世良公則せらまさのり
俳優・歌手
1955年生まれ、広島県出身。77年に「世良公則&ツイスト」としてレコードデビュー。以来、1年足らずで人気バンドとなり、「あんたのバラード」「宿無し」「銃爪」「燃えろいい女」などのヒット曲で若者を熱狂させた。81年のバンド解散後はソロとして活動。また、俳優として映画やドラマにも出演し、演技力が高く評価される。NHKでも連続テレビ小説『チョッちゃん』『梅ちゃん先生』や、土曜ドラマ『55歳からのハローライフ』などで好演。2021年、朝ドラ出演3作目となる『カムカムエヴリバディ』では、こだわりのコーヒーとジャズが流れる喫茶店のマスターをさわやかに演じている。
- 出身地
- 広島県
連続テレビ小説への出演は3作目。ここ1、2年はコロナウィルスの流行で自粛生活が続き、行動が制限されたりと我慢することが多いと思うので、少しでも明るい気持ちになっていただけたらと意識しています。
僕が演じるのは「Dippermouth Blues」というジャズが流れる喫茶店のマスター。当時はまだ日本で広く親しまれていなかったジャズをこよなく愛する男なのですが、僕自身も10代のころにローリングストーンズに出会って洋楽に憧れ、楽器を手にしてバンドを組みプロになったので、あの頃の感動を追体験しているような気持ちにもなります。
『チョッちゃん』以降、音楽に関わる役はこれまで意識してお受けしませんでした。でも今回は戦争という時代のなかで、西洋の音楽を愛し続ける役。タイトルにもあるように番組では英語をひとつのテーマとしていて、安子パートでは時代と相容れないものを取りあげているところに興味が湧きました。役柄的に多少なりとも音楽屋としての部分が出てくると思うので、その良さが生かせればと思います。
ヒロインの安子(上白石萌音)と恋人の稔(北村北斗)を見守る役どころでもあります。明るくさわやかなドラマを届けたいと言いましたが、ドラマ上で安子は怒とうの人生を送ることになり、僕が演じる定一にも苦難が待ち受けます。でも、そこには英語や音楽があり、彼らを支え続けていきます。
コロナ禍ではエンターテインメントの役割が問われる局面もありましたが、安子のドラマからも伝わるように、やはり日常のストレスを癒やすのは芸術の力だと思うんです。そういう意味でも、エンターテインメントの一端にいる人間として、意義のあるお仕事に関わらせていただいていると思っています。
土曜ドラマ
55歳からのハローライフ(2014)
義田役
1話読みきりの5編の作品からなる全5回ドラマ。ごく普通の5人の主人公に起こる、ごく普通の出来事をリアルに描く。第2話の主人公で愛犬家の主婦・高巻淑子(風吹ジュン)は、犬嫌いの夫・幸平(松尾スズキ)が定年を迎え、一日中家にいることがストレスでたまらない。唯一の逃げ場は、公園で愛犬家仲間の男・義田(世良公則)と語らうこと。ある日、淑子は愛犬の様子がおかしいことに気づく。診断の結果、重い心臓病で余命わずかであることがわかる。だが、夫は相変わらず冷たい態度をとり続ける。淑子は愛犬とともに納戸にこもり、懸命の看病を続けるのだが。夫婦再生の物語。
原作:村上龍 脚本:大森寿美男 音楽:清水靖晃
『チョッちゃん』に出演した頃は、僕がお芝居をするのは「珍しい」と感じる方も多かったように思いますが、『梅ちゃん先生』の頃には自然に受け入れてもらえていたのではないでしょうか。演じたのはヒロインの梅子(堀北真希)が地域医療を目指すきっかけを与える医師の坂田。ちょっとぶっきら棒で淡々としている、医師らしく見えない医師でした。
梅子の人生を左右するキーマンの役どころではありましたが、坂田に何かを背負わせるのではなく、医師としての姿を見せることで、梅子が何かを感じとれる存在になればいいと思っていました。ですから、演じるにあたって特別な役づくりをせずに挑んだんです。でも淡々とそこにいるのって意外と難しいんですよ。果たして、皆さんに坂田はどんなふうに見えたのでしょうね。
『チョッちゃん』『梅ちゃん先生』『カムカムエヴリバディ』と3作の“朝ドラ”に出演しましたが、そのどの作品も、ヒロインを取り巻く中心人物たちとは少し離れた距離感のキャラクターを演じています。『チョッちゃん』はヒロインの夫役ではありますが、すぐに出征してしまいましたしね。そういう薬味のような役どころは好きですし、僕の性格に合っているのかなぁと思います。
音楽活動30周年の節目にこれまでを振り返りながら、新しい音楽表現をしました。演奏したのは「燃えろいい女」「宿無し」「あんたのバラード」「銃爪(ひきがね)」「Jacaranda-ジャカランダ-」の5曲。野村義男くんや、当時ホワイトスネイクメンバーでギタリストのダグ・アルドリッチとセッションができて楽しかったですね。
長年交流のあるダグとはちょうどライブを一緒にやろうという話になっていたのですが、『SONGS』の出演が決まって出演してほしいと連絡を入れたら「いいよ」と一言。海外からミュージシャンに来てもらうと、契約やマネージメント、所属しているバンドの制約など厳しい条件があるのですが、彼はそれを自分でクリアするからと言って、たった一人で成田に降り立ってくれました。そういうフレンドシップに触れられた思い出深い番組でもあります。
「あんたのバラード」はふだんライブでやっているアコースティックのバージョンを演奏しました。この曲は4つくらいアレンジのバージョンがあるのですが、この時はひとりで弾き語るスタイルを選びました。30周年に際し、聞き慣れた曲でも新しい表情をお見せできたのではと思っています。
宇崎さん、岩城さんと男3人でCMをやらせていただいたことがありました。海外ロケで訪れたメルボルンの郊外で、たまたま休憩時間にギターを弾いていたんですよ。そうしたら、お二人もバンド出身ということで「3人でなんかやる?」という話になりました。
それがご縁となり、ライブハウスを借りて、サポートメンバーを一切つけず、それぞれにアコースティックギターを一本持ち寄って演奏することに。それが始まりで3年ほどでしょうか、3人でツアーも回らせていただきました。この番組は、そんな僕たちの活動のドキュメント。男臭すぎるバンドでした(笑)。
選曲はいつも自分の歌いたい歌を出し合い、僕がメニューを作ってアレンジもしていました。でも一曲だけ、岩城さんにリクエストして松田聖子さんの「SWEET MEMORIES」を歌ってもらったんです。「なんでオレが『SWEET MEMORIES』なんだよ」とおっしゃっていましたが、英語の歌詞の部分が特にカッコ良くて、岩城さんも気に入ってたんじゃないかなぁ。
岩城さんがレースで指をケガしたときには、リハビリでソロを弾きましょうと提案し練習していただいたこともありました。「竜童さんや世良と違って、オレは楽器素人だからさ」と言いつつ、毎日練習してくださっていたのも印象深いです。あれから少し時間は経ちましたが、また折りをみて3人で演奏できたらいいですね。
僕がやっているロックミュージックは若者向けで激しいものだったので、両親や祖父母が理解するのに時間がかかったと思うんです。“朝ドラ”や『紅白歌合戦』に出演すると、おばあちゃんがすごく喜んでくれましたし、僕の音楽活動が決してアウトローなものではないことを家族に理解してもらえるという意味で、すごくありがたい機会でした。
黒柳徹子さんのお母様、朝さんの半生を描いた『チョッちゃん』で僕が演じたのは、夫となる要(かなめ)役。バイオリニストでNHK交響楽団のコンサートマスターを務め、こと音楽に関しては厳しい人物でした。でも、この作品以降、ミュージシャンの役はあまりお受けしないことにしたんです。というのも、本業と同じミュージシャンの役をやると、どうしても自分のセオリーがじゃまになってしまうから。『カムカムエヴリバディ』では、それこそ『チョッちゃん』以来35年ぶりに音楽に関わる役をお引き受けしたことになります。
要役を演じるにあたって、バイオリンを弾くシーンが何度かありました。子ども時代にバイオリンを習っていたことがあり、バイオリニストの役をやるならなるべく自分の音を使いたいと思ったんです。本業のミュージシャンでもそうなのですが、他人の出した音に合わせて弾いているふりをすることができないので、いつも生演奏なんですよ。それでNHK交響楽団でバイオリニストをされていた徹子さんの弟さんにお願いし、指導していただきました。
バイオリンというのは、3日休むと1週間、1週間休むと3か月、3か月休むと3年間、勘を取り戻すのにかかるといわれている楽器。ですから何十年も遠ざかっていたバイオリンを弾くのはたやすいことではありませんでした。でも、もともと楽器をいじるのが好きなのでそれほど苦には感じなかったです。当時、番組をご覧になった徹子さんからも「大変お上手に弾かれているわね」と言っていただき、とてもうれしかったことを覚えています。

















