一体なぜ? 「自転車専用」と書いてあるのにクルマが駐停車 矛盾に満ちた交通ルールの解決方法とは?
自転車にも反則金制度が導入され、何かと気を使うことが多い交通ルール。自転車レーンの行く手を阻むクルマが多い中、歩道を走って反則金を納めるのは割り切れない……そう感じている人も多いのではないでしょうか。
自転車専用とクルマの駐停車を両立させる道路区分も
道路を通行するすべての車両は、走ると同時に止まることも必要な存在です。そのため道路は基本的に駐停車可能で、必要な区間を禁止指定することになっています。
【画像】これが現実!! 自転車とクルマの完全分離がムズカシイ日本の道路を見る(7枚)
左側の走行を必要とするパーソナルモビリティが増える中で、道路外の駐車場だけでは吸収できない駐停車問題をどう解決するのでしょうか?
自転車の円滑な通行とクルマの駐停車の両立を目指して、東京都文京区内には、歩道から右側に自転車専用通行帯、その右側に時間制限駐車区間(パーキングチケット)、さらにその右側に車両通行帯を設置した道路があります。駐車区間が自転車通行帯より車道側にある、全国でも極めて珍しい例です。
自転車とクルマの完全分離はユーザーにとって理想的ですが、どんな道路でも設置できるわけではありません。充分な道幅と、イレギュラーな配置でも安全が確保されるほどよい通行量という好条件が揃う必要があります。
現実的に、自転車が通行しなければならない場所や方向を示す表示がある場所に、クルマを止めて通行を妨げてもよいものなのでしょうか。自転車はそのたびにスピードの速いクルマの通行帯にはみ出して進むことになります。
実は、自転車レーンが設置された道路でも、そこに割り込んで、クルマが駐車や停車することは可能なのです。最優先で考えられているのは、道路交通法に定められた車両の駐車方法です。
《駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害にならないようにしなければならない》
道路の左側にピッタリ止めることになっていても、自転車レーンの中に入っていては他の交通の邪魔になるではないか、と思うかもしません。しかし、左側端に沿って止めてはいけない場合は、歩行者用路側帯と駐停車禁止路側帯が路面標示されている区間、または、75cm以上の幅の広い路側帯(※1本の実線で標示)の区間では、左側に75cmの余地を設けて止めなければなりません。
いずれにしても自転車通行帯は路側帯ではないので、クルマが駐停車する場合、自転車通行のために通行帯をあけて止めることは、駐車方法に沿っていないことになります。
反則金制度導入を前に、自転車軽視の交通ルールのように思えますが、警視庁交通部では、別の対策も講じています。
「東京都内の自転車専用通行帯が設置された道路は、同時に駐車禁止区間として指定されています。そのため都内すべての自転車専用通行帯は、駐車することができません」
東京都内のように、実質的に自転車専用通行帯は駐車禁止にしている例は、ほかにもあります。ただ、駐停車禁止に指定されていない限り、人の乗降や荷物の積み下ろしなど短時間の停車は可能です。
やはり「自転車専用」という道路標示は実態を示していない、と考える自転車ユーザーもいることでしょう。
そもそも「自転車通行帯」とは何か?
自転車レーンとは、水色のカラー舗装で区切られた自転車の通行する空間を整備した区間のことを言います。ほぼすべての自転車は、設置された区間では右左折などを除き、必ず自転車レーンを通行しなければなりません。
道路交通法での名称は「普通自転車専用通行帯」です。これが設置されている場合、自転車は必ず自転車レーンを通行しなければなりません。
「普通自転車」とは、車格が長さ190cm以内、幅60cm以内の車両です。ハンドル幅が広いビーチサイクル、全長が190cmを超えるけん引付の自転車以外になります。
シェアサービスの電動キックボードなど、特定小型原付に該当する車両も自転車レーンを通行します。
幅の広い複数の車線がある道路に多く見られ、混合交通の中で、自転車に代表されるパーソナルモビリティをクルマと分離して、安全に走行させる狙いがあります。
一方、自転車レーンと同じ道路の左端を、水色の矢印の連続や白色の矢印と自転車ピクトグラムで示した表示がされている場合があります。
一般には「矢羽根型路面標示」と言われています。矢印の向きに進むべき方向を示していますが、大きな違いは自転車レーンのように、自転車の運転者に課された義務ではないこと。警視庁では「ナビライン」と呼んでいますが、道路案内や注意喚起看板と同じ、法定外表示として区別されています。
自転車レーンと違って、矢羽根型路面標示はそのデザインの通り、矢印の示す向きに逆走せずに進む方向を示したものです。
交差点では自転車は必ず「二段階右折」が必要なので、生活道路の小さな交差点内にも表示されていることがあります。
また、自転車レーンとして充分な幅が確保できない道路幅の狭い区間でも、矢羽根型路面標示が施されている場合があります。
自転車も車両として道路を走行するので、こうした区間での自転車通行は、より他の車両に注意する必要があります。
免許は不要の自転車ですが、むしろ自転車こそ道路交通法の違いを知り、運転に役立てる必要がありそうです。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。