半世紀にわたって小倉港(北九州市小倉北区)と松山観光港(松山市)を結んだ定期航路が6月30日、幕を閉じた。岸壁にはフェリーの最後の出港を見送ろうと大勢の人が集まり、別れを惜しんだ。
松山―小倉航路は1973年に開設され、2013年から石崎汽船(松山市)の子会社「松山・小倉フェリー」が事業を担った。当初は「フェリーくるしま」と「フェリーはやとも2」の2隻で運航。毎日午後9時55分の同時刻に小倉港と松山観光港をそれぞれ出港し、翌日の午前5時に到着する定期航路は、最盛期には年間12万人の利用客があった。
しかし、新型コロナウイルスの影響などで利用者が減少。24年7月以降は「くるしま」のみ隔日出港の体制で運航を続けてきたが、燃料費の高騰なども加わり、航路維持を断念した。
愛媛県今治市の愛媛県職員、山口憲一さん(51)は、愛車のバイクで福岡の友人宅などを訪ねた帰りに乗船。「船とバイクはとても相性が良く、無くなるのは残念。全国でフェリーが減っていくのはとてもさびしい」と話した。
午後9時55分、汽笛を大きく鳴らしながらフェリーがゆっくりと岸壁を離れた。大勢の人がペンライトや手を振りながら「ありがとう」「さようなら」と大きな声を掛けると、船内から盛んに手が振り返されていた。【反田昌平】
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