Pinned御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Feb 11数日ほどコメントへのお返事をお休みさせていただきます。 風邪からつい先日ようやく回復したばかりなのにまた、となってしまい申し訳ございません。 どうぞよろしくお願いいたします。 いつも励みになる反応の数々、そして何より私なんぞの作品をお読みくださいまして、本当にありがとうございます。612033K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Sep 17, 2024子分の鬼は青い顔で頭領に報告した。 「大変ですお頭、桃太郎がヤバい配下を連れてこの鬼ヶ島に向かってます」 「ヤバい配下?」 「犬と雉と猿です」 「ふん、ただの畜生ではないか」 「でも犬は水を怖がり、雉は何かぐったりしてて、猿に至っては吐血してます」 「何としても島への上陸を阻止しろ!」45513K60K4.4M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 2, 2024「私に勝った者を我が夫とする」と公言していた女騎士に、なんと菓子職人が勝負を挑んだ。女騎士が「お、幼馴染の貴様とは言え手は抜かんぞ」と動揺すると、菓子職人は「より多くの人々を笑顔にした方の勝ち、という勝負でどうです?」と笑った。結果、女騎士が古畑任三郎のモノマネを披露し圧勝した。14410K53K4.6M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Feb 15, 2024友人のデュラハンに『デュラハンの歴史』を尋ねたところ、その説明の為わざわざもう一人デュラハンを呼んでくれた。 そして二人は生首が二つ並んだ状態で笑う。 「今日はデュラハンの歴史を解説していくぜ!」 何か物凄く既視感があるな。 「そもそもデュラハンって何なのよ魔理沙」 魔理沙言うたな。957.7K32K2.6M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 14, 2023私は盲目だったが、私の夫はきっとイケメンだと思っていた。 そこへ心ない知人が「アンタの旦那、火傷の痕で顔中ただれた化け物よ」と笑った。 堪らず光を取り戻す手術を受け、そして夫を見てみれば全く知人の話通り。 私は泣いた。 「やっぱり貴方だったのね。昔、私を火事から助け出してくれたのは」1642.3K30K4.3M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Oct 1, 2022幼い頃、神社でケガをした子狐に出会した事があった。思い返してみれば、食卓に必ず一品は油揚げ料理があった。結婚式の日には天気雨が降った。婚約指輪を用意しようとした私に、彼女は「もう貰ったわ」と悪戯っぽく笑った。……遺品整理で見付けたその小箱には、古びた絆創膏が大切に保管されていた。263.2K30K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jun 7, 2024夫に「私がおばさんになっても愛してね」と言った時、彼はドン引きした。 「いや絶対に無理だわ」 「あら意地悪ね」 「どっちがだよ、俺は人間だぞ。お前がおばさんになるのは何百年後だ、この性悪エルフ」 ――ちなみに夫はその後、過酷な修業を経て仙人となり、今日も私の『無理』を叶えてくれている。112.6K29K829K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Feb 18異世界ファンタジーで、作中に『ハンバーグ』が登場した事を一部の野暮が批判した。いわく「ハンバーグはドイツのハンブルクが名前の由来だ。異世界にドイツがあるのか」とか何とか。これに「大変勉強になりました」と大人の応対をした後、最新話で主人公に『松前漬』を食わせた作者さんは流石である。1254.5K26K2.2M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 11, 2023祠を壊した旅行者を突き止めた村長は、険しい顔でその男が泊まる旅館を訪ねた。 「アンタ、なんて事をしなさった」 男は「はあ?」とニヤニヤ笑った。 「何だよ、祟りでもあるってのか」 「いや、あの祠は普通に国の重要文化財だぞ」 「えっ」 「警察はもう呼んだし、損害賠償も多分ヤバい額になるぞ」564.6K25K3M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 12友人のデュラハンに『デュラハンの歴史』を尋ねたところ、その説明の為わざわざもう一人デュラハンを呼んでくれた。 そして二人は生首が二つ並んだ状態で笑う。 「今日はデュラハンの歴史を解説していくぜ!」 何か物凄く既視感があるな。 「そもそもデュラハンって何なのよ魔理沙」 魔理沙言うたな。365.1K23K859K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 20, 2024友人が「ネットに投稿した小説が読まれない」と何やら腹を立てていた。 「全く無責任なものだ」 「無責任?」 「私は小説を書く気などなかったのだが、余りに書け書け言われるから書いたんだ。なのに、その『書け』と言った連中は誰一人私の作品を読まない」 「そりゃみんな塀の中だからだろ、名探偵」433.6K21K1.8M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Feb 11, 2024母が「私達サキュバスの『魅了能力』は聖騎士には無効だから注意なさい」と言うので、私は首を傾げた。 「でもママ、他ならぬ私のパパは聖騎士でしょう」 「だから言ってるの」 「どういう事?」 「私達、不慣れだから一発でやられちゃうのよ。魅了が効いてない癖に『愛してる』なんて甘く囁かれたら」342.9K21K1.9M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Aug 22, 2024龍神は呆れ顔で、村人達の夢枕に立った。 「君らマジ何なの。なんで私の祠に生娘の生首なんか供えるの」 「そ、それは雨乞いの贄にございます龍神様」 「贄なら自分が貰って嬉しいもの供えてよ」 村人達は皆きょとんと瞬いた。 「ええ、だから生娘の生首を供えてるんですが」 龍神は引っ越す事にした。623K18K904K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Aug 5, 2023「俺バカだからよォ――お前の作った服、全然見えねえよ」王がそう告げると、仕立て屋は顔を真っ青にした。が、王は結局「でもまあきっとスゲー服なんだろ」と仕立て屋に大金を支払った。家臣は皆「まったくウチの王様は本当にバカだよ」と溜め息した。皆、仕立て屋に難病を患う娘がある事を知っていた。383.6K17K675K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 9, 2023同僚がなんと、宝くじで一等を当てた。だがこれまたなんと、数日の後「いやあ競馬で全部すっちまった」などと笑った。僕も他の同僚達も皆、彼は大バカだと呆れた。そして皆で散々、彼に酒を奢った。ウチの病院に入院する難病の少女が、匿名の寄付により海外で手術を受けられるようになった事を祝って。781.2K16K1.6M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 3, 2024魔王は魔法の鏡に尋ねた。 「鏡よ鏡。この世界で一番強い男は誰だ?」 鏡は答えた。 「それは魔王様でございます」 魔王は「そうだろうそうだろう」と、満足げに笑った。 そして数時間後、全身ケガだらけの姿で改めて鏡に尋ねた。 「鏡よ鏡。勇者ってもしかして――」 「はい、男装の麗人でございます」483.1K16K956K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Aug 23, 2024「攻めの逆は?」と問われたら「守り」ではなく「受け」と返さねばならない。それが潜入先の組織の、スパイをあぶり出す為の合言葉であった。まあ予め正答を掴んでいる以上どうという事はない。だがある時、組織の同僚が俺に聞いた。「ネコの逆は?」俺が「犬」と答えると、彼は何やらにっこり笑った。341.5K12K736K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Oct 10, 2022私は祖父が大嫌いだ。物心がついた頃には既に、我が家は二世帯住宅だった。 祖父はむかし犬を飼っていたらしいのだが、私がペットを欲しがっても決して良い顔をしなかった。「動物は嫌いだ」とすら言った。何故と聞くとボソッと一言、「死ぬから嫌いだ」。 ……だから、私も祖父が大嫌いだ。#140字小説1779812K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 16, 2024王様は「これは『バカには見えない服』との事だが」と仕立て屋に尋ねた。 「ちなみに、お前自身には見えておるのか?」 仕立て屋は「ははは、何をおっしゃいます王様」と笑って答えた。 「勿論、仕立てあげた瞬間に見えなくなりましたとも」 「だよね? やっぱバカだよねマジでこんな服作っちゃう奴」361.9K12K824K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 9, 2024勇者は「もう悪さするなよ」とだけ言い、魔王にとどめを刺さなかった。 魔王は尋ねた。 「貴様なぜ私を討たぬ」 「魔王お前、ネットに漫画を投稿してるだろう」 「!?」 「お前を討てばファンが悲しむからな」 ――それは皆に内緒で濃厚なショタBLを描いていた魔王にとって、極めて凶悪な脅しであった。432.4K11K465K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 1, 2023異世界転移した先で僕は感激した。 「うわっ、このハンバーグおいしい!」 食堂の店主が「ハンバーグ?」と首を傾げる。そうか、この世界にドイツはないもんな。 「その、僕の国ではコレの事『ハンバーグ』って言いまして」 「ふーん、変な名前だな」 「この国では何と言うんです?」 「『伯邑考』さ」1174.4K10K2.6M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 13勇者は「もう悪さするなよ」とだけ言い、魔王にとどめを刺さなかった。 魔王は尋ねた。 「貴様なぜ私を討たぬ」 「魔王お前、ネットに漫画を投稿してるだろう」 「!?」 「お前を討てばファンが悲しむからな」 ――それは皆に内緒で濃厚なショタBLを描いていた魔王にとって、極めて凶悪な脅しであった。171.6K10K279K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 9母が「この子、捨てても戻ってくる呪いの人形らしいの」などと笑って櫛をかけていたその人形は、母が介護施設に入ればそこの部屋に。入院すれば病室に。いつの間にかいた。だから私は尋ねた。「……いいのね?」やはりいつの間にかそこにいた人形は、小さく頷いた。今から火葬される母の、棺桶の中で。131.1K10K216K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Mar 8, 2024友人の悪霊が「いやあ昨日ボディービルダーの身体を乗っ取ったんだけどさ」と苦笑した。 「やっぱりダメだねマッチョは。全っ然まともに動けないの」 「まともに動けない?」 「全身の筋肉が『我が主以外の命令になど絶対に従わぬ!』って硬直しちゃって」 「へー、筋肉ってマジで裏切らないんだねえ」81.8K9.7K338K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Mar 16, 2024友人のキャバ嬢が「何か金持ちぶる客がいてさ」と顔を歪めた。 「そいつに『ダイヤのリングが欲しい』ってねだったら、何くれたと思う?」 「何くれたの?」 「時刻表」 「あはは、ダイヤ違いだね。時刻表の指輪をくれたの?」 「ううん。私の為に買収したんだって、山手線」 「でかいリングだなオイ」129469.6K270K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 11魔王は魔法の鏡に尋ねた。 「鏡よ鏡。この世界で一番強い男は誰だ?」 鏡は答えた。 「それは魔王様でございます」 魔王は「そうだろうそうだろう」と、満足げに笑った。 そして数時間後、全身ケガだらけの姿で改めて鏡に尋ねた。 「鏡よ鏡。勇者ってもしかして――」 「はい、男装の麗人でございます」251.4K9.5K240K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 18, 2023奥手な彼に散々カクテルを飲ませて酔わせ、その夜まんまと「結婚しよう」の言質を取ると共に既成事実を作った。私はその事を後ろめたく思っていた。けれど結婚式の日、友人として招いたバーの店主はこう笑った。「ご予約の時に頼まれましてね。あの夜ご主人にお出ししたものは全てノンアルコールです」185399.1K684K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 16, 2024村の長老は「昔は雨ごいの際、村一番の美女を竜神様に捧げとったのですが」と語った。 「ある時、竜神様が村長の夢に出てキレましてな」 「キレた?」 「ええ。『逆に聞くが貴様らはメスの竜に欲情するのか』と」 「はは、もっともだ」 「なので以来、捧げ物は人間の女ではなく高級車になった訳です」532.4K9K509K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Mar 15, 2024筋肉に裏切られた。急に全身の筋肉が猛烈に痛み、動けなくなってしまったのだ。お陰で今日のボディビルの大会は欠場だ。仕方なく自宅で寝ていると、筋トレ仲間から「大丈夫か!?」と電話が入った。「良かった、家にいたのか――大騒ぎだぞ、君が大会会場まで乗る予定だったバスが大事故を起こしたって」198558.4K344K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Oct 2, 2022還暦を過ぎてから着付けを習い始めた祖母は、よく私を練習台にした。私も小遣い目当てに喜んで帯を巻かれたものだ。祖母は後に師範の資格も取った。成人式の日に振袖を着せてくれたのも祖母だ。今日の着付けはプロに頼んだが、祖母の方がずっと上手。鏡に映る真っ黒な着物は、始終ぐんにゃり歪んでる。165037.9K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 13, 2023少女はその祠が、怨霊を封じたそれだとは知らなかった。だから祠に毎日通い、毎日「どうかママの病気を治してください」と手を合わせた。少女が雨の日も風の日もくるものだから、怨霊は「あははっ。俺に必死に祈るとは、なんと愚かな娘よ」と爆笑した。そしてその後、旧知の神霊を呼び寄せ土下座した。151K7.5K463K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 27, 2023近所の和尚さんが中学二年生のご子息に手を焼いているという。 「漫画か何かの影響なんでしょうが、近頃は自分の事を『小生』だの『それがし』だのと言ってみたりで」 「あはは、可愛いもんじゃないですか」 全く情けない話です、と溜め息する和尚さん。 「寺の息子の癖に一人称にセッソウがないとは」232K6.8K467K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 24, 2024少女はその祠が、怨霊を封じたそれだと知らなかった。だから祠に毎日通い、毎日「どうかママの病気を治してください」と手を合わせた。少女が雨の日も風の日もくるものだから、怨霊は「あははっ。俺に必死に祈るとは、なんと愚かな娘よ」と笑い転げた。そしてその後、旧知の神霊を呼び寄せ土下座した。198876.4K517K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 10, 2023鏡に向かい「お前は誰だ」と言い続けると発狂する、とは有名な都市伝説だ。しかし、逆に鏡から「お前は誰だ」と言われ続けたらどうなるのだろう。気になったので頼んでみると、鏡も「面白そう!」とノリノリ。それから彼に毎日「お前は誰だ」と言って貰っているが、今のところ特に気が狂う気配はない。271.9K5.7K380K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 12, 2023「あんた一人っ子なのにね」実家に帰る度、母はそう懐かしげに笑う。話によれば幼い頃の私は、学校から帰ると毎日「姉ちゃんと遊んでくる!」と神社に出掛けたそうだ。しかし、迎えに行くといつも一人だったとか。私もつくづく不思議に思う。なぜ私だけ記憶を残したのだろう、姉を見初めたあの神様は。205055.7K256K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jul 16, 2024村長は「お前あの祠を壊したんかっ!?」と絶叫した。 俺は「ああ」と呆れ顔を返した。 「だからもうやめてくれよ。年に一度『生娘の生首を供える』なんて因習は」 「くっ、どこの馬の骨かも分からん愚か者が勝手な事を――せいぜい祠の主たる龍神様に祟られるがいい!!」 俺がその龍神様だクソじじい。177715.5K187K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 6魔王城から救い出した姫様は、俺の前で王様にこう食ってかかった。「冗談じゃありませんわお父様、わたくし絶対に嫌ですからね。いくら魔王を討った勇者だからって、こんな野蛮人を夫にするなんて」つまり王命が撤回され俺が故郷の村で無事に幼馴染と結婚できたのは、姫様のこの棒読みのお陰であった。77195.5K181K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 9, 2023息子が何やら「ウチのお姉ちゃんて魔女なんだよ!」と興奮していた。いわく「さっき赤信号を『えいっ』て青に変えちゃったの!」との事である。何とも微笑ましい。ただ外へ出てみれば、家の前の信号機が柱から何から全面真っ青に染まっていた。私は溜め息しつつ、それを「えいっ」と魔法で元に戻した。133655K133K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Oct 29, 2024死神は「最後に言い残したい事はあるか」と病床の男に聞いた。 そうだなあ、と男は笑う。 「月並みだが、妻に『世界で一番愛してる』と」 「ふむ」 「あと『今日までありがとう』と」 「ふむ」 「『半世紀以上も見逃してくれて感謝する』と」 「……えっ」 「最初から君の正体には気づいていたよ、と」216305K153K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 12私は盲目だったが、私の夫はきっとイケメンだと思っていた。 そこへ心ない知人が「アンタの旦那、火傷の痕で顔中ただれた化け物よ」と笑った。 堪らず光を取り戻す手術を受け、そして夫を見てみれば全く知人の話通り。 私は泣いた。 「やっぱり貴方だったのね。昔、私を火事から助け出してくれたのは」185725K227K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 26, 2024勇者は幼い頃、迷子の仔竜を保護した事があった。半年ほど共に過ごし、群れに帰す時は散々泣いた。そして今、一匹の巨竜が魔王に火炎を浴びせ勇者を窮地から救った。「お前は――!」勇者が息を飲むと、竜は成長した巨躯に反し昔のままの優しい目で鳴いた。「からあげっ」「好きな惣菜発表ドラゴン!!」131.2K4.6K199K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 7「ねえ叔父さん、最近パパとママが寝てないみたいなの」 「そりゃ心配だな」 「それで僕に『お前は弟と妹どっちが欲しい?』って聞くの」 「うん、なら心配ないかな」 「お部屋にこんなメモがあったの。『水35L、炭素20kg、アンモニア4L、石灰1.5kg、リン800――」 「叔父さん少しパパ達と話してくるな」396614.5K90K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·May 4警察に勤める友人が「こないだ『夫の浮気相手をハンバーグにして夫に食べさせた』とか自首してきた女がいてな」と苦笑した。 「え、大事件じゃん」 「けど調べてみたらそのハンバーグ、ちゃんと牛肉100%でさ」 「なんだ、ただの嘘つき女か」 「いや、夫ってのが特殊な性的嗜好の持ち主だったんだ」336234.5K199K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 5, 2023「攻めの逆は?」と問われたら「守り」ではなく「受け」と返さねばならない。それが潜入先の組織の、スパイをあぶり出す為の合言葉であった。まあ予め正答を掴んでいる以上どうという事はない。だがある時、組織の同僚が俺に聞いた。「ネコの逆は?」俺が「犬」と答えると、彼は何やらにっこり笑った。98774K213K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 16「たとえ世界が君の敵になっても僕は君を護る」と求婚した途端、本当に世界が彼女の敵になった。だから僕はあらゆる刺客から必死に彼女を護った。「――嘘じゃないのね」彼女の声にハッと現実に返る。「私、幻覚を見せる超能力があるの」と彼女が頬を染めたので、僕は言った。「ごめん疑り深い女は無理」125094.1K1.7M
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 24, 2024「やってくれたな小娘。貴様はこのサタン様に『この孤児院のサンタになって』と願った。ゆえに我は出してやった。クリスマスの馳走を。プレゼントの山を。だのに我は貴様の魂を奪えぬ。奪えば子らが泣く。子を泣かすはサンタではない。あー悔しいわー。まんまとタダで利用されて我めっちゃ悔しいわー」225433.9K91K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 17, 2023未来人に私は聞いた。 「未来じゃ漫画も全部AIが描いてたりするの?」 未来人は「まさか」と苦笑する。 「漫画だとAIは主に校正なんかに使われてます。おかげで誤植がなくなりました」 「へえ。じゃあ完全にAIだけの仕事になった職業ってある?」 「政治家と官僚です。おかげで汚職がなくなりました」203553.8K148K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jun 15異世界転移先で何やら、初対面のドラゴンに「君は別世界の『ニホン』という国の出だね」と見抜かれた。 「凄い、なぜ分かったんです?」 「何、私にはニホン出身の知人が何人かいてね。彼らも初対面の時、さっき君がした質問を私にしたのさ」 「僕がした質問?」 「うむ。『好きな惣菜は何ですか』と」135404K80K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 18同僚の国語教師が苦い顔をした。「『走れメロス』の一文を挙げて『この文章を書いた時の作者の気持ちを考えよ』って課題を出したんだが、この解答はどう評価したものか」どれどれ、と提出されたノートを拝見。そこにはこんな文字が踊っていた。『今度こそテメエに俺の作品を認めさせてやんぞ川端ァ!』207943.9K147K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Mar 23, 2024「煙草を吸ってもよろしいですか」 「どうぞ。一日にどのくらいお吸いに?」 「二箱ほどです」 「喫煙年数はどれくらいで?」 「三十年ほどです」 「なるほど。あそこに名状しがたい『何か』がいますね」 「いますね」 「そりゃ煙草でも吸わなきゃ正気を保てませんよね」 「アレは私の眷属ですけどね」86963.8K106K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·May 8その店の主は「ウチは注文の多い飯屋でね」と笑った。 「まず君の全身に小麦粉をまぶせ」 まぶした。 「その上に卵を塗れ」 塗った。 「じゃあパン粉をつけて180度の油に飛び込め」 つけて飛び込んだ。 が、30分ほど油につかったところで私はふと店主に尋ねた。 「これ塩コショウ忘れてません?」345803.8K130K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Jan 11, 2024「たとえ世界が君の敵になっても僕は君を護る」と求婚した途端、本当に世界が彼女の敵になった。だから僕はあらゆる刺客から必死に彼女を護った。「――嘘じゃないのね」彼女の声にハッと現実に返る。「私、幻覚を見せる超能力があるの」と彼女が頬を染めたので、僕は言った。「ごめん疑り深い女は無理」146783.7K144K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Mar 22友人の怪盗がある富豪に『今宵、貴方の一番の宝を頂きます』と、いつもの予告状を出した。が、何やら彼は珍しくその予告を反故にした。そして私と一杯やりながら、こう笑った。「数十億円する宝石を狙ったんだが見込み違いだったよ。あの富豪、宝石なんか放置してガッチガチに奥さんの警備を固めてね」107523.8K119K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 7, 2023宿の女将は「お客様、あの祠には決して近づかないでくださいね」と言った。道を歩けば村人から「兄ちゃん、あの祠には絶対に近づくなよ」だの「若いの、あの祠には近づいてはならんぞ」だの声をかけられた。だから忠告通り『あの祠』には一切近づかず村を出ると、村中から「チッ」と舌打ちが聞こえた。145723.5K147K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Feb 21母が「私達サキュバスの『魅了能力』は聖騎士には無効だから注意なさい」と言うので、私は首を傾げた。 「でもママ、他ならぬ私のパパは聖騎士でしょう」 「だから言ってるの」 「どういう事?」 「私達、不慣れだから一発でやられちゃうのよ。魅了が効いてない癖に『愛してる』なんて甘く囁かれたら」54163.2K102K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Oct 1, 2022「嫌な事を忘れられる宿、って売りだろう? 何も忘れられなかったよ」商いが長くなれば、時折こんな客も在る。 「左様に御座いますか」笑顔で応じたものの、次ぐ一言には流石に泣かされてしまった。 「……やっぱり僕、幸せだったんだなあ」 その常連様がお一人でいらしたのは、今年が初めてだった。53103.1K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 20, 2023「ほらオレ偽善者だから」と友人はヘラヘラ電車で老婦に席を譲った。 「ほらオレ偽善者だから」と友人はヘラヘラ募金箱に紙幣を入れた。 「ほらオレ偽善者だから」と友人はヘラヘラ戦地へボランティアに行き、帰らなかった。 ……神様をぶん殴ってやろうと思ったが、僕はやっぱり思うだけなのだろう。102473.1K87K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Aug 25, 2024合コンに行ったらなんと、妻がいた。 ゆえに帰宅後、喧嘩になった。 「アンタ何考えてんの」 「君こそ何考えてんだ」 「話しといたでしょ、私の方はただの人数合わせ要員よ」 「僕もそう言っといたろ」 「そう言ったってアンタ、まさか女装して女側で出るなんて」 「君こそ男装して男側で出るなんて」104013.1K63K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Nov 17, 2024「ね、ねえコレ本当にただのマッサージなの……? ま、マッサージって普通こんな事する……? ほ、本当に……? 本当にどこのお店でも、マッサージ前に自分でするものなの……? 顔や手足に牛乳のクリームを塗ったり、頭にお酢の匂いがする香水を振りかけたり、体中に塩をよく揉みこんだり……?」206613.1K86K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 16, 2023父は昼も夜も必死に働いていた。一方で、母は毎日のように男を取っ替え引っ替えしていた。半ばラブホテルに住んでいるような女だった。なのに父は「みんな稼ぎの悪い俺が悪いんだ」などと、そんな母に何も言わずにいた。高校を出る頃だった。私の持病の治療薬が、日本では保険適用外な事を知ったのは。212082.9K257K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 12, 2023世界一の剣士である父を超える為、かつて剣術大会で父が唯一敗北を喫した人物を訪ねた。だがその人は何やら、事情を話すや「君は彼の子か!」と散々ご馳走だの何だので僕をもてなした。そしてこう苦笑した。「あの時、彼は知ってたんだ。私に難病の妻がいて、どうしても賞金と仕官先が必要だった事を」113643K128K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Dec 10, 2023「あなた昔、猫を飼ってましたね」と霊能者の男は言った。『肝試しに行ってから夜中に妙な音がするんです』そう相談するや第一声がソレだったので、私は驚いた。さらに彼がお経を唱えると目前に女の亡霊がぼんやり姿を現したものだから、これにも驚いた。涙目のその亡霊は全身ひっかき傷だらけだった。122902.8K114K
御二兎レシロ/140字小説@hakushi_tsutan·Apr 28激闘の末に魔王を討ったはずがその直後、謎の男が「いやあお見事」と拍手と共に現れた。 「ふふふ。初めまして勇者さん、私は魔王です」 「なっ!? じ、じゃあ俺が今倒したのは――」 「ふふふ。貴方が倒したのは私の上司の大魔王様です」 「……ん?」 「ふふふ。降伏します命だけは助けてください」163752.8K41K