散歩を楽しくするために120時間かけて674種の草花を全部覚えた
こんにちは、ごまどうです
突然ですが、散歩っていいですよね
特に目的もなくぶらぶらと歩いたり
道端の草花を眺めたり
老若男女問わず大人気のアクティビティ、それが散歩です
そんな楽しい散歩ですが、気になることが一つ……
……ということです
私が知っている草花といえば
タンポポ、オオイヌノフグリ、アジサイ、ツバキ、キンモクセイ…ぐらいのもので、列挙すると悲しくなるほど……
お恥ずかしながら、私の植物の知識は小学生で止まっています
散歩中にふと可憐な花を見ても「きれいだね~」と思うだけで終わってしまう
果たして、そんな散歩人生でいいのでしょうか?
いやだよね
いやだ!
じゃあ
今からでも勉強して覚えれば良くね?
草花の名前を知らないなら全部覚えれば良いじゃん!
というわけで、
私が実際に膨大な数の草花の名前を覚えた方法と、
その結果として見えてきた新しい世界について
お伝えします
最後までお付き合いいただけると幸いです
いくぞっ!
草花の単語帳を作る
『散歩で見かける樹木の見分け方図鑑』 岩谷美苗
『新版 散歩で見かける草花・雑草図鑑』 高橋冬(著)、鈴木庸夫(写真)
まずは、草花に関する本を買ってきました
これから、この三冊の本の内容をすべて暗記します
そのために、本の内容すべてを単語カードにします
突然意味不明なことを2つも言ってすみません
イチから説明させていただきます
単語カード作成
皆さんは、単語カードを使ったことはありますか?
表面に問題、裏面に答えを書く、あれです。
単語カードは、表面に問題を書き……
裏面に解答を書くことで……
単語カードの完成!
これは「flower」が「花」ということを暗記する単語カードです
これと同様の手法で、草花の写真を見てその名前を答える単語カードを作っていきましょう
例えば、この「ヒナキキョウソウ」を単語カードにします
写真を撮って
印刷して切り取って
単語カードに貼ったら
完成!
よし!この調子で数百種類の草花の単語カードを作りお花の名前を全部覚えちゃうぞ!
ってコラコラコラ!
コラッ!
そんなことやってたら日が暮れちゃうでしょ!
......
そう、物理的な単語カードでの暗記で
草花を覚えるのは難しそうです
そこで今回は、「Anki」という単語カードアプリを使って暗記を行います
Anki(アンキ)は、暗記のための自由かつオープンソースな単語帳ソフトウェアである[4]。日本語の「暗記(あんき)」にちなんで名づけられた。問題文と解答をペアにした暗記カードの問題集を自作し、それで学習することができる。
小難しく書いてありますが、要は「すごい単語カードアプリ」です
私はこのアプリを10年ほど前から愛用しており、その素晴らしさを語りだしたらキリがないのですが
今回は記事を最後まで読んでいただきたいので、詳しい説明は割愛します
(以前投稿した動画でAnkiでの暗記方法を軽く説明しているので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。)
Ankiの具体的な操作方法を説明します
Ankiを使えば、スマホで簡単に単語カードが作れます
アプリを開き
上のボックスに問題(例えば「flower」)、下のボックスに答え(例えば「花」)を入力するだけで
これで、「flower」を見て「花」と答える単語カードの完成です
これは、先ほど説明した単語カードと同じ仕組みです。
つまり、これを応用して
写真を撮って
花の部分だけをトリミングして貼り付けると
あっという間に
「花の写真を見て名前を答える単語カード」
が完成するというわけです
やったぜ
電子書籍しか持っていないという方も大丈夫
Kindleはスクリーンショットを撮ることができるので、
PC版のAnkiアプリと組み合わせて単語カードが作れます
この方法で、3冊の図鑑に載っている草花をひたすらAnkiに入力し続けること13時間……
3冊の本に載っている草花を単語カードにできました!
その数、なんと674枚!
この時点でかなりの達成感がありますが
これはまだスタートラインです
参考書を買って満足するのと同じで、実際に使って勉強しなければ意味がありません
学習編
詳しい操作方法については今回省きますが
Ankiでの学習方法は至ってシンプル
表示された草花の写真を見て
名前が分かれば「普通」ボタン
分からなければ「もう一度」ボタンを押す
これだけです
間違えたり、うろ覚えだったりした問題は、適切な間隔を空けて何度も出題されるので、自然と記憶に定着していく仕組みになっています。
なので、674種の草花を無理なく覚えられるというわけです
その結果、27日間、合計107時間の学習を経て
見事674種の植物を覚えることができました。
「こんなんで本当に覚えられるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません
しかし、私はこの方法で7944個の英単語を覚えたり、教習所の問題を全部覚えたりした経験があります
私を信じてください
さて、一か月間毎日3時間ほどひたすら植物の名前を覚え続けた私の脳はもう草花でパンパンの頭ミドリ状態です
早く外に出て、植物あるある言いたい!
外に出よう!
ピュン
外に出て植物知識を披露しよう!
というわけで、多摩川にやってきました
たくさんの草が見れる場所ってどこだろうと考えたときに
思い浮かんだのが多摩川でした
かの有名な野食ハンターも多摩川の河川敷は食糧庫だと語っていたぐらいですから
多種多様な草花が生えているはずです
本日は4月下旬の12時
気温は21℃で、ぽかぽか散歩陽気です
具体的には半袖で過ごしていても暑くも寒くもないけど日陰に入るとちょっとヒヤッとしてそれが逆に心地いいぐらいの気候!
つまり最高!
河川敷では、楽器を練習している人、ランニングをしている人、ぼーっとしている人など、みんなが思い思いの時間を過ごしていてW(ダブル)最高!
みんな見て!草だよ!
早く草花の名前を言いたい!
頭にぎっしり詰まった草知識を言いたい言いたい!
名前を呼びたい!
……と、その前に。記事の撮影のために写真を撮らないとね
なんだかピントが合わないな
草が小さすぎて、ピントを合わせるのが難しいよ~~~
???「お困りのようですね」
なにっ
何奴!?
なんだ、ショコラウサギちゃんか
記事に出てくれてありがとう
……これは決してふざけているわけではなく
草花の隣に人形を置くと
・カメラのピントが合いやすくなる
・サイズ感がわかりやすくなる
・緑一色の画面に彩りが加わる
といった、実用的なメリットがあるのです
これは「ぬい撮り」をする理由としても、説得力があるのではないでしょうか?
もし、ぬい撮りの理由を友達とかに聞かれたら「ピントを合わせるため」と答えましょう
では、覚えた草花情報を存分に披露させていただきます
2本の長いひげと、穂が垂れ下がってる感じはカラスムギっすね
私たちがよく知るオーツ麦や、猫が喜ぶ猫草も、このカラスムギのことらしい(間違ってたらゴメン)
名前が面白いからかなり覚えやすい花
アブラナに似ているけど、果実の角度が急で葉っぱが茎を抱いていないのでカラシナですね
ホトケノザっていうと、春の七草を思い出しますね
でも、このホトケノザは春の七草ではなく、キク科のコオニタビラコがホトケノザらしいです
どういうこと?
調べると全然見た目が違うのもすごいよ
覚えた知識を総動員して、草花の名前を当てていくのは
想像以上に楽しい!
気分はクイズノック伊沢拓司です
このまま「この草は、なんとかかんとかじゃなぁ~」と
オーキド博士ごっこを続けてもいいのですが
さすがに記事としては単調になってしまうので、674種類の草花を覚えたことで、私の中で一体何が変わったのかをお話ししたいと思います
以前の私にとって、草むらとは
せいぜい、こんな認識でした
ところが、草花の名前を覚えた今、同じ草むらを見ると…
こんな風に見えるんです!
これは、意識して見ているというより
自然と情報が目に飛び込んでくる感覚で
世界に新しい「レイヤー」が追加されたかと思いました
スタンド使いに目覚めたときもこんな感じなんでしょうね
川を見ながらデパ地下で買ったお寿司を堪能するという優雅なひとときを過ごしていても
草だった頃の情報が頭に飛び込んで来るんですけど!
クレイジーダイヤモンドでトニオさんの料理殴った時かよ
これはマジなんですけど、覚えたことで草花にZLボタン注目ができるようになりました
ZLボタン注目
コントローラーのZLボタンを押すと、対象物に注目できる、あの機能
草花の名前を覚えたことで、景色の中にまさにそのような「注目できるポイント」が無数に追加された感覚なのです
どういうことかというと……
この何の変哲もない草むら
皆さんは何に注目しますか?
おそらく「空き缶が落ちていて嫌だな」とか
「ここ歩いたらくっつき虫がズボンにつきそうだな」とかですよね
今の私がこれを見て
ZLボタンを押したとき
ここに注目しました
別の視点だとこうで
あっ!ナヨクサフジだ!
鮮やかな紫で、マメ科特有の葉っぱの形
わかりやすいね~と思いました
草むらにZLボタン注目しただけでこうなっちゃうので
ただ散歩してるだけで視線があっちゃこっちゃ行って飽きないんです
日常の風景も変わります
みなさんのZLボタンはドーナツにしか注目しないと思いますが
私はその先で揺れるギシギシ?に注目していました
水面のきらめきと、揺れる草が美しいね
ドーナツよりも雑草に注目する日が来るとは
夢にも思いませんでした
次にやってきたのは、国立科学博物館付属自然教育園
東京のど真ん中にありながら、豊かな自然が残っているとのこと
こちらの記事で紹介されていたので、訪れてみました
ここが国立科学博物館付属自然教育園か、入ってみよ
園内を少し歩いてみて、まず感じたのは…
歩いていて本当に気持ちの良い場所です
河川敷や公園とはまた違う、「THE・自然」といった趣があります
木々に優しく包まれ、陽光は木漏れ日となって降り注ぎ、暗すぎず明るすぎずで
まさに、きわめて歩きやすい「森」といった感じです
ここは森じゃなく林だったみたいです
すみません
そして、自然教育園の名を冠しているだけあって、園内の草木には名札がつけられているものが多いです
そんなの当たり前じゃんって思うかもしれませんが、名前がわかるのって今の私にとってめちゃくちゃ嬉しいんです
というのも、河川敷で草花を見かけても、それが本当に自分の覚えた名前で合っているのかどうか、答え合わせができないんです
例えば、 河川敷にたくさん咲いていたこの植物「すっごい咲いてるし、有名な種類なんじゃないかな~、本で覚えてるはずなんだけどな~」と5分ぐらい考えていました
(後で調べたらハマダイコンらしいです)
その点、ここ自然教育園は、覚えた植物の名前がバンバン出てきます!答え合わせの連続、進研ゼミで見た状態になれてうれしい!
おっ、オドリコソウじゃん!と近寄って、しゃがんでよく見てみると
愛らしい花を咲かせているんですね
でも、周りを見渡しても、この可憐な花に気づいて足を止め、じっくり観察している人は誰もいない……
「この美しさに気づいているのは、自分だけだ……」
そんな小さな優越感に浸れるのも、草花の名前を覚えた者だけの特権かもしれません。
そして、その優越感を一番感じた瞬間がこちら
「すいば」のきれいな花が咲いている画像なんですが
「すいば」ってこの青い花じゃないですよ
この手前の茶色っぽい植物です
これ知らなかったら、絶対勘違いしちゃいますよね
よ~~く見ると小さなピンク色の花が見えます
タデ科特有って感じですね~
もし草花の名前を覚えていなかったら
こんなにも小さく美しい花を見落としていたかと思うと
暗記してよかったなぁと思うわけです
これは自然教育園の地図です
園内の草花を楽しんだ後、このマップを見返したら
完全にディズニーランドのマップに見えたんです
草花の名前を覚えすぎて気が狂ったわけではなく、マジでそう見えるんです
というのも、草花の名前を覚える前の私にとって
植物園とは「草木がいっぱい生えてる気持ちの良い場所」程度の認識だったんですが
知識を得た今では、様々な種類の植物を私た
ちに見せるために、「人の手」による工夫が凝らされてまくっていることに気が付いたんです
例えば、園内には「路傍植物園」があり、そこではヒメウズやオドリコソウといった、林の縁などで見られる植物があり。「水生植物園」では、カキツバタやスイバなどの水辺を好む植物が観察できるように整備されています
自然教育園のサイトを見てみると
教材園には、関東平野南部に生育・生息している多様な動植物が見られるように 草刈り等の維持管理を行っており、入園者の利用に供するとともに、消滅しつつある種 の保存・繁殖も併せて行っている。
と、私たちが自然を観察して学べるように
日々努力して環境を維持・管理してくれています
つまり!
自然教育園は
「森の一部に生えているオドリコソウを保護するために、路傍植物園を設け、保存・繁殖を行う施設が自然植物園」
である
一方、ディズニーランドは
「新浦安に住んでいるミッキーマウスを保護するために、トゥーンタウンを設け、家やミニーを用意して保存・繁殖を行う施設がディズニーランド」
と言えるので
オドリコソウ=ミッキーマウスであれば
自然教育園=ディズニーランドの等式が成り立つんですQ.E.D.(証明終)
まとめ
今回は、日々の散歩をさらに楽しむという目的のために、
674種類の植物の名前を、107時間という時間をかけて覚えました。
その結果、単に植物の名前が分かるようになって散歩が楽しくなっただけでなく、
・世界の見え方(レイヤーの追加、ZLボタンの発見)が劇的に変化し
・植物園の工夫や努力を肌で感じられるようになる
という体験ができました
皆さんも、植物の本を読んだり、植物園を見に行って
散歩時間を豊かにしてみてはいかがでしょうか
散歩中に気になった植物を調べるだけでも楽しいですよ♪
いや~、本当に頑張って覚えてよかった!
ただ「歩く」という行為そのものの楽しさが、個人的には1.5倍くらいに増した気がします。
この木何の木って考えながらじっくりと見ることも増えました
名前がわからなくても、道端の木には名札がついていることが多くて嬉しいね
えーっと、なになに?
「1312-R02-03-C06-17」か



コメント
1え、やってみたい。苦労しても得た知識は本物ですもんね。植物園の意義=答え合わせもなるほど。