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誰も俺を助けてくれない  作者: クンスト
第八章 生きては帰さぬ地下迷宮
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8-26 五人集合

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“スキルの封印が解除されました

 スキル更新詳細

 ●実績達成ボーナススキル『救命救急』”

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“『救命救急』、冥府に沈む者を現世に呼び止めるスキル。


 適切な処置によって、心肺停止者の蘇生確率が増加する。また、蘇生後の後遺症を軽減、リハビリ期間の削減等の後々の社会復帰に対しても影響する。

 蘇生確率の上昇値はスキル所持者と蘇生対象の生物の平均値が目安”


“実績達成条件。

 心臓が停止している生命を生き返らせる”

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「おーい、リセリ。生き返ったか?」

『……ぇ? 生きて、いる??』

「よし、生き返っているな。とはいえ、下半身はどうすれば」

 強烈な空腹に襲われた時のように下っ腹が足りない気分に陥ったのだ。リセリには生き返ってもらわねば困る。具体的には腸を三メートルほど移植して、輸血も大量に行った。

「血管も神経も独りでに動いています。おそらく、近づければ接合すると思いますわ」

 悩む俺に対して、月桂花がアドバイスをくれた。

 さっそく、リセリの分離した下半身を運んで上半身に近づける。

「失礼ながら反対です。それでは面白い方向に繋がってしまいます」

「言っちゃ悪いが、気色悪い作業だ」

『あまり、この私の体で、遊ばないで……』

 素性の知れない月桂花げっけいかであるが、奇妙な程に安心感がある。母性が強い女性というよりは、全人類の姉に成れる素質を持った女性だ。言葉を素直に受け入れてしまう。

 論理的に考えれば、月桂花は怪し過ぎる女性だ。

 月桂花は親切にもリセリ(状態異常、スプラッタ)の治療を手伝ってくれているが、そんな月桂花はリセリを見捨てたのではないだろうか。月桂花の登場ははかったかのように酷く絶妙なタイミングだった。

 もしかして、俺は月桂花を知っているのだろうか。


『そこのアナタ、何者か名乗ってください』


 俺が最初に月桂花を疑わなければならないというのに疑おうとしないから、アイサに先を越されてしまう。

 屈んでいる月桂花の首筋へと、アイサは後ろからナイフを沿わしている。当人の月桂花は涼しい顔だ。アイサを脅威に感じていないのか。

『警告します。今すぐ名乗って! 知らない人をキョウチョウに近づかせたくない』

「凶鳥様が良いエルフと出会えたようで安心しました」

 月桂花は振り向いてからアイサに優しく微笑みかける。

 一方、アイサは警戒心を溶かさない。それどころか恐怖心を覚えたのか腕を一度振るわせた。

「わたくしは月の魔法使い、月桂花」

『……ゲッケイカ??』

「以前は主様、討伐不能王の配下をしておりました。森の種族とも、オーリン様の命令で交戦しております」

 アイサは目を見開く。驚愕により拡大された瞳には、敵意以上に恐怖心が急浮上していた。


『討伐不能王……ッ、それにオーリンッ!? となればアナタはっ、ひぃぃっ、幻惑魔女ゲッケイッ! 人類の裏切り者がどうしてこんな場所に!』


 どうやら、エルフは顔が青ざめると耳も青くなるらしい。目前に事例が存在する。

「そう恐れる事はありませんわ。今のわたくしは自由意志にて、この場に参上しています」

『魔の知将、悪辣あくらつなる老人、オーリンの配下にいたアナタの言葉なんて信じられない。吸血魔王どころか、討伐不能王の手先まで現れるなんて! それでも、キョ、キョウチョウは僕が守る!』

 長耳に汗が伝う程にアイサは冷汗をかいており、手足は見るからに震えている。それでも月桂花から逃げないのだから、可愛らしい森育ちの子が精神的に強くなったものである。

「ですから、恐れる事はないのです。討伐不能王様もオーリン様も、既に凶鳥様が討伐されているのですから」

 アイサは彫刻のように固まって、死人のように顔と耳を真っ青に染めた。

 リセリは下半身がまだ繋がり切っていないのに上半身を起こそうとして、血を噴き出す。


『キョウチョウッ、余はそなたに謝らないとならぁぁうはわァッ!?』


 何者かが天井を踏み抜いて落下し、頭頂部から落ちて目を回す。

 外野が騒がしくてかなわない。怪我人も含めて大人しくできないのだろうか。



 吸血魔王を倒したというのに色々と起こり過ぎだ。

「過去は払拭できません。罪は消える事はありません。ですが、今のわたくしは凶鳥様をしたって行動する、ただの女です」

『神託では世界の滅亡を警告していました。恐らく、複数の魔王が連合している事を示しているのでしょう。地上に生きて帰り、人類国家に知らせなければなりません』

『慕う、慕うっ!? だ、駄目。怪しい女なんて信じちゃ駄目だよ、キョウチョウ!』

『余を許してくれェ、余は従者を置いていった最低の王族だァ』

『そこの男の子も、抜け駆けでキョウチョウの足に泣き付いてっ!』

 人口密度が高まったのが原因だろう。たった五人なのにやかましい。構成員の一人たる俺は一切言葉を発していないというのに。

『滅亡を回避するためには救世主を探し出さねばなりません。顔のない救世主が何の暗示かは分かりませんが、近くにいるはずです。誰か救世主を知りませんか?』

『アナタまで僕の救世主キョウチョウを狙っているの!?』

『ナキナを救うはずだったのに、こんな余だから勇者に成れなかったのだァ、うわぁぁぁ』

「凶鳥様を慕っている方はわたくし以外にもいますわ。嫉妬は可愛らしいですが、己のみが特別だと思わない方がよろしいかと。……凶鳥様を羨望せんぼうするエルフは既にいますし。二番煎じです」

『えっ、アイサさん。何と仰いました??』

『グウマ、スズナ、うぁおあおあおあッ』

『そこの男の子ッ、うるさい! そこの女が何て言ったか聞こえないの!』

 この相関図にし辛い人間関係を、俺がまとめないとならないのだろうか。

 長い溜息を吐いた後、四人に対して建設的な提案を行う。


「こんな薄暗い地下深くで油売っていないで、ダンジョンから脱出して地上に帰るぞ!」


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 ◆祝 コミカライズ化◆ 
表紙絵
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 助けたいシリーズ一覧

 第一作 魔法少女を助けたい

 第二作 誰も俺を助けてくれない

 第三作 黄昏の私はもう救われない  (絶賛、連載中!!)


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