介護施設で受け入れ予定のミャンマー人 来日できず

人材不足が深刻な県内の介護施設で受け入れ予定だったミャンマーの人たちが来日できなくなっていることがわかりました。
ミャンマーで去年導入された徴兵制の影響とみられ、施設は対応を迫られています。

山形県が去年9月に行った調査によりますと、県内の介護分野で働く外国人のうち、ミャンマー人は45%を占め最も多くなっています。

一方、ミャンマーでは2021年の軍事クーデター以降国内で戦闘が続き、軍は去年から18歳以上の男女を対象に徴兵制を導入し、若者を中心に外国で働くことを希望する人の出国手続きが一時停止されるケースが出ています。

この影響で県内の介護施設では、受け入れ予定の人材が来日できなくなり、対応を迫られるところが相次いでいます。

このうち山形市の介護施設では、3年前からミャンマー人を受け入れ、現在は4人が働いていて、今年度中に、新たに1人が来日する予定でした。

しかしいまだにミャンマーを出国するめどがたたず、施設側はほかの国からの受け入れを検討しています。

浅野壮登施設長は「人材確保ができず、痛手になっている。インドネシアやベトナムなど、ほかの国へのシフトも考えなければならない」と話していました。

外国人材の教育や紹介を手がける企業によりますと、県内では4施設で受け入れ予定だったミャンマー人材、あわせて7人が出国できなくなっているということです。

この企業の担当者の小林佑馬さんは「この状況下でも、ミャンマーでは引き続き、日本で働きたい人が多い。ミャンマーの情勢を注視しながら教育支援を継続していきたい」と話していました。

【いま働いているミャンマー人の定着も課題】

ミャンマーから新たな人材の受け入れが難しくなるなか、いま働いているミャンマー人の定着も課題となっています。

このうち山形市と朝日町で介護施設を運営する会社では、5人のミャンマー人を受け入れていて、5年の在留期間より長く働いてもらおうと、介護福祉士の資格をとるための勉強をサポートしています。

毎週1回、外部の日本語教師を招いて介護現場で使われる専門用語や、漢字の書き方などを学んでもらう時間をとっています。
こうした取り組みの結果、ことし初めて、介護福祉士の試験に合格した人も出ています。

その1人で、3年前から山形市の施設で働いているチョウ・ソー・トゥさんは「1人で勉強していたら合格するのは無理だった。いまミャンマーの状態はよくないので、日本で長く働きたいと思っている」と話していました。

一方、先月、同じ施設で去年から働いていたミャンマー人の女性が退職しました。

会社によりますと、転職先は神奈川県にある介護施設だということで、女性は「いまより給料が高い施設で働くことになった」と話していたということです。

施設を運営する会社の佐藤一社長は、「まじめに働いていたし日本人の職員以上に生活の支援や家賃の補助をしてきたので転職は非常に残念だ」と話していました。

そのうえで「給料だけだと都会の施設には勝てない」と指摘し、県に支援を求めているということです。

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