フリーランスが直面する子育ての現実 難しい「働いていること」の証明…出産翌日から仕事再開も #令和の人権
政府も、2023年12月に閣議決定した「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋」のなかで、フリーランス等の社会保険適用のあり方について「新しい類型の検討も含め、引き続き検討を深める」としている。 しかし、平田さんは「楽観できない」と話す。「財源の問題になるので、先送りしようとする力が働くことは十分考えられます」。実際、数年前に当時の岸田首相が「フリーランス向けの育児休業給付金に代わる新制度をつくる」と明言したものの、議論が立ち消えになった。 「制度改革の話になると、『好き勝手に働いて、たいした税金も払っていないのに社会保障を求めるなんてわがままだ』という声が必ず上がるのですが、フリーランスも個人事業主や会社経営者としてきちんと納税しています。それでも、政治家のなかには『個人事業主=いい加減』というイメージを持っている人が少なくありません」 こうした偏見が議論を前に進めるうえでの見えない壁になっている。 「だからこそ、フリーランス自身も、記帳レベルを上げ、納税意識を高める必要があると思っています」
増えるフリーランス志望者からの相談 制度を知りキャリアを守る
実際にフリーランスが出産・育児で利用できる制度にはどんなものがあるのか。出産後の女性の雇用環境の整備に取り組み、フリーランスの相談にも応じてきた社会保険労務士の佐佐木由美子さんに整理してもらった。 「国民健康保険に入っていれば、出産育児一時金(子ども1人につき原則50万円)や児童手当(子ども1人あたり月1万~3万円)が利用できます。出産前後の4カ月間(多胎妊娠は6カ月間)を対象に、国民年金保険料と国民健康保険料が免除される制度もあります。さらに、2026年10月からは、子どもが1歳になるまで国民年金保険料が免除される制度が、男女ともに利用できるようになります」 大事なのは、こうした情報を自分で取りに行き、マネーリテラシーを磨く意識だ、と佐佐木さんは言う。 一方、前述のように、フリーランスには「出産手当金」と「育児休業給付金」がない。 「(被雇用者が受給する)育児休業給付金は最長2歳まで受給でき、金額も200万円程度になることも。あるかないかで大きな違いです」 冒頭の西原さんのような「就労証明が出せない」という問題については、統一ルールの必要性を訴える。 「現在は、自治体や施設ごとに対応がバラバラで、フリーランスの方が困惑するケースは少なくありません。全国共通の様式やガイドラインを設け、フリーランスだからという理由で不利益を受けない制度を設計することは急務だと思います」