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「魚雷バット」は報道の言葉として適切か 「戦争用語」を考える
2025/7/5 06:00 2164文字米大リーグなどで話題となった「魚雷バット」は報道の言葉としてふさわしいのか――。日本新聞協会に加盟する新聞社や通信社、放送局の用語担当者らが、そんな議論をかわしたという。毎日新聞社にも読者から戦争を想起させるとの意見が寄せられた。今年は戦後80年の節目の年。協会の用語専門委員である関根健一さんに「
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フィールドの向こうに
世界共通の願い=田原和宏
2025/7/3 13:12 913文字現役時代の写真は手元に3枚しかないという。メディアでほとんど取り上げられなかったからだ。 イランの女子サッカーU17(17歳以下)代表監督、アザム・シルイさんの講演会が6月、東京都内であった。文筆家・イラストレーターの金井真紀さんの「テヘランのすてきな女」(晶文社)の取材が縁で来日した。金井さんは
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いま会いたい
「世界の見方を変える」 驚きの取材手法 ボクシングも体験
2025/6/28 08:00 3800文字スポーツ記者として学ぶべきものがある。一読してそんな思いを抱いた。 <エスノグラフィを特徴づけるなら、生活を書くことにある> <(ボクシングの)例を出すなら、劇的なKO試合を書くのではなく、普段の地味な練習風景を分厚く書いていく>(「エスノグラフィ入門」ちくま新書) フィリピンのボクシングジムから
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フィールドの向こうに
幸福度を上げるスポーツ=田原和宏
2025/6/26 13:15 917文字好奇心旺盛なままだった。 明治大政治経済学部の渡辺すみれさん(21)。2022年に「隠れた才能を生かそう」と題した特集で、バスケットボール選手の馬瓜(まうり)エブリンさんらと経済誌の表紙を飾った。行動する若者の象徴の一人として紹介された。当時は神奈川・江の島FCのサッカー選手でもあり、興味がわいて
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論点
サウジ批判はもろ刃の剣? 浮上する「スポーツ界の不都合な真実」
2025/6/25 09:00注目の連載 1648文字国際的なスポーツビジネスにおけるサウジアラビアの存在感が高まっている。2034年にサッカーのワールドカップ(W杯)を単独で開催するほか、ボクシングなど注目イベントが目白押しだ。 人権問題などの課題を覆い隠すスポーツウオッシングとの批判もつきまとうが、巨額のオイルマネーに支えられるサウジはスポーツ界
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海を渡る球児たち
米、学生ビザ取得の面接再開へ 海を渡る球児に安堵の声
2025/6/20 20:27 579文字「海を渡る球児たち」にとって、待ち望んでいた知らせが届いた。 米国務省は18日、世界各国の米大使館で学生ビザ取得のために必要な面接の予約を再開すると発表した。これを受けて、今秋から米国の大学で野球に挑戦する選手たちからは安堵(あんど)の声が聞かれた。 今春に関東の私立高校を卒業した18歳の選手はS
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フィールドの向こうに
つなぐか、分かつか=田原和宏
2025/6/19 13:15 913文字梅雨空にもかかわらず、多くの観客が声援を送った。 サッカーの日本フットボールリーグ(JFL)所属のクリアソン新宿は15日、「新宿の日」と銘打ち、今年も国立競技場でホームゲームに臨んだ。観客数は目標の2万人に及ばなかったが、クラブの持つJFL最多記録を更新する1万6755人が駆け付けた。 国立競技場
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海を渡る球児たち
米国留学続くカマガク野球部 受け継がれる「禅」の教えの人材育成
2025/6/14 07:00 4026文字高校から米国の大学に留学する球児が増えている――。そう聞いて訪ねたのは初夏の気配が漂い始めた5月半ばのことだった。 JR鎌倉駅から土産店の並ぶ小町通りを抜けて約30分。鎌倉五山の建長寺が見えてくる。総門をくぐり、左手の脇道を上ると、裏山の中腹に私立鎌倉学園高野球部のグラウンドがあった。地元では「鎌
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フィールドの向こうに
「ハッピープライド」=田原和宏
2025/6/12 13:03 927文字多様性と聞くと、6年間背負い続けたランドセルを思い出す。 色は男子が黒、女子が赤という時代だったが、私のは青を基調に赤や黄も交じっていた。小学1年の途中まで暮らしたドイツで買ったものだった。帰国後、担任が代わるたびに「みんなと同じものを」と言われたが、かたくなに拒んだ。幼心にも自らの歩みを否定され
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フィールドの向こうに
「チャンスの国」はどこへ=田原和宏
2025/6/5 13:05 931文字海を渡る球児が顔をそろえた。 野球などスポーツ留学を支援する「アスリートブランドジャパン」の研修会が5月28日、東京都内であり、米国の大学に留学する約40人が参加した。この日は朝から米トランプ政権が学生ビザ取得に向けた面接の予約を一時停止するよう指示したと報じられていた。 「面接がピークの時期。一
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フィールドの向こうに
新たな仲間=田原和宏
2025/5/29 13:07 922文字特定の担当を持たない記者を英語でroving reporterと呼ぶ。rovingとはさまよう、放浪するの意味。言い得て妙だ。私もそんな一人だからだ。 ただ、独自に取材を続けていると、この道で正しいのだろうかと不安になることもある。そんな時、一人の学生と出会った。 日本大芸術学部4年の橋本光騎さん
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いま会いたい
「歩くことはスポーツではない」 仏人哲学者からのアンチテーゼ
2025/5/24 08:00 3420文字<歩くことは、スポーツではない> 今年3月に刊行されたフレデリック・グロ著「歩くという哲学」(山と渓谷社)の書き出しである。 著者はフランスの政治哲学者。詩人のランボー、思想家のルソー、哲学者のニーチェらを紹介しながら、歩くことの意味について考える一冊だが、スポーツ記者である私には近代スポーツへの
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スポーツ界の片隅で
「パワハラ放置」のデフバスケ協会 会員7割が元監督復帰に反対
2025/5/22 16:30 1829文字聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」東京大会(11月15~26日)のバスケットボール男子日本代表の選手が元監督からのパワーハラスメント被害を訴えた問題で、日本デフバスケットボール協会(JDBA)の正会員のうち7割近くが、元監督の代表チーム復帰に反対する嘆願書に署名したことが明らかになった
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フィールドの向こうに
ポジティブでいこう=田原和宏
2025/5/22 13:06 927文字ポジティブ。スポーツ界でやたらと耳にする苦手な言葉である。 毎日新聞での掲載記事を検索すると、他の分野に比べてスポーツでの使用頻度が格段に高かった。 アスリートが「ポジティブに捉えて」と語るのは大抵、苦境の時だ。心の強さを感じたが、現状認識が甘いと思うことも多かった。 コラムニストのサンドラ・ヘフ
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スポーツ界の片隅で
パワハラの訴え8カ月放置 デフバスケ協会へ募る選手の不信感
2025/5/16 16:30スクープ 1877文字聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」東京大会(11月15~26日)の開幕まで半年を切りながら、バスケットボール男子日本代表の強化体制が揺らいでいる。 昨年、選手たちが元代表監督によるパワーハラスメント被害を訴えたにもかかわらず、日本デフバスケットボール協会(JDBA)が約8カ月も放置した
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フィールドの向こうに
「魚雷バット」を考える=田原和宏
2025/5/15 13:05 924文字二十数年前、記者になって最初に暮らしたのがコンビナートのまち、山口県徳山市(現周南市)だった。港にはフェリー乗り場があった。行き先は大津島。人間魚雷と呼ばれる旧日本海軍の特攻兵器「回天」の訓練基地があった。 島には記念館があり、二十歳前後の搭乗員らの遺影や遺書、手紙が展示されている。訪れるたびに戦
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海を渡る球児たち
都立の星、古豪、エンジョイ掲げる慶応大 流転の先に見えた答え
2025/5/10 07:00 3972文字なぜ球児たちは海を渡るのか。その理由はさまざまだ。米大リーグに憧れる人もいれば、就職など自らのキャリアを見据える者もいる。言語や文化の違いを超えた交流を望むケースもあるが、「ただ、野球を楽しみたい。自分らしく」と答える者がいたとしたらどうだろうか。 高校卒業後、米国の大学を目指す選手が増えています
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フィールドの向こうに
クライマーの「贈与論」=田原和宏
2025/5/8 13:05 935文字人生を懸けている。プロクライマーはそう言って笑った。 スポーツクライミング女子複合で2021年東京オリンピック銀メダルの野中生萌(みほう)選手(27)が4日、埼玉県新座市にクライミングジムを開設した。総工費1億4000万円は全額自己負担。稼いだ賞金やスポンサー収入、イベント出演料を投じたという。
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フィールドの向こうに
誰かに頼る勇気を=田原和宏
2025/5/1 13:06 933文字新入社員たちはアイマスクをして目が見えない状態にある。5メートルほど先のボールまで一歩ずつ恐る恐る進む者もいれば、向こう見ずに前へ飛び出す者もいる。参加企業の人事担当者は「その人の本質が見える」と評価する。 日本ブラインドサッカー協会が企業向けに提供する体験型の研修プログラム。2014年に始まり、
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いま会いたい
識者「日本の方が質が高い」 大谷翔平が日米野球史に投じた一石
2025/4/26 09:00 3629文字球児が次々と海を渡る時代だ。野球の最高峰の舞台、米大リーグでは、大谷翔平選手(ドジャース)ら多くの日本選手が活躍する。今年7月には米野球殿堂博物館で「野球とベースボール 太平洋を越えた日米の野球交流」と題した企画展が開かれる。今後、日米の野球はどこへ向かうのか。両国の野球史を追い掛けてきたノンフィ
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