ナイキジャパン ゴルフクラブ開発者に聞く!さらに進化したナイキ 2014年モデル
今回はナイキゴルフ 2014年モデル「VR フォージド PRO コンポアイアン」
「メソッド モダンクラシック パター」「パワーディスタンス8 ボール」について
ナイキジャパン ゴルフクラブ・ボール ビジネスディレクター 信田 真樹氏に商品の特徴や開発秘話を聞きました。
ナイキ VRフォージド PRO コンポアイアンは、ヘッドの大きさ・形状、リーディングエッジのあり方、バンス角などナイキ契約アスリートの声を凝縮したモデルです。
契約アスリートの要望は2つです。
・ロングアイアン(#4-#6)はもう少し球をが上げがりやすくして欲しい
・#7以下のショートアイアンは、よりコントロール性を上げて欲しい
こういった理由から同じアイアンセット内で違うヘッド形状の設計にしています。(#4-6はポケットキャビティ、#7-#9はスプリットキャビティ)
ロングアイアン(#4-#6)は球を上げやすくするためにポケットキャビティで深重心化を図り、ショートアイアン(#7-#9)はコントロール性をあげるためにスプリットキャビティで細かな重心設計を行っています。
さらに契約アスリートたちは極めてシンプルなものを好みため、仕上がりに関してはものすごく細かい要望に応えました。
ロングアイアンではポケットキャビティにしていますが、構えた時にトップブレードの後ろからポケット部分が見えない形状に設計しています。
スピン量:新X3Xグルーブを採用
溝のルールが改正後、従来の溝のままだと悪コンディションの下では約5割ほどスピン量が落ちてしまいました。
それではやはりツアー選手が求めるスピン量には足りません。
ルールの範囲内かつ溝の容積も決まっている中で、鍛造の良さを活かしてどのような事ができるのか?変化をつけられのか?
そこで到達した答えが「溝の幅を狭くすること」です。
全体の溝の幅を狭めて余った分の容積を、溝をより深くすることに使うができます。
溝の深さを出すことで、芝やボールが濡れている状況でのスピン量が劇的にアップしました。
ボールを打つと、ボールがクラブのフェースにグッと食い込み、ボールをしっかりと掴みスピンを掛けることができます。
しかし、濡れている状況ではクラブの溝に水が入り込んでしまい、水の逃げ場がなくなりボールを掴みきれず十分なスピンがかかりません。
新X3Xグルーブでは溝を深くしたことで水の逃げ場ができ、ボールをしっかりと掴むことができるようになり、スピン量をアップすることに成功しました。
さらにエッジ部分の形状を変えることにより、今までよりもボールとクラブの溝の接触面積を増やすことができました。
これらの効果により、濡れている状況でのスピン量を約1.7倍ほど増やすことができました。
打感の変更:ポケットキャビティ内にポリマー樹脂を注入
契約アスリートからの評価が非常に高かったため、ヘッド形状は前作と変えていません。
しかし、契約アスリートからポケットキャビティの打音が高く・結果打感が固く感じるので、スプリットキャビティとのギャップがあり変えて欲しいと要望をもらいました。
この部分に関しては私たち開発者も非常に勉強になりました。
その要望に応えるために、研究の結果ポケットキャビティ内のある部分に少量のポリマー樹脂を入れることで、ロングアイアンの打感を向上させました。それにより周波数が変化し、音の高さが低くなりました。
実際にはヘッド素材の固さは同じですが、音が低くなることによって軟らかくなったと感じるのです。
・競技志向のゴルファー
・ツアーゴルファーに憧れがあり同じものを使いたい方
・マッスルバックだと難しいが、明らかな大型ヘッドのアイアンは使いたくない方
通常であれば難しいと感じてしまうツアーゴルファー向けモデルですが、今回のモデルは、使って見ると難し過ぎない、いい意味でのギャップがあるクラブです。
メソッド モダンクラシック パターは2010年から展開しているメソッド パターシリーズの最新モデルです。
今回のコンセプトは過去30年の間で、世の中で最も受け入れられたヘッド形状(クラシック)にナイキの最新テクノロジーを搭載して、多くのゴルファーに楽しんでいただきたいということです。
今回のヘッドは完全削りだしです。
ヘッド形状を削り出した後、ソール部分から溝を掘り、その溝からポリマー樹脂を流し込みます。(ソールの溝はトップブレードぎりぎりまで掘られています)
次にフェース側から溝を削り、ソールと同様にポリマー樹脂を流し込み、その後フェース面を平らに削って仕上げています。
さらに、フェース面に露出するポリマー部の下部に溝を掘って完成形となる、非常に複雑な工程で製作しています。
世の中のパターの大半多くはフェースロフト4°です。
グリーン上でパッティングする際は、芝にボールが少し沈んでいるため、ロフトが無いとボールを持ち上げられず、転がりの良いパッティングが出来ないのです。
ただしロフトが付いているということは、バックスピンがかかるこということです。ボールは打ち出される瞬間からバックスピンがかかり、その後しばらくして、順回転に移行します。
私たちが着目したのは、バックスピンがかかった後、もっと早くすぐに順回転に移行させたいということでした。
これができればより正確なパッティングが可能になります。
無駄なバックスピンを押さえるために、メソッド モダンクラシックパターのフェースロフトは2°に設定し、ボールを持ち上げ過ぎないようにしました。
ただし、それだけだと芝に沈んだボールを持ち上げにくくなるので、フェースに注入したポリマー樹脂のしたにある溝でボールを持ち上げる構造にしています。
それにより、無駄なバックスピンを押さえてより早く順回転に移行させることに成功しました。
タイガーウッズが以前使用していたパターと現在使用しているパター(メソッド001-クラシック ブレード パター)のパッティング直後を高速カメラで撮影したことがあります。
比べてみると、バックスピンから順回転に移行するまでの距離に大きな差があることが分かりました。
・順回転に以降移行するまでの距離
以前のパター:10センチ
現在のパター:2.5センチ
さらに、タイガーの目から見ても明らかにボールの転がりが良く、狙ったライン通りにパッティング出来、以前使用していたパターより優れていることが分かったので現在使用しているパターへ変更しました。
裏話:順回転が良すぎたために、距離感に慣れるのに時間がかかってしまったことがあります。
まさにこのテクノロジーが実証された証です(笑)
前作との大きな違いはモダンクラシック形状そのものもそうなのですが、一番大きく違うのはトップブレードの形状です。
これはアークトップライン形状と呼びます。
多くのゴルファーは、トゥ側を上げて構えてしまいます。(ライ角に関係なく、トゥ側を上げて構えるゴルファーが多い)
それにより芯を外しやすく、そのためボールの転がりが悪くなり、本来のパターの良さを引き出せていません。
このモデルの形状は一見すると、トゥ側が上がっているように見えると思います。
しかしこの効果によって、トゥを上げずにライ角通りに構えることが可能になります。
ライ角通りに構えられることで、地面に対してはフラットに、目標に対してはまっすぐ構えることができます。
さらに、安定したボールの転がりを実現します。
パターを正確に使えていないゴルファーが多い中で、モダンクラシック パターなら多くのゴルファーがパターを正確に使うことができます。
ウェイトスクリューは長さが違うパターでも振った感覚を同じにするために、ヘッドの重さを調整するためのウェイトです。
※ウェイトの重さは変更できません。
ヘッドに付いているウェイトはクラブの長さによって変えています。
33インチ:360g
34インチ:345g
メソッド モダンクラシックパターは、違和感なく安心して構えられるモデルを選んでいただくことが一番だと思います。
今回のモデルは、世の中で受け入れられた形状を採用していますのでどのゴルファーにも必ず合うモデルが見つかると思います。
また、商品名の後ろの数字はおおよそのトゥハング角を意味していますので、トゥハング角を気にされる方はこの数字を参考にしてください。
今回で8世代目(初代は01~02年)となるパワーディスタンス8 ボール。
すべて飛距離優先型のボールです。
日本モデルの7代目はLONGのみでしたが、8代目ではSOFTを追加しました。ラインナップが増えたことにより、このボールを使っていただけるユーザーが増えました。
前作との一番の違いは軟らかさです。
LONGはコンプレッション60(7代目は63)
SOFTはコンプレッション50
WOMENはコンプレッション50(7代目は63)
前作より軟らかくなったパワーディスタンスシリーズですが、市場でも最も軟らかいコンプレッションの部類になります。
コンプレッションが軟らかいボールほどスピンが、かかりずらくなります。
それは、ボールの中心から潰れが大きいほど、テコの原理によりギア効果を受けにくいためです。
ボールがあまり潰れないものは、ギア効果の影響を受けやすく少ない力でスピンがかかります。(ツアーモデルのボールは、コンプレッション70-80でスピンをかけやすい)
コンプレッションが軟らかいパワーディスタンス8は、無駄なバックスピンやサイドスピンがかからず、しっかりとボールを潰すことができるのでボール初速がアップし、結果的に飛距離を伸ばすことができます。
パワーディスタンス WOMENは、女性でもしっかりとボールを潰して初速を上げることができます。
さらに、前作よりディンプルが浅いので、ボールが高く上がりやすくなっています
ナイキゴルフのボールはスウッシュカラーが今まで全て黒でしたが、8代目よりスウッシュカラーも変更しました。
ナイキドットアライメントの意味
ナイキのボールアライメントは他社とは違ってドットです。
なぜドットなのか?それはパターとは心理ゲームであるということ。
上りのパットの時は、ドットが大きい方を目標に向けることで強めに打つという事を意識し、下りのパットの時はドットが小さい方を目標に向け、慎重に打つということを意識して打つことができるようにするためです。
パワーディスタンス8ボールは、この位の値段でしっかり作られたボールが欲しいゴルファーに使っていただきたいです。
パワーディスタンス8 LONGは、
しっかりとした打感で飛距離を出したいゴルファーにオススメ
パワーディスタンス8 SOFTは、
飛距離を出しつつもカチンとした打感が嫌いなゴルファーにオススメ
レディスゴルファーはもちろんのこと、ヘッドスピードが上がりにくいゴルファーにもオススメ
夏はLONGで、冬はSOFTという使い方もオススメです
※冬場はできるだけ軟らかいボールを使う方が吉、ポケットに入れておいて暖めても大分違うと思いますよ。
対象ヘッドスピード
LONGは38m/s以上
SOFTは35m/s以上
WOMENは32m/s以上
株式会社ナイキジャパン
ゴルフクラブ・ボール ビジネスディレクター
信田 真樹 Maki Shinoda
東京都出身。1968年生まれ。
12~22歳まで米国シアトルで過ごしたのち、日本のスポーツ業界に携わるべく、大学卒業後の1990年株式会社ブリヂストンに入社。
ゴルフボールの商品企画担当として9年間勤務後、2002年に株式会社ナイキジャパンに入社。
2006年からは、ゴルフクラブ・ボール事業を統括。
日本のゴルファーが共感する製品作りを最優先し、日本向け商品の企画・開発に取り組む。
ナイキならではの発想を生かし、大ヒットとなったVRS COVERT(コバート)をはじめ、積極的に新しい提案を市場に打ち出し続けている。
ゴルフスコアは平均80台。