関西テレビ大多社長辞任 元フジ専務、報告書で責任指摘
関西テレビ放送(大阪市)の大多亮社長は4日、同社本社で報道陣の取材に応じ、同日付で辞任したと明らかにした。6月の株主総会まで福井澄郎会長が社長を兼務する。大多氏は元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルが起きた2023年当時、フジテレビジョンの専務を務めており、トラブルへの対応に当たっていた。
フジ・メディア・ホールディングス(HD)が設置した第三者委員会が3月31日に公表した調査報告書で、大多氏の一連の問題への対応は「経営判断の体をなしていない」と指摘された。大多氏は「調査報告書において当時の私の対応に厳しい指摘を受けた。指摘を真摯に受け止め、これ以上社長職を続けることは不適切」と話した。
報告書によると、大多氏は23年8月21日に編成制作局長から事案の報告を受け、そのままフジテレビの港浩一社長(当時)に伝えたが、大多氏や港氏らは「プライベートな男女間のトラブル」と認識。第三者委員会は「こうした誤った認識・評価が、本事案への対応を誤る大きな要因となった」とした。
報告書ではフジテレビ側が「中居氏の利益のために動いた」ことも問題視した。事案への一連の対応について大多氏や港氏らを「性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」と批判した。大多氏は「その時々の彼女の病状や気持ちをくみとる努力をすればもっと寄り添った対応ができたのではないか」と反省の弁を述べた。
フジ・メディアHDの取締役相談役を退任する日枝久氏が関西テレビの社外取締役を務めていることについて、大多氏は「6月の株主総会までは残る」と話した。
大多氏はフジテレビの専務を経て24年6月に関テレ社長に就任。「東京ラブストーリー」など人気ドラマのプロデューサーとして知られる。
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中居正広さんと女性とのトラブルにフジテレビ社員が関与したと報じられた問題。フジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会は調査報告書を公表し、中居さんから女性への性暴力はフジテレビジョンの業務の延長線上だったと認定。企業風土がハラスメントや人権侵害につながったと指摘しました。
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