんまり人が集まらなくて困っているので興味がある方はぜひ。
④その他の実践的な活動
合宿を通して理論にとどまらず人と対話し、そして活動に移すことが重要だと痛感した。そのため頭でっかちにならずしっかりとした現状認識ができるようにも現実との接点としての活動というものは意識してやっていきたいと思う。
あと、日記にも出てきたように藤本タツキの『ルックバック』を元にして藤本タツキという漫画家の絶対的な磁場(批評を許さないほど計算された作風)への批評を書きたいと思う。また、前々から書こうと思って書かなかった『終末のワルキューレ』論として「喪としての『終末のワルキューレ』あるいは人間の弱さへの贖い」という批評をついに書こうと思う。よく僕がツイッターで発言している「弱く生きる」という概念にもそろそろ体系的に論じた文章を残そうかとは思っている。
他にもやりたいことが色々あるが、パンクしてしまいそうだ。
協力者、常に募集中です。


5.最後に

 外山恒一の教養強化合宿に行くか迷ってる人は絶対に行こう!また記事の2に書いたように政治に興味がない人でも全然問題ない!君が今立たされている「今」を認識したければいくべきだ。また、外山合宿はタテヨコの繋がりを得られるというのも大きいと思うので、様々な問題意識を持った人との人脈を繋ぐという意味でも一生モノの財産になるだろう。

 あと合宿帰ったらメンヘラとメサコンが治ったので、メンヘラとメサコン治したい人は行ったほうが良いよ❤(ӦvӦ。)。躁鬱とADHDは流石に治らなかったけど。

 なんか質問あったら、コメントください。回答可能な範囲内(秘密情報以外)ならばできるだけ質問を拾うつもりです。僕のツイッターにDMしていただいても構いません。

では。また。

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note会員1000万人突破記念 1000万ポイントみんなで山分け祭 エントリー7/8(火)まで
「そういうやつは外山恒一教養強化合宿へ行け!」って誰かが言ってたよ。★外山恒一教養強化合宿15.5期レポート★|幸村燕
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