マンション所有者の無知につけこみ積立金狙う…大規模修繕工事や管理会社の闇

大規模修繕工事や管理会社の闇 住民会議に工事施工会社の社員が参加も

記事まとめ

  • 工事発注先を決める住民会議に、社員が住民に成りすまして参加する事案が発生
  • 1月には、管理会社の社員が計14の管理組合の口座から9億円超を着服し、逮捕された
  • 管理組合の理事長を買収したり、コンサルを介して相場より高い金額で受注させる手法も

マンション所有者の無知につけこみ積立金狙う…大規模修繕工事や管理会社の闇


(工事受注のため、住民の議論を誘導しようと…(写真はイメージ))

 大規模修繕工事の発注先を決める住民の会議に、工事施工会社の社員が住民に成りすまして参加する事案が発生していたことが明らかになった。朝日新聞によると、5月17日に正当な理由がないにもかかわらず、大阪府東大阪市の工事会社の社員2人が首都圏のマンションに立ち入った疑いで、6月3日までに神奈川県警に逮捕されている。工事受注のため、住民の議論を誘導しようとしたとみられている。

 マンションの老朽化に伴う大規模修繕工事や管理組合をめぐるトラブルがこのところ相次いでいる。1月には、管理会社の社員が計14の管理組合の口座から9億円超を着服し、逮捕されている。3月には、受注する会社や価格を事前の打ち合わせで決める違法な調整を繰り返していた疑いで、「長谷工リフォーム」などおよそ20社に公正取引委員会が一斉立ち入り検査を行っている。

■管理組合理事長を買収するケースも

 管理組合が工事の相見積もりをする際、前もって各社がすり合わせていた価格を提示するほか、事前に決めていた会社が受注できるようにしていたという。これらは数十年前から繰り返されていたというのだ。

「中規模以上の200戸、300戸クラスのマンションになると工事金額が大きくなるため、建設会社は積極的になります。マンションも住民も高齢化し、必ずしも建築工事に明るくない管理組合が厳正に工事会社を選定するのは難しいかもしれません。談合や利害関係者の誘導をどうやって回避するのかは難しい問題です」(不動産アナリスト・長谷川高氏)

 管理組合の理事長を買収したり、コンサルタントを介して相場より高い金額で受注させるほか、実際に工事会社が住戸を購入して管理組合に正式に入り込んで、自社に有利な議論を誘導する行為も指摘されている。

 少なくない築古マンションなどで修繕積立金が足りなくなる現象が明らかになる中、業者の違法行為で打撃を被るのは住民側だ。だが、それを防ぐのは容易ではない。

「工事金額が大きくなれば、さまざまな建設会社が工事を受注したくなります。一方、建築費が高騰し、新築マンションの着工件数が減少する中で増えているのが大規模修繕工事です。そこで重要なのが、管理組合にアドバイスする立場の管理会社のコンプライアンスがまともかどうか。管理組合に寄り添って適正な工事会社を一緒に選んでくれるのか。談合の結果の見積もりが出てこないように見張れるのか。つまり、信用できるパートナーか否かが重要です」(長谷川高氏)

 住民側はハナから疑ってかかるしか被害を防ぐ方法はないのかもしれない。

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