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崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「在日に、共生のために」

2019年01月30日 05時40分12秒 | エッセイ

 年度末に近くなり、振り返ってみる。「韓国文化論」「ワンアジア共同体」講義などで学生と市民に韓国について多く語り、論じた。日韓関係は悪いといわれる。韓国では日本嫌い、日本無視が造成されていくようである。国際化、グローバリゼーションに逆行する。日本で私は知人、付き合っている人とその状況とは変わらず平坦に暮らしている。日本を愛するから韓国を嫌う論理はない。
 「在日」は日本に住みついていながら日本を嫌うのはなぜだろう。とても残念なことである。韓国で私に日本通になろう、日本が好きだと言い、日本で職を求めた人がいた。私はそれを尊重して職を推薦した。しかし彼は日本で反日的に暮らし、定年して帰国している。今彼が私を敵対視している中心人物であることが分かった。日本でどう生きるべきか。私は在日に「共生」を訴える。

在日に、共生のために」崔吉城(東洋経済日報、2019.1.25)

 私が勤めている大学は少子高齢化の中でも留学生が増えて、国際化の雰囲気が溢れている。「アジア共同体」講義では八カ国のアジアの学生たちと楽しい講義、そして感想も多く出してくれる。それはユーチューブとSNSにも紹介している。留学生を迎え、良い教育ができると大変満足している。昔私も苦学留学の経験があり、留学生たちに強く親近感を持っている。
当時私は研究に専念し母国で教育に携わりたいという思いで帰国した。しかし、韓国では反日感情が強く苦労した。その話は既に多く触れてきたが、その中に美談のような話もある。当時、私は日本語が全くできなかったが、英語で助けてくれた友人である駒沢大学の名誉教授、白水繫彦氏を忘れることができない。彼はその後アメリカへ留学、今国際的に活躍くしてしている大学者である。先日彼の顔をBSTBSテレビで見た。
 日本人のハワイ移民の話、美空ひばりの歌を中心に作られた番組でハワイに移民した日本人がマイノリティでありながらアメリカ社会で努力し、中流階層までなったと述べておられた。その言葉が私の脳裏にインプットされた。多文化・多民族社会の中で「共生」が求められている在日が思い浮かんだ。
日本で3,4世なっても在日韓国・朝鮮人はどうだろうか。つまり日本社会での「共生」の様子、質はどうであろうか。在中朝鮮族とも対照的である。中国の朝鮮族の指導的学者の延辺大学の故朴昌昱教授、故鄭判龍教授から韓国人の反日を批判する話を聞いたことを思い出す。中国の朝鮮族は中国をウリナラ(我が国)と言う。朝鮮民族を愛しながらも中国を「我が国」として愛しているという。それは一般的でもある。それは日本の在日韓国人とは相異なるのである。
先日中国の朝鮮族の教授が下関の東亜大学に来られ講義したが、やはり中国をカーバーし、賛美宣伝する感じだった。在日とは大きく異なる。在日の反日感情、日本を「我が国」と思う人はいないだろう。中国の朝鮮族の研究者は民族としてアイデンティティ(民族的自覚、同胞意識)を以て愛国心を語る。彼らは中国や韓国に味方する。しかし一般的に在日韓国人は日本に対しては国家としてアイデンティティを持たない。
日本は少子高齢化でシャッターダウンに対処するよう入管法が改正され、労働者を受け入れるような新移民法が実行されそうである。元東京都知事の舛添要一氏は『文芸春秋』2月号で「人手不足と言いますが、安易に外国人の労働力に頼ってよいのでしょうか」と述べている。女性、高齢者などが働けるようにすべきであるという。同感である。
人手不足を埋めるための立法化ではないかと疑問ももっている。一緒に住み、働くだけで「共生」とはいえない。国民としてアイデンティティと文化を共有しなければならない。高齢少子化も一つの先進化現象である。北欧のように人口が少なくても社会福祉が良い社会にするのも自然な国家の生きる道であろう。 


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