「なぜ先生が?」の裏に「年間約100人懲戒処分」の現実 “盗撮教師”がはびこる教育現場の闇
しかし、この法律が効果を発揮していないことは、性暴力での懲戒処分者が減っていないことでもわかる。その中の1つが、盗撮事件である。 女子児童を盗撮するなど、「異常」なことなのに、そんな異常なことを先生がするはずがないということが「常識」になっているかもしれない。だから今回の事件でも、「なんで先生が?」という反応なのだろう。 ■生徒へのアンケートで発覚したセクハラ疑惑 学校での性暴力が表面化することも珍しくない。2022年の『週刊文春』(9月29日号)は、「千葉難関高 校長の女性徒とセクハラ疑惑で教師が決起」と見出しのついた記事を載せている。
私立高校の教員が女子生徒の背後に近づき、ニヤつきながら「背低めだね、ちょうどうちの奧さんと同じくらいの高さだよ〜」などと呟く、明かなセクハラ行為を繰り返していた。その教員が校長だったのだ。 この件は、同校が生徒を対象に行ったアンケートにセクハラに遭った女子生徒が答えたことで表面化した。これを問題視した教員の有志が学校側に対処を求めて学校側は調査を開始したが、そのメンバーが学校関係者ばかりの「身内の調査」でしかなく、問題は結局ウヤムヤにされてしまった。
この問題が報じられた直後の11月には、同校の教員が児童売春・ポルノ禁止法違反(買春)の容疑で逮捕されている。SNSで知り合った10代少女に現金を渡してわいせつ行為にいたった、というものだった。 ■「なんで先生が?」が「また先生か」になる前に 校内でのセクハラ行為、そして買春と、どれも「なんで先生が?」という感想をもたれる事件である。しかし、現実に起きている。「なんで先生が?」ではなく、「先生でも」になり、今回の盗撮事件によって「また先生か」という受け取り方になっていくかもしれない。
多くの真面目な教員にしてみれば、迷惑千万な流れである。しかし、多くの真面目な教員にとっても無関係ではない。学内で性暴力を許し、性暴力を起こす教員を放っておいた責任は、多くの真面目な教員にもある。盗撮事件をきっかけにすべての教員が、学校のあり方をもう一度考えてみる必要に迫られているのではないだろうか。
前屋 毅 :フリージャーナリスト