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テイルズオブジアビスのせいで具合が悪い

 最初に言っておきたいのですが、私は『テイルズ オブ ジ アビス』のことが大好きです。最高のゲームだと思っています。でも、このゲームのせいでずっと具合が悪かったです。そのせいで、こんなタイトルになってます。

 人は、いつか「人生観に影響を与える作品」に出会う。
 それは、割かし子どものころに出会うことが多いのかもしれない。学生のころに触れたゲームやアニメなんかが、人格形成に影響を与えたりする。でも、「大人になってそんな作品に出会うこと」って……ある?

 いや、出会えた。
 出会ってしまったのだ。
 それこそが、『テイルズ オブ ジ アビス』だった。

 遊んでる最中ずっと具合悪かったけど、なんかひたすら落ち込まされたような気がするけど……それでも私にとっては、私の人生にとっては、間違いなく必要なものでした。あとこれだけイジメられたので、なにかしらの仕返しをしたい。そんな気持ちで、感想を書いてみました。

 感謝と、怨念と、恩返しと、恨みを込めました。
 正直、これは人に読ませる内容じゃないと思います。
 それでもよかったら、ぜひ読んでください!

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ストーリー編

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 このゲームは……なんというか、「ルークの一生」を味わうゲームだと思う。とにかく、ルークという人間の人生を見届けるようなゲームだった。

 だから、これから書くことも、全部「ルークの後ろ側から見ている保護者」みたいな視点になると思う。というか、私自身テイルズオブジアビスを遊んでいて、いつの間にかそんな感じのポジションになっていた。なんか、気がついたらそのポジションに座らされるゲームだった。

 だから、いまからオレはルークの保護者だ!
 よろしく頼むぜ、みんな!! 

 ということで、私個人の視点で「ルークの一生」について書きます。


深い闇に飲まれないように 精一杯だった

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 なんだか、最初から「心の柔らかい部分を刺激してくるゲーム」だという感覚があった。遊んでいると、心がキュッと痛むときがある。

 特に、明らかに記憶が欠落しているルークの「なぜ自分は欠落があるんだ」「なぜ自分は他人と違うんだ」という焦りや不安がダイレクトに伝わってくる。大きな怪我とか、障害とか、そういうものに心当たりがあるので……ルークの感じている不安がすごくわかる。

 そんな焦りや態度も相まって、ルークと仲間たちとの不和もどんどん深まっていく。もう、この時点で心にトゲが刺さり始めていた。

  自分、「アニス」が好きだったんです。かわいいから。しかも、私がピュアなばっかりに、アニスは「腹黒キャラだけど、ルーク様への愛はガチ❤️」みたいなキャラなんだと信じてました。サラッと財産目当てだと発覚して、普通に落ち込みました。いきなりギスギスと裏切りのWパンチ。

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ひどい
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 ルークが親善大使に任命されて、どんどん不和が加速していくなかで、ふと思い出した。私は親が喧嘩しているとき、無条件で泣き出すタイプの子どもだった。人が目の前で言い争っていると、自分は関係なくても泣きそうになってくる。このゲーム、そんな心の脆さを強く刺激される。

 とりあえず私が謝るから、みんな仲良くしてほしい。
 もう、なんでもいいから仲良くしてほしいい。

 遊んでいる最中、どんどん目から光が消えていく。だから私は人付き合いが苦手なんだ。こういうのを見たくないからコミュニケーションで深入りしすぎないようにしているのに。苦しい。ただでさえ日中働いているのに、仕事が終わったらテイルズオブジアビスにいじめられる生活が始まった。

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 この「ルークが周囲と上手くいかなくて、少しずつ蚊帳の外にされていく」という描写、本当に真に迫るものがある。私は、些細な人間関係の失敗を1週間引きずるタイプの人間だ。「あっ、いま嫌われた」とか「言わなきゃよかった」みたいなことを、ずっと忘れられなくなる。

 そんなツラさを、テイルズオブジアビスは延々とわんこそばみたいにぶつけてくる。普通にしんどい。一度の失敗で1週間引きずる私がルークだったとしたら、もう負債が重なりに重なって10年は引きずれそうだ。

 そんな状態で、ルークはヴァン師匠のことだけを信じている。「こんな状態だから」とも言える。ヴァンは、明らかに信じちゃいけないタイプの大人。でも、ルークはそれにすがるしかない。みんなからは蚊帳の外にされる。八方塞がり。どうにかしたいけど、私はどうにもできない。

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確実にマズいことはわかる

 もう、うっすら気づき始めていた。

 私みたいな人間は、あんまりテイルズオブジアビスを長時間遊ばない方がいいのかもしれない。なんでもいちいち真に受けてしまうし、いちいち考えすぎてしまう。悩み事がひとつあるだけで一睡もできなくなるような心の弱い人間は、ちょっと向いてないかもしれない。心が疲れてきた。

 できれば、ルークにひどいことをしないでほしい。
 あんまり、人が傷ついているところを見たくない。
 でも、なんにも上手くいかない。痛い、なんか胸のあたりが痛い。


ひとつ分の陽だまりに ふたつはちょっと入れない

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 どうにもならず、結局アクゼリュスは落ちた。
 大人も子どもも、ギリギリ救えそうだった目の前の命も、全員死んだ。当たり前だけど、うっすらとルークを責めるようなムードになっていく。

 誰も口火を切らないだけで、なんとなく空気で伝わってくる。「お前が悪いんだ」と。過ぎたことを言っても仕方がないから、なんだかんだルーク以外のみんなは(精神的に)大人だから、言わないだけで。

 ごめんなさい、ルークは悪くないんです。
 ただ、ちょっと信じる相手を間違えてしまっただけで。
 この子なりに、役に立とうしていただけなんです。
 この子は悪くないんです。どうか、許してあげてください。

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 ……俺は……俺は悪くねぇぞ
 だって、師匠が言ったんだ……。
 そうだ、師匠がやれって!

 こんなことになるなんて知らなかった!
 誰も教えてくんなかっただろっ!
 俺は悪くねぇ! 俺は悪くねぇっ!!

 うん、率直に思った。
 声を大にして言いたい。

 ルークは悪くないよ!!!!!!!!!!!!

 だって、ルークなりに世界を救おうとしてたじゃん! 頑張ったよ! なにも知らなかっただけで……ちょっと、いろんなことを知らなかっただけだよね! きっとルークはいいことをしようとしてたんだよね! だから、だから……ルークは悪くないよ……ルークは絶対悪くないよ!!

 まだ世界を知らない子にとって、「見えている世界」というのは、自分が見えている範囲がすべてだったりする。小学校で、自殺してしまったりする子がいる。そんなときに、「学校だけが世界のすべてじゃないのに」と思う大人もいるかもしれない。でも、子どもにとってはその世界が全部だ。

 きっとルークだって、7年間閉じ込められた屋敷と、ヴァン師匠への信頼によって作られた世界がすべてなんだと思う。それがルークの世界なんだ。

 だからせめて私だけは、ルークの味方になりたい。
 こんな状況だとしても、「ルークは悪くないよ……!!」って抱きしめてあげたい。我ながら、こんなに他人に庇護欲が湧くことがあるのかと思うくらい。なんでこんなにルークを守りたいのか、自分でもよくわからない。

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 でも、さすがにみんなキレた。
 ティアも、アニスも、ジェイドも……みんなに見放されてしまった。個人的にはジェイドが言い放った「せめてルークには事前に相談してほしかったですね」のひと言がかなりトラウマだ。もはやロジハラだぞこの鬼畜眼鏡。

 あと、なによりガイに幻滅されたのが辛い。
 ガイの怒りは……きっと優しさからくる怒りだったからだ。ルークの使用人であり、幼なじみでもある彼の「あんまり幻滅させないでくれ」という言葉が、あまりにも重い。他人のことなのに、自分のことのようにしんどい。

 ……これは、ひょっとして夢オチの方がまだマシなんじゃないか?

 そう思えてくるくらい、取り返しのつかない失敗をしてしまった。犯した罪は、絶対に消えない。奪った命は、戻ってこない。どうしたらよかったんだろう。もう、ルークと一緒に泣いてあげることしかできない。

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 そして、ルークはレプリカだった。

 アッシュはルークにすべてを奪われていた。
 泣きながらアッシュに立ち向かうルーク。
 偽物が本物に勝てるはずもなく、あっさり負けてしまった。

 あ…………ああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっっ!!!!!! ……ってプレイ中本気で動転していたら、暴れすぎてメガネが壊れるっていう。オイ実害出ちゃったよ!!!!!

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普通にプレイ中にポキッていきました

 どうすんのこれ?
 アッシュどう責任取ってくれんのこれ!?

 普通に仕事用で使っていたメガネだったので、翌日職場にはそれとなく連絡を入れて、日中にメガネを修理してもらった。職場に「アクゼリュスで動転しすぎてメガネ壊れました」とか言えるわけないだろ。アッシュのせいで修理代13200円も持っていかれた。俺は悪くねえ! 俺は悪くねえっ!!

 このへん、本当に心が疲れすぎて、「10分遊んだら、10分横になって心を落ち着ける」というテイルズオブジアビス交互浴みたいな遊び方をしていました。逆にメガネが壊れたことで、精神まで壊れずに済んだかもしれない。

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このセリフだけが救いでした。


悲鳴をあげたヒーロー 世界の真ん中で

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 主人公が、アッシュに変わってしまった。
 この絶望感。そこは、ルークの席だったはずなのに。

 しかも、主人公がアッシュに切り替わったら、ちょっとパーティーの空気がよくなっている。リアルすぎてしんどい。やめて……ルークは、ルークはなにも悪くないんです……この子を仲間に入れてあげてください……。

 しかもみんな、それとなくルークの陰口を言い始める。
 アニスはシンプルに口が悪いし、ジェイドは「私の息子なら、もっと利発で愛くるしいと思いますがねえ」というライン越え発言をかますし、ナタリアはサラッと「本物のルーク」という言葉が漏れる。もうやめて!!

 私は、このゲームに出てくるキャラは割とみんな好きだ。

 でも、キャラ名で検索しようとすると、ガイを除いてほぼ全員「(キャラ名)嫌い」というサジェストが出る。当初は「あーん、テイルズって人気RPGですもんねえ♥」と思っていたけど、いろんな意味で納得してきた。うん、これはみんな何かしらのトラウマを刺激されても仕方がない。

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「アッシュを介してこの光景をルークが見ている」事実が一番グロい気がする

 変わりたい。このままじゃいけない。
 そんな思いでルークが髪を切る。

 私、テイルズオブジアビスの一番好きなところは……ものすごく「性善説で作られたゲーム」だと思うところです。世界観も、お話も、尋常じゃないくらいハードだけど、とても性善説に基づいたゲームだと思っています。

 人は、必ず変われる。
 失敗を認めて、過ちを受け入れて、進んでいける。
 そんなルークの成長が、断髪イベントで描かれている。

 このゲームは、きっと根底に「人は変われる」という願いがある。成長するためには、失敗を受け入れなくちゃいけない。どんなに惨めでも、恥ずかしくても、受け入れがたくても……それに向き合って前に進もうとした人こそが、成長できる。そんな、人の可能性と善性を信じている。そこが好き。

 そして、私たちプレイヤーは、そんな成長していくルークに「エラい!頑張って!」と思える。少なくとも、私はずっとそう思っていた。そんな、「きっとみんながルークを応援してくれるはず」と、強烈にプレイヤーの善性を信じているゲームだとも思うのです。

 だって、ルークが好きになれなかったら、こんなの耐えられない。少なからず、ルークに同情や応援の気持ちがないと、ゲームを続けていけない。でも、きっと……優しい人なら、ルークのことをわかってくれる。彼のことを信じて、一緒に進んでくれるはずだ。

 そんな、「プレイヤーの優しさへの信頼」を感じるんです。
 私は、それが嬉しかった。ゲームが、こっちを信じてくれてる。であれば、私も全力でその信頼に応える。ルークを応援して、彼の成長を傍らで見守り続けるのみ。そんな性善説に基づいているところが、大好きです。

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髪を切ると、ちょっと少年っぽく見えるところにキャラデザの妙を感じます。


天気予報 どんな時も僕は晴れ 君が太陽

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 再出発したルークのところに最初にやってきたのは……「ガイ」だった。この「ガイが最初に来た」という事実、なによりもうれしかった。たとえレプリカでも、ガイにとっての本物は「ルーク」だけだった。

 すごく恥ずかしい、っていうか結構気持ち悪い話をするのですが……自分、「男同士の友情が裏切られるはずがない」と思っている節があるんです。なんとなく、漠然と、友情だけは裏切られない。裏切ってほしくない。交わした友情は本物であってほしい。

 これ、きっと高校時代の思い出が原因で……
 私は、高校時代に学校に行かなくなって、いわゆる「保健室登校」という状態になりました。誰も来ない保健室で、ひとり時間を潰すわけです。そのときに、当時の親友がわざわざ保健室まで雑談しにきてくれたんです。

 わざわざ保健室に来ることないのに。こんな浮いてるやつのとこなんか来なくたっていいのに。アイツになんのメリットもないはずなのに。でも、遊びに来てくれた。あの時のことが、私の価値観に衝撃を与えたのだと思います。アラミス湧水道で来てくれたガイに、そのことを思い出しました。

 ガイ、ありがとう……。
 ルークのために来てくれて、本当にありがとうございます。

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 テイルズオブジアビスの不思議なところは、パーティーメンバー全員にそれぞれ明確な欠点……もっと乱暴な言い方をしてしまえば「嫌いになれるところ」がハッキリあるのに、みんな好きになれるところだ。

 ティアも、ガイも、ジェイドも、アニスも、ナタリアも……パーティーのひとりひとりをちゃんと見ていると、結構いい人だったりする。でも、いざ6人揃ったときに、誰かしら必ず「イヤなやつ」に見える。誰も悪いやつじゃないのに、誰かしら悪いやつに見える。でも、みんな好きになれる。

 誰も最初から「他人を傷つけよう」だなんて思っていないのに、いつの間にか組織や共同体のなかでヒエラルキーが生まれていく。すごくリアルな人間関係を描いているゲームだと思う。だから、必ず誰かは嫌いになる。100人いる組織に所属して、誰も嫌いにならないなんて不可能な話だ。

 しかし、同時にそんな「欠点」を愛せるゲームでもある。
 これは私の哲学かもしれないけど、人のいいところを見つけたら、同じ数は悪いところを見つけるようにしている。逆もまた然りで、悪いところを見つけたら、同じ数いいところを見つけるようにしている。だから、欠点だって愛せる。欠点がなければ人間じゃない。それを愛してこそだ。

 その欠点を愛して、初めて他人と向き合ったと言えるはず。
 テイルズオブジアビスは、どのキャラクターも均等に「いいところ」と「悪いところ」を持っている。だから、人として愛せる。たとえ嫌いになったとしても、完全には見放せない。もちろん、ルークだってそう。

 だから……「みんなのことが好きになる」ゲームになっていると思います。このパーティーそのものが好きになる。あんなにヒドい目に遭ったのに、あんなにギスギスしてたのに、それでもこのメンバーが好きになってしまう。みんな嫌いになれて、みんな好きになれる。そこがすごい。

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君の存在だって いつでも思い出せるけど
本当に欲しいのは思い出じゃない 今なんだ

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 話は進んで、どんどん物語は終わりに近づいていく。
 冒険を続けたなかで、ジェイドがちょっとずつこのメンバーに愛着を持ち始めてそうなところ……ホントに泣ける。この鬼畜眼鏡に感情移入する日が来るとは思わなかった。これって、「愛」ですよ。

 ここにきて、私にある感情が芽生える。
 なんか……寂しくなってきた。

 あんなに苦しめられたのに、あんなに「自分は向いていない」と思っていたのに、旅の終わりが近づくなかで、「寂しい」と思ってしまった。みんなに友情を感じてしまった。もう一生このメンバーで旅をしよう。終わりのない冒険に出ないか。私は……私は永遠がほしいよ!!

 俺、ジェイドと旅して良かったと思う。
 ヴァン師匠とは違うけど、ジェイドも俺の師匠だな。

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 ただ、無慈悲にも物語は進んでいく。
 ついにヴァンとの最終決戦へ。

 テイルズオブジアビスで頻出する「だったらなんで俺を作った!俺は誰で、なんの為に生まれたんだ!」といった感じのセリフ、なんか普通に人間が生きるアイデンティティの否定だから、聞いてるだけで泣きそうになってくるんです。繊細すぎ……? そんなこと、言わないでほしくて……

 少しずつ、ルークも変わってきた。
 失敗を受け入れて、みんなとも仲良くなった。

 それでも、ルークがなんの為に生まれたのかはわからない。どうして作られたのかもわからない。この子にどうしてあげたらいいんだろう。ただ私は泣くことしかできない。「そんなのなくたって、生きててもいいよ」としか言ってあげられない。そんなに自分の存在理由を否定しないでほしい。

 自分は、作品の内容とか語っていることを、なんとか頑張って100%ピュアに受け止めようと心に決めている。ただ、テイルズオブジアビスについては……本当に「自分の生きてる意味って何?生きてる価値って何?」と真剣に考えて、夜ベッドで半泣きになったりした。割と毎晩。バカですよね。

 でも、ヴァンは倒された。世界は救われた。
 魔界の問題は解決し、外殻大地は元に戻った。
 RPGとして、テイルズオブジアビスは完結したのだ。

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怖かったら叫んで欲しい 
すぐ隣にいたんだと 知らせて欲しい

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 いや、終わるはずもなかった。
 世界を救ってもなお、ルークが生きている意味は見つからないし、ルークが偽物である事実は変わらなかった。だから、まだ終わっていない。

 この「世界を救ったのに普通に続きが始まる」という構成、めちゃくちゃすごくないですか? だって、これってRPG的にありえないことなんです。

 通常、RPGは「世界を救う」……つまりは世界観か設定を消費しきったら、そこで畳むものだと思います。実際このゲームも、ヴァンを倒した時点で「外殻大地と魔界」という世界観の根底にある設定を消費しきったので、これ以上ストーリーを続けても仕方がない。どう考えても畳むべき。

 でも、まだ終われない。
 なぜなら、ルークの問題に決着がついてないから。

 この姿勢、なんかカッコいいと思います。
 作品の中核が、もう「人間」になってるんです。世界を救ったからといって作品は終わらない。世界は救われても、人間が救われていない。だから終われない。終わらせない。ある意味、RPGの禁忌を犯していると思います。でも、テイルズオブジアビスは間違いなくそうあるべき。カッコよすぎる。

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 本当は家にいたって、居場所はないんだ。
 みんな俺のことをレプリカって目で見るんだから。
 
 アッシュが帰ってきたら? 
 俺なんかいらないって言われるんじゃないか? 

 理屈じゃわかってるんだ! 
 俺は俺だって! だけど……俺ってなんだ?

 師匠が言ってただろ。
 『何かの為に生まれなければ生きられないのか?』って。
 少なくとも俺はそうだよ。不安なんだ。

 俺は、なんのために生まれたのかって。
 ……変わりたかった。でも変わるにはまず『俺』が必要だ。
 だけど俺には、そもそも『俺』がないんだよ。

 そして、あまりにも残酷に、「世界を救ってもルークが偽物である事実は変わらない」という現実を突きつけてくる。世界を救った。元通りになった。つまり、「明らかに偽物の存在が平然と生きている世界」が生まれてしまったということ。世界を救ったのに、ルークは全然救われていない。

 明確に、このへんで具合が悪くなってしまった。
 自分自身でも説明できない拒絶反応が起きているのか、それともルークの気持ちがこっちにまで伝わってきたのかはわからないけど……本当に、ちょっと体調を崩してしまった。

 なんか心が苦しいし、頭も痛いし……身体の中がぐるぐるして気持ち悪い。呼吸も浅い気がする。私は去年から心のお医者さんに行っていて、睡眠薬をもらっている。どうしても眠れないときに飲むようにしているけど、また薬を飲まないと眠れないようになってしまった。笑ってください。

 自分は、夜はぬいぐるみを抱かないと眠れない。
 昔から。いつもより強く抱きしめるようになった。
 不安なのか、苦しさなのかはわからないけど。

 こっちまで、生きる理由とか意味がわからなくなってきた。
 「死にたくない」とは思う。死ぬのは辛いからです。
 生きていたいです。死にたくないです。

 でも、なんでこんなところにいるのかわからない。
 私、なにをしているんだろう?
 ルークはこんなに苦しんでるのに、私は一体なんなんだろう?
 なにもできずに、立ち尽くすしかない。

 高校の頃、学校に行こうとしてみたけど、校門の前でなにもできなかったことがある。なにをどうしたいのか自分でもわからなくて、逃げ出したことがある。あの時のことを、思い出した。もう、私も消えてしまいたい。

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忘れたように笑っていても
涙越えても ずっと夢に見る

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 このゲームで一番好きなキャラ、イオン様でした。
 なぜって……「善性の人」だからですかね。
 やっぱりイオン様みたいな人の優しさが、私は一番好きです。

 まあ、死んじゃったんですけど。

 でも、これって……ルークが悩んでいる「自分の存在意義」に、自分で答えを出していると思うんです。ルークと一緒にチーグルの森に行ったイオンが彼だけなのと同じく、あのイオンとチーグルの森に行ったルークもまた、あなたしかいないんですよ。代わりなんて、どこにもいないはずなんです

 だから、私の好きなイオン様も、このイオン様だけでした。
 でも、死んじゃいました。まだ、2歳なのに……?

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 偉くない! 全然偉くない!
 私……私……イオン様を殺しちゃった……!
 イオン様……私のせいで……死んじゃった……!

 あまりに胸が痛くて、ちょっと散歩に出た。
 でも、なんかフラフラしてあんまりちゃんと歩けなかった。

 ここで、パーティーメンバーがみんな同じく「業(カルマ)」を背負っていることに気づいた。みんな、なにかしらの形で、他人の命や人生を奪っている。そしてルークという鏡を通して、全員の業が浮かび上がってくる。

 みんな、誰かを殺してる。
 生きてるだけで業を背負っている。

 あんまり、テイルズオブジアビスの内容をいちいち真に受けて、落ち込んだりしない方がいいのだろうか。いや、でも……できれば何事もピュアに受け止めたい。しかしリアル精神ダメージがどんどん入り続けて、生活に支障が出始めている。苦しい。イオン様ショックが大きすぎる。

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 あいつ、不思議な奴だった。
 俺、結構嫌な奴だったのに、あいつは俺のこと優しい優しいって……。

 イオン……おまえに会えて、俺本当に嬉しかったぜ。
 俺のこと、多分本気で誉めてくれた初めての他人だもんな。

 いや……ちょっと……本気で泣く。

 よく、作中でルークは「なぜそんなに自信がないのか」と突っ込まれている印象があります。でも、イオン様のことをこうやって思えるだけで、「本気で誉めてくれた初めての他人」と思えるだけで、ルークは自分のことを誇っていいと思います。ルークは、それだけ優しくて頼りになるんです。

 でも、「だから自信を持っていいよ」と声をかけてしまうのも、多分それはそれでルークにとっては辛いはず。自分から、自信を持てるようになった方がいいと思う。うん、自分で書いてて思いましたけど、これってすごく「2025年的な価値観」ですよね。

 テイルズオブジアビスは、少なくとも現代の価値観では生まれないゲームだと思っています。これは決して発売当時の価値観が悪と言いたいわけでもないし、現在の価値観が善とも言いたいわけじゃないです。

 ただ、間違いなく現代だったら生まれてこない。
 もうちょっとルークへの接し方や扱いも違うはず。

 だから、こうして自分が「ルークの自信が……」と2025年の基準で考えてしまうのも、すごく無粋なことだと思います。でも、うん……やっぱり自分としては、ルークの優しさを信じて待ちたいです。どうしたらいいのか全然わからないけど、ルークが自信を持てるのを、信じて待ってる。

 キレイごとかもしれないけど、無粋かもしれないけど、ルークを信じたい。それが私の答えだ。ここまで100時間やって、やっと答えが出ました。

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本当に、イオン様ショックのあたりでプレイが100時間を超えてました。
実際、「しんどくて横になってる時間」が半分くらいだったかもですが。


晴天とは程遠い 終わらない暗闇にも
星を思い浮かべたなら すぐ銀河の中だ

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 レムの塔でのお話。
 ルークが自分の命を代償に、世界を救おうとする。

 当然ながら、みんな納得しない。ガイやティアはもちろんのこと、発案者であるジェイドすら………みんな、本気でルークのことを悲しんでくれる。

 ガイはそんな選択を絶対に認めない。
 アニスは、もうあんな思いをしたくない。
 ナタリアはルークとアッシュ両方に生き残ってほしい。
 ジェイドも、友人として止めたいと思っている。
 ティアは、その選択を憎むらしい。

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 ルークは、ずっと自分の存在意義に悩んでいた。
 でも、私は思う。

 ルークが死のうって決めた時、こうやってみんな本気で悲しんでくれることそのものが、ルークの生きてきた価値じゃないのか。本物とか偽物とか関係ない。目の前にいる「ルーク」に死んでほしくない。それこそが、レプリカが本物の劣化ではないことの証明なんじゃないのか。

 だから、お前は死んじゃダメなんだ!
 まだ自分の生まれた意味も知らずに、存在意義も価値もわからないまま死ぬなんて、そんなの絶対ダメだ! 私も認められない! ルークが死ぬことで、悲しむ人がいっぱいいる! それこそがルークの生きてきた証だよ!!

 お願いだから、死なないでください……
 まだ、あなたには生きる価値があるんです……

 そしてレムの塔に行くのですが……この一連のシーンで、私はテイルズオブジアビスがとんでもない大傑作だと思いました。ここで、とうとう「あ、これはなにかを“越えてしまった”ゲームなんだ」と感じました。

 命をかける覚悟を決めたルーク。「止めないから」と言っていたのに、本気で止めようとするティア。その邪魔をさせないのが、ジェイドとガイ。

 このキャラクターの動き、本当に「人間として動き出してしまった」感じがするんです。もう、作り物じゃない。人間として、その場にいて、自動的に動き出してしまった。ティアなら間違いなくそうするし、ジェイドとガイなら絶対にそうする。理屈じゃない。彼らと彼女はそういう人間だからだ。

 「本当に極まった作品は、キャラが勝手に動き出してしまう」という話を、よく耳にする。このシーンは、完全にそうなんじゃないかと思う。明らかに、ティアとジェイドとガイが勝手に動き出した。もうシナリオなんかなくても、勝手に動き出した。そんな風に感じてしまったのだ。

 もう、感動とか驚きとかじゃなくて、「ティアがそこにいるんだ!ガイとジェイドがそこにいるよ!!」という、現実とゲームの境界が壊れる瞬間を見てしまった。あの瞬間、間違いなく「人間」になっていた。

 だから、これはなにかを「越えてしまった」ゲームなのだと思います。
 キャラじゃなくて、人間になってしまった。理屈じゃなくて、作り物じゃなくて、本当に血が通って動き出してしまった。「命」を持ってしまった。

 こんなシーン、もう人生で出会えないんじゃないかと思ってしまう。

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 そして、「ここまで来ないとルークが“死にたくない”と思えなかった」という事実に、私はひどく悲しくなった。

 命を絶つその瞬間。みんなの命を預かったその瞬間。
 そこまで行かなきゃ、心の底から「生きたい」と思えなかった。
 こんなに悲しいことって、あるのか。

 でも、ルークはそれを乗り越えて……細胞崩壊による余命宣告を受けたことで、ハッキリと「死にたくない」と思えるようになった。生まれた意味や理由は見つからないけど、死にたくはない。それでも、ルークにとっては大きな一歩だった。生きたいと思えるって、それだけで幸せなんだ。

 「死にたくないと思えたことこそが成長」って、悲しいけど……でも嬉しいです。せめてそうでなきゃね。せっかくだから生きなきゃ!

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この日記ホントに泣きました


君に会えたから見えた あの輝きを 確かめにいこう

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 なんだかさ。妙な感じだよ。
 今、すごく幸せだなって思うんだ。

 仲間がいて……ティアもいて、俺は俺だって……
 やっとそう思えるようになって……

 ……今が、俺の人生で一番幸せな時なのかもな

 このシーン、本当に泣きすぎて30分くらい進めなくなったんです。

 私は、「ルークにどうなってほしいのか」が、自分でもよくわからなかった。成長してほしいのか。生きていてほしいのか。どれも、違う気がする。この気持ちは……どう言葉にしたらいいんだろう。

 でも、このシーンで、やっと理解できた。

 俺、ルークに幸せになってほしかったんだ。

 ただ、それだけだった。ずっと最初から、どんな時も、いつも、ルークに幸せでいてほしかったんだ。すごく単純なことだった。この事実に気づいて、涙が止まらなくなった。だって、ルークがやっと幸せになれたんです!

 よかった。幸せだって思えたんだね!
 ルーク、よかったね! 俺、ルークが幸せだって言ってくれて、本当にうれしいです! 友だちの結婚式で泣くって、こんな気持ちなのかな。あ、これ書いてるだけで泣けてきた。すいません、でもうれしくて……

 ずっと見てきたから……100時間以上もルークと一緒にいたから、もうほとんど友だちみたいになってた。だから、幸せになってほしかった。友人の幸せを願うって、当たり前のことだし。やっと、「幸せだ」って言ってくれた。ずっと、そのひと言を聞きたかったのかもしれない。

 他人の幸せを「うれしい」と思えるって、こんなに幸せなことないです。ルークが「幸せだ」って言ってくれて、私も幸せです。自分のためでもない、誰かの幸せを願えた。そういうゲームだった。よかった。本当によかった。ダメだこれ書いてる私がリアルにずっと泣いてます! 

 すいません、本当にちょっと、ここだけ言いたいことがまとまらないです。ごめんなさい! 涙で文字が打ててないです!

 ルーク、幸せになれてよかったね。
 きみの幸せを、ずっと願っていました。
 これからも、ずっと幸せでいてください。

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鏡なんだ 僕ら互いに それぞれのカルマを 映す為の

 アッシュとの最終決戦。
 流れ始めるカルマのアレンジ。
 藤原基央ーーーーーーー!!!!!!!!!!

 もう、どういう情緒なのかわかんないですね。
 みんな、この感想をどういう情緒で読んでるんですか? 
 もう、私自身もどんな情緒で書いてるかわかってないです!!

 この戦い、曲のイントロが「鏡なんだ 僕ら互いに」のところから入ってくるのがメッセージ性強すぎていいですよね。まあ、そこしかねえよな。藤原基央の思想を強烈に感じる。最高です。本当にありがとうございます。

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かっこよすぎるよね

 やっぱり主人公がルークなので、どうしてもルークに肩入れする視点で見続けてしまっていたのですが……ちゃんと考えてみると、アッシュの気持ちも結構わかるんです。

 もしも自分のレプリカがすごい卑屈で、自分を下げるようなことばかり言っていたら? いや、それはちょっと怒るかもしれない。真っ先に「お前、それ俺にも失礼だと思わないの?」と言ってしまいそうだ。

 なぜ自分から生まれた存在なのに、己を卑下するのか。
 俺から生まれた存在なら、俺であることに誇りを持って生きろ。
 私がアッシュの立場なら、多分そう思っていたはず。

 この最終決戦で、ようやくルークはアッシュと対等になった……いや、「アッシュがルークを対等だと認めた」ということかな。ルークも、アッシュから生まれたことを誇りに持った。であれば、オリジナルとして対等に迎え撃つまで。「生命としての誇り」をかけた戦いなのだと思います。

 だから、自分の命をルークに託す。
 本物とか偽物とか、オリジナルとかレプリカとかじゃない。純粋に「命を託せる相手」として、アッシュはルークを選んだのだ。最後まで、己の命に誇りを持ち続けた男だった。アッシュも、ルークと同じくらい大好きです。

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 あなたは言いましたね。
 『何かの為に生まれなければ生きられないのか?』と。

 誰かのために生きている訳じゃない。
 いや、生きることに意味なんてないんだ。

 死を予感して、俺は生きたいと思った。
 そのことを俺は知っている。
 ただそれだけでよかったんだ。

 だから俺にはもう
 ──あなたは必要ない

 「生まれた意味を知るRPG」

 これがキャッチコピーなのは流石に知ってたのですが……その答えが、「生きることに意味なんてない」なのがすごいと思う。生きることに意味なんかなかった。でも、ただ生きたいと思えただけでよかった。ものすごくドラスティックだけど、嘘偽りのない解答だと思います。

 ここまで来て主人公が「生きることに意味なんてない」だなんて言い放ったら、普通であれば「そんなこと言うなよ」と思ってしまうはず。でも、私はルークの人生を見届けてきた。だから、納得できる。ルークの成長を見守り続けてきたから、「これがルークの出した答えなんだ」と腑に落ちる。

 「生きたいと思えたことこそが、生きる意味だった」じゃない。まず、生きる意味なんてない。しかし、それでも生きている。生きたいと思った。そのことを知っている。それだけで価値はあった。それがルークの人生。

 ひとりの人間の「人生の最後に出した答え」を、見届けるゲームだった。その答えが出るまでの旅路だった。すごく、美しいゲームだと思います。

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ひとりにひとつ与えられてしまった 世界の真ん中

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 テイルズオブジアビスを、クリアした。
 終わった時、よくわからなかった。
 なんて言えばいいのか、わからなかった。

 正直、あんまり感動とかしてない。落ち込んでいるわけでもない。泣いているわけでもない。そこには、なにもなかった。自分がどういう気持ちなのか、自分自身よくわからなかった。

 代わりに、ものすごい虚無感だった。虚脱感だった。
 終わってしまった。あんなに思い焦がれたゲームが、終わってしまった。自分にとって大切な何かを失ってしまった喪失感だけが、ただそこにある。

 心に大きな穴が開いて、なにを流し込んでも、そのまま落ちていく。間違いなく、私の人生観に影響を与えたゲームだと思う。でも、終わったら、なんにもなくなっちゃった。寂しい。ひとりは嫌だ。ひとりにしないで。

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 きっと、みんな「最後に帰ってきた人がどっちなのか」をずっと考えているのだと思う。もう私の中で答えは出ているので、そこに議論の余地はない。「なにが正解か」とかじゃなく、私の中で答えを出した。

 だから、余計に、なにもかも失くしてしまった。

 ルークに……ルークに帰ってきてほしいよ!!!!!

 やっと幸せになれたのに! ようやく「幸せだ」って思えるようになったのに! ずっと幸せでいてほしかったのに……ルークの人生、まだまだこれからだったはずだよ! いっぱい思い出作って、いろんなとこ行って……ルークが知らない世界がたくさんあったはずなのに!!

 ラストシーンの「ジェイドの表情」を見てから、私の時計の針はずっと止まったままです。この表情を描いたアニメーターさんが本当にすごいと思う。ジェイドのこんな顔、一度も見たことがなかった。

 たぶん、みんな人間になってしまったんだ。
 ついさっきも書いたけど、もう「キャラクター」じゃなくて、「人間」として動き出してしまったのだ。だとしたらこの喪失感は、本当に大切な人間を失ったときのものだ。ジェイドの表情は、間違いなく「人間」だと思う。

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 ちょっと個人的な話になってしまうのですが……私がたまにお会いする某菌糸類大作家さんから、「FF4をクリアした時、明日から何をして生きていこう?と思った」といった話を聞いたことがあったんです。

 私は、テイルズオブジアビスで完全にその状態になってしまった。
 
テイルズオブジアビスが終わってしまった。
 明日から、どうやって生きていけばいいんだろう。

 気がついたら、このゲームが生きる理由になっていた。
 終わりを迎えたと同時に、生きる意味も見失った。
 結果、私はただ生きているだけ。

 大好きでした、本当に。
 生きる意味をくれて、生きる理由をくれて、ありがとうございました。



キャラクター編

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 暗すぎだろ、この感想。

 自分でも思いましたよ。
 「もうこれただの鬱記事なんじゃないの?」と。
 なんか……このまま終わっちゃいけない気がする!!

 ということで、「キャラクターの話」をしようと思います。
 ルーク以外のことも……いろいろ話したいので!!

 あ、ここからは結構明るい感じで書きます。安心して読んでください。私、普段からこんな陰鬱な人間じゃないですからね。全部アビスが悪い。


ガイ

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 メインヒロイン。
 ガイしか勝たん。やっぱりガイなんだよなあ。

 あんまりネタにしちゃいけないのかもしれないけど、このゲームのメインキャラを検索しようとすると大体サジェストに「嫌い」が出るのに、パーティーメンバーの中で唯一ガイだけは「ぐう聖」が出るのが超面白かった。

 でも……実際このゲームって、ガイがいなかったらどうなってたんでしょうね? そう思うくらい、ガイのおかげでパーティーが回っていた気がする。ガイのおかげでパーティー崩壊せずに済んだ感がすごい。

 ゲーム終盤とか、ちょいちょいルークをかばってくれていたはずのイオン様が退場したせいで、ガイが最後の砦みたいになってた。本当に言葉通り「最後の良心」だったと思う。メインヒロイン兼最後の良心。

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 個人的には、やっぱりグランコクマのイベントが好きですね。

 本当はファブレ公爵に復讐するために、屋敷に忍び込んだ。でも、そこで赤子同然のルークに出会い、少しずつ復讐どころではなくなっていった。ゲーム終盤でファブレ公爵から直々に言い渡された、「おまえはルークにとって兄であり父であり、かけがえのない友であろう」がすべてな気がする。

 幼なじみ兼お兄ちゃん兼お父さん兼メインヒロイン。吉田直樹ぐらい肩書き多い。でも、そのレベルの男だと思います。なんだかんだ、「ルークとガイ」って王道ですよね。男同士の友情が好きすぎるので、もうたまらん。

 しかも、バトルでも鬼強い。
 正直、操作感はルークよりガイの方が楽しかった。これがテイルズ初なので細かいことはよくわからないけど、性能的にはガイが一番好きです。

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ジェイド

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 オメーには言いたいことが多すぎる。

 こいつ、どっから話せばいいんだろう?
 帝国軍の大佐。ネクロマンサー。最強の譜術使い。レプリカの生みの親。CV子安武人。鬼畜眼鏡。普通に、ゲーム序盤こいつが裏切ってラスボスになるんじゃないかと疑っていたくらいの存在感だった。

 当たり前のように、バトルでも強い。
 魔法ですごい火力が出るし、そもそも性能以前に「戦闘中ずっと子安のカッコいい詠唱が聞こえてくる」というアドバンテージがデカすぎる。あの声で詠唱したらもうなんでもカッコいい。あと、後ろに下がってほしいのに瞬迅槍を撃つためにノシノシ前線に上がってくるところもかわいい。

 しいて言えば、バンダイナムコにはジェイド・カーティス大佐のフォミクリーASMRを出してほしいと思うけど、よくよく考えると耳元で「せめて事前に相談してほしかったですねえ……」とロジハラされて精神的に憔悴していく内容しか思い浮かばないのでやっぱり売らなくていい。

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 ジェイドは、作中でよく「お前って淡泊なやつだよな」と評されている。本当に、コイツを「淡泊」のひと言で表現していいのか? しかし他の表現を考えようとすると、やっぱり「鬼畜眼鏡」以外浮かばない。

 もう、本当に血も涙もないんじゃないかと思えてくる。
 でも、ストーリー編でチラッと書いたように、ジェイドなりにパーティーメンバーに思い入れが芽生えてきて、急に「デレ」属性を感じさせてくる。あのあたりから、一気にジェイドが好きになった。なにこれ? 鬼畜デレ? 

 飄々としているようで、最も「この旅で変わった人」だと思う。ある意味不器用で、意外とコミュニケーションがうまくいっていない。でも、ジェイドもちょっとずつ旅で変わって、みんなと仲良くなっていく。だから、余計にエンディングの表情が……ウッ(動悸) 忘れようとしてたのに!!

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 そして、最も「自分の責任」に向き合おうとしている人でもある。

 ゲームをクリアして、ジェイド・カーティスというキャラに一番抱いている印象は……「オトナな人だな」という感じです。ジェイドって、作中で「いやレプリカ作ったのお前やろ」とツッコまれると、割と素直に受け入れるんですよね。世界を狂わせてしまった責任から、逃げはしない。

 このゲームにおいて「キャラそれぞれが抱えている業の総量」を測った場合、おそらくジェイドはトップクラスに位置するはず。そんなとんでもない量の業(カルマ)を、逃げずに受け入れている。むしろ、最後はレプリカと向き合う姿勢を見せている。すごく大人なキャラだと思います。

 だから、そんな「レプリカと向き合う覚悟」を固めたジェイドが、最後に赤い髪の人を見て、あの表情をするから……ウッ(動悸) アカンどうやってもループしてしまう! ラストのアレから逃げられへん!!

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 キャラの関係的なところでは、やっぱりルークとの関係性が……ちょっと尋常じゃないと思う。「もうひとりの師匠」というわかりやすい喩えは出ているものの、正直ここがどういう間柄なのかをひと言で説明できない。

 少なくとも、ウチはルークとジェイドの関係が一番えっちやと思ってますよ。申し訳ない、ここが一番エロいと思う。ここ、本物のスケベです。

 当初は明らかに気まずい感じのふたりだったのに、段々と理解しあって、最後はもう……ジェイドの方からルークを気遣うようになる。言葉がとにかく厳しいけど、端々から「ルークへの愛」が伝わってくる。愛なんですよ。ジェイドの愛って、マジで不器用すぎるんですよ。だから泣ける!!

 ジェイドにとって、ルークと向き合うということは、それすなわち「自分の罪と向き合う」ということもでもある。そんなルークから逃げずに、ジェイドなりに接していった。それはやっぱり、「愛」だと思うんです。

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 あと、「ピオニー」と「ディスト」との関係ですよね。

 なんか……ここ、正直爛れすぎじゃないスか?
 
テイルズオブジアビスに存在する関係性の中で、「ピオニー⇔ジェイド⇔ディスト」の三角関係だけ、なんか湿度が違いすぎる。なんかここ……ちょっと暑くないか? すごいジメっとしてる気がするんだけど……。

 これはアレなのか? 「ジェイドの周りだけ湿度がおかしい」わけじゃなくて、「ジェイドのせいで湿度がおかしい」ということなのか? 

 でも、なんだかんだでピオニー陛下もディストもいいキャラだと思う。もしこのゲームに追加プレイアブルが入るなら、間違いなくピオニー陛下かイオン様のどっちかだろうと思うくらいピオニー陛下がいいキャラしてる。

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最後らへん逆にディストを応援したくなってたかも


アニス

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 テイルズオブジアビスで一番好きなキャラです。

 ただ、「どのへんが好きなの?」と言われると、あんまり明確にあるわけじゃない。うーん、声が面白いところ? これモモーイのファンに殺されそうだな。でも、声も含めて一番好きなキャラです。

 あと、普通に性格が悪いところが好きです。
 ナタリアみたいな最初の印象が悪いキャラでも大体なにかしらのフォローが入るのに、アニスだけ最初から最後まで性格が悪くてよかった。親の借金とかの事情はあるにせよ、アニス自身はしっかり嫌なヤツでいいと思う。

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 あと、単純に口が悪いですよね。あれ? アニスの好きなとこ書いてるのに悪口ラッシュみたいになってる? 私、アニスが一番好きですよ?

 これ、あんまり誤解しないでほしいんですけど……アニスって、パーティー内の「性悪説の化身」として結構好きなんですよね。なんだかんだみんないい人だけど、アニスはそこそこ性悪説で生きてる人だと思います。

 たとえば、ルークに対して「お前ヴァン師匠のこと脳内で美化しすぎだろ」って最初にツッコんだやつって、たしかアニスだったと思うんです。自分は、客観的に・容赦なく「お前らのやってること変じゃね?」って言い放つタイプの仲間キャラが好きです。性格悪いヤツ多いがち。

 全然関係ないけど、桃井はるこがカバーしてる「カルマ」がほとんど別物ですごいので、よかったら聞いてみてほしい。「魔法少女 プリズマ★アニス」のオープニングみたいになってる。プリズマ★アニス、金稼ぎで怪人殺して、近所のルークお兄ちゃん(不登校)いびって終わりそうだな……。


イオン様

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 テイルズオブジアビスで一番好きなキャラです。
 
男性部門1位イオン様、女性部門1位アニスってことで!!

 アニスが「性悪説の化身」として好きなのに対して、イオン様は「性善説の化身」として好きです。もう、途中から私の脳内では内なるアニスと内なるイオン様が、ずっと光と闇のバトルを繰り広げていた。

心の中のアニス(悪性の化身)
「はう~★ アクゼリュスとレムの塔で何千人も手にかけちゃったルークがのうのうと生きてていいわけないし、このまま幸せに終わるなんて絶対許されないよねえ♥」

心の中のイオン様(善性の化身)
「アニス、僕はそうは思いませんね。彼の中で、ルークの記憶は生きているんです。だから、ルークが完全に消えてしまったわけではない。きっと、これからみんな幸せで平和な世界が築かれていくんです。」

 私の脳内はずっとこんな感じです。
 アニスはこんなこと言わない。
 イオン様も言わねえよ!!

 とにかく、イオン様ってえっちでかわいいですよね。
 キャラデザはぶっちぎりで好きです。えっちだと思う。

 自分はアビスが初めて遊んだテイルズなんですけど……一応、他のテイルズのキャラも見てみたんです。私、奥村大悟氏のデザインが好きですね。藤島派か、いのまた派か。いや、オレは奥村派だ。え、気が早い?

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奥村氏のデザイン、アリエッタもめちゃくちゃ好きです。
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 あと、これもテイルズ初プレイだから思ってることなのかもしれませんが……「スキット」って、大発明じゃないですか?

 プレイアブルキャラでもないイオン様がここまで好きになってるのは、確実に「スキット」の力もあると思う。スナック感覚で、受動的にパーティー全員の会話を見ることができる。結果として、みんなの好感度がグングン上がる。ボイス収録の手間とか考えたら、開発的には絶対やりたくないやつ。

 だから、率直に「贅沢なゲームだな」とも思っていました。
 特に、ソシャゲ的な考えからすると、「キャラの意外な一面」とか「キャラ同士の萌え萌えした絡み」って、ゲーム的な報酬として支払うものになっていたりすると思うんです。キャラの個別エピソードとか、それこそガチャで引き当てて、ちょっとしたボイスがついてくるだとか。

 とにかく、現在はゲームのプレイ報酬として、「キャラの萌え」を支払っているスタイルがそこそこ一般的なんじゃないかと思う。でも、テイルズオブジアビスは、もうスキットでバンバン流しちゃう。別に無料じゃないのに、「え?これ無料でいいんすか?」みたいな気持ちになる。

 まあ、これはどっちかっていうとテイルズ全体の文化なんだろうなとは思いながらも……「報酬としてのキャラ萌え」という側面では、あまりにも贅沢なゲームを味わったと思う。萌えの回転寿司を味わい尽しました。


ナタリア

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 純粋にヒーラーとして好き。

 ナタリアだけちょっと加入が遅めだったこともあって、正直「もうパーティーの枠なくね?」と思ってたけど、普通にヒーラーとして優秀すぎて好きになっていった。やっぱりゲームキャラの好感度って性能に左右されますよ。ナタリアのヒールなかったらティア過労死してっからな。

 もちろんナタリア個人もいいキャラだと思いつつ、やっぱりアッシュとの関係が好きですね。アッシュとナタリアはセットですよ、マジで。

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 私、実は少女マンガが好きで……夜な夜なひとりで少女マンガ読んでは身もだえる女々しい生活を送ってるんですが……ここふたりの少女マンガ指数はエグいと思う。ウチの目にはこのふたりが種村有菜作画に見えてる。

 あの日、約束したお姫様と王子様。
 でも、いまは敵同士になってしまった。
 それでも、ふたりは愛し合っている────

 ウオオオオオオオ、純愛ッ!! 純愛ッ!!!
 女の子は、生まれたときから必ず誰かのお姫様だからね。
 アッシュとナタリア、最推しカップルです。

ここ超好き


ティア

 あんまり言うことがない。

 違う、説明させてほしい。「オマエ紹介順からして明らかにティアのこと忘れてただろ」とか見透かさないで。順を追って説明させてください。

 ゲームって、必ず「自分を投影する対象」がいると思うんです。
 「あ、このキャラは自分と同じ感性の持ち主だな」とアタリをつけて、そのキャラを軸に視点を置いて、いろいろな物事を捉えていく。特に高度な話じゃない。きっと、みんな無意識のうちにやっていることだと思います。

 そして、テイルズオブジアビスというゲームにおいて、私が自己投影していた対象がティアなのだと思います。特にレムの塔あたりとか、私が「もうやめてえええ!!」って叫んだら、間髪入れずにティアが「もうやめてえええ!!」って私の気持ちを代弁してくれていた。

完全に同じ気持ちです。

 もはや、俺とティアは一心同体だったのだ。
 なので、きっと「考え方が一番近いキャラ」だったのかなと思います。そのせいで、言うことがあんまりない。自分の常識に近い人なので、特に言うことがないです。ティアと私は、言葉を交わさずとも超振動起こせるので。

 うん、こんなんだから「コイツ女の趣味終わってるよな」とか言われるんだよな。別にいいだろアニス好きでも! ティアだって素敵な女性だと思っとるわ!! ゆかなの演技めちゃくちゃすごいと思う!!

 でも、本当に考え方はティアが一番近かったかなと思います。
 自分の中では、「常識人」って感じの人です。


ミュウ

 メインヒロイン。

 まさか……私もお前がメインヒロインになるとは思わなかったよ……メインヒロインであり、泣き要員………ミュウ愛いヤツですの………。

 もう、シンプルに「最初は畜生扱いだったはずのミュウが、最後はちゃんとルークと仲良しになってる」の一点だけで大泣きです。ここまでマスコットキャラがおいしいRPGも珍しいと思う。とにかくガイvsジェイドvsミュウvsティアのルーク争奪戦が激しかった。どういう並びよこれ?


セシルとフリングス

 こいつらだけはどうしても書いておきたかった。

 テイルズオブジアビスって、サブクエも面白いのがいいところだと思います。で、こいつらのサブクエが一番すごかった。よくもやってくれたな。

 ついさっき「アッシュとナタリアが最萌えっ♥」みたいなこと書いた通り、私は男女恋愛が大好物です。特に「敵国の将軍同士が、ふとしたきっかけで恋に……」なんてシチュエーションなんか、もう最高! はよくっつけ! セシルとフリングスのキャラもいい!!

 実際、ふたりは愛を交わして、婚姻を認められた。
 うわー! おめでとう! 地獄みたいなゲームだけど、たまにはいいことあるもんだね! 新たな愛の誕生だ! 祝福を! 喝采を!!

 とか思ってたら、フリングスが死んだ。
 
なんで? どうしてこうなった?

 しかも、「セシルとフリングスの婚約」自体がキムラスカとマルクトの和平の象徴のようになっていたのに、キムラスカ軍に偽装したレプリカ部隊のせいでフリングスが死んでしまうという。グロすぎ。

 そこからフリングスはレプリカにされた。
 残されたセシルはレムの塔に行って、愛した人の影を探していた。
 でも、もうその愛は終わってしまった。

 これ、サブクエで出していい火力か?
 全然メインキャラじゃないのに、最後に書きたくなるくらいの存在感でした。ていうか、「ここからは明るくやります」とか言ってたのに、セシルとフリングスのせいで最後の最後に暗くなった。どうすんのこの空気。



カルマ編

 最後に、これだけは絶対に外せない。
 そう、「カルマ」だ。

 『テイルズ オブ ジ アビス』のOPであり、あのBUMP OF CHICKENが歌っている曲。もう、カルマなくしてテイルズオブジアビスは語れないと思う。そのくらいの曲。だから、最後の最後に「カルマ編」を用意してしまった。

 そもそも、私が初めて遊ぶテイルズとして、なぜ今作を選んだのかというと……「主題歌がBUMPだから」という超絶ミーハーな理由なのだ。みんな失望しろ。私は「うーん、カルマ聞きたいっ!」の理由だけで、この地獄に飛び込んでしまったのだ。だから、最後は「カルマ」しかない。

 この曲、まず大前提として、あまりにも「テイルズ オブ ジ アビス」なのだ。もう、藤原基央がテイルズオブジアビスと同化してしまっている。ポケモンとかFFとか、あらゆる作品と組んできたBUMPだけど、正直これはBUMPの曲というより、もはやテイルズオブジアビスそのものだと思う。

 当たり前ではあるけど、本編のストーリーを遊んでる最中、ずっと「カルマ」の歌詞が脳裏をよぎっていた。私がこの記事のサブタイで謎のBUMPクイズを仕掛けているのはそのせいだ。全問正解者、私と飲もう。

 ということで、「カルマの好きな歌詞」について書いてみる。

 まず、最初の「ガラス玉ひとつ落とされた 追いかけてもうひとつ 落っこちた ひとつ分の陽だまりに ひとつだけ残ってる」。もう初手からテイルズオブジアビスすぎる。いきなりレイディアント・ハウルぶっぱみたいな曲。

 私は、ルークとアッシュのことを「ガラス玉」と表現しているのがすごいと思う。世界を映す、透明。まだ何物にも染まってない、無色透明の空。それとも、紅の入ったガラス玉か。奪い取った場所で光を浴びて、その光を映し出す。私だったら100年かけても「ガラス玉」は出てこないと思う。

 次に、「鏡なんだ 僕ら互いに それぞれのカルマを映す為の」

 アッシュとの最終決戦曲(meaning of birth)のイントロでも使われていた部分だけど、個人的にはここが最も『テイルズ オブ ジ アビス』という作品を包括している言葉だと思います。

 カルマの歌詞は、それぞれが「作中の1シーン」を元に描かれていることが多い……と思う。「ガラス玉ひとつ落とされた~」のところなんか、まさにそう。でも、ここは作品全体を表したワードだと思う。

 ルークと、すべてのキャラクターが合わせ鏡になっている。アッシュだけじゃない。ティア、ガイ、ジェイド、アニス、ナタリア……みんながみんな鏡合わせになって、全員の業を映し出す。もう、「全部」なのだ。

 私としては、ここがカルマ最強のパンチラインだと思う。
 本当にすごい音楽って、たまにひとつだけで「全部」を語ってしまうことがある。知らない人にはなんのこっちゃだと思うけど、カルマ以外に「我が人生において、もうこの歌詞を超えるものは現れないだろう」と思っていた歌詞があって……それが、この2曲の、この歌詞です。

時には月を 月には愛を
愛には罪を 罪には罰を
罰には人を 人には夢を
夢には貴方を 貴方には誓いを

「生命線」

パステルより繊細で
モノクロームより純粋で
プリズムより多彩で

「シャイノグラフィ」

 これ、マジで我が人生最強の歌詞でした。
 「生命線」は、もう『月姫』の全部なんです。
 「シャイノグラフィ」は、もう『シャニマス』そのもの。

 ただ、「鏡なんだ 僕ら互いに それぞれのカルマを映す為の」は、ここに並んできた。テイルズオブジアビスの100時間を、たった数ワードに凝縮してしまった。激重zipファイルみたいな歌詞だ。最も、『テイルズ オブ ジ アビス』という作品のすべてを歌ってしまった部分だと思ってます。

 まあ、流石にゲームを遊ぶ前から「カルマ」のことは知ってしまっていて……そんなゲーム本編を知らないころに好きだった歌詞が、「ここに居るよ 確かに触れるよ 一人分の陽だまりに 僕らは居る」だったんです。

 もう、この歌詞の意味を完全に理解してしまった。
 ルークは、アッシュは、たしかにここにいる。たしかに触れる。ひとつ分の陽だまりにふたつはちょっと入れなかったけど、それでもひとり分の陽だまりに僕らはいる。読める! 読めるぞ!!

 あわせて、ラストの「沈めた理由に十字架を建てる時 約束は果たされる 僕らはひとつになる」……もう全部言っちゃってんじゃん! 完全にネタバレだこれ!! 超ネタバレなのにクリアしないと理解できないのがすげえ。

 プレイ中、あまりにもカルマの歌詞が本編と重なり続けるせいで、「これってもしかしてユリアの預言にかけて、カルマの歌詞が作中で起きるすべての出来事を書いちゃってるんですかねハハハ」とか冗談で言っていたのに、藤原基央は本当にユリアだったらしい。

 「約束は果たされる」が、何重にも重なってるんですよね。
 ローレライを解放する約束であり、仲間との「必ず帰ってくる」という約束でもある。それを果たして、ひとつになった。本当に、最初から最後まで全部書いてあった。でも、遊ばないと全然理解できない。

 「カルマ」、すごすぎないか?

 間違いなく、これは『テイルズ オブ ジ アビス』そのものである。逆説的に「このゲームが、この曲を元に作られた」と言われても普通に受け入れてしまうくらい、「そのもの」になってしまっている。

 これも友人の某作詞・作曲家さんから聞いた話なのですが……「音楽には、人によってカメラの画角がある」そうなんです。同じ空を切り取ったとしても、地平線をレンズに収める人もいれば、雲を撮る人もいる。

 秋元康とか、「女性の髪のポニーテールとシュシュの間にある、あの部分」だけで1曲書き上げてくる。とにかく、その「カメラの画角」が重要。

 その理論で言えば、私は『テイルズ オブ ジ アビス』という被写体に対して、「カルマ」という言葉をレンズに収めてきたセンスが最も鋭いのではないかと思ってしまう。絶望もあった。希望もあった。破滅があった。救済があった。そんな世界を撮った。フィルムにつけられた題名が、「カルマ」。

 もう「藤原基央を褒めるだけのコーナー」になっちゃってるけど、ここは素直に言わせてほしい。天才だと思う。「カルマ」という曲が、『テイルズ オブ ジ アビス』という作品の強度を何倍にも高めている。

 テイルズオブジアビスなくして「カルマ」は生まれていないが、「カルマ」なくしてテイルズオブジアビスも成立しない。そう思います。

 はい、言いたいこと大体言い尽くしたので終わります。「冒険彗星」を流しておくので、いい感じに終わる気分になってください。

 あれから、ちょっと時間が経ったけど、「生きる理由をなくしてしまった」状態なのは、変わっていません。ずっと、失くしたままです。

 これが「ひとりにひとつ与えられてしまった世界の真ん中」だとするなら、あまりにも耐えがたい。こんな空虚を抱えたまま、ずっと生きていかなければならないのだから。テイルズオブジアビスのことを忘れない限り、この寂しさを抱え続けなければいけない。

 でも、忘れたくない。
 みんなとの記憶が消えてしまう方が、耐えられない。
 どんなに空虚だったとしても、この虚しさまで失いたくない。

 また、いつか思い出したい。
 笑いあったこと、過ぎ去ったこと、儚さも、後悔も。

 だから、私はこの痛みを抱えたまま生きていこうと思う。10年、100年、いや……一生かな。一生、テイルズオブジアビスのことを忘れてやらない。


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