内部告発で右往左往…県知事の「おねだり」「パワハラ」疑惑文書拡散で兵庫県政が“異例の大混乱”

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問題となっている告発文
問題となっている告発文

A氏が告発したパワハラ疑惑を職員はどう捉えているのか。現職の県幹部職員C氏は「犯人探しが行われており、職員が戦々恐々としているため身分は隠してください」という条件で、次のように話した。

「知事は感情的なところがあり、何の前触れもなく怒り出すというタイプの方です。例えば芸術楽団などの催し物に呼ばれた際、『公用車の停め位置が遠い。歩く距離が長い』と怒り出したことがあります。現場に控室がないと『なぜ用意してないんだ』と激怒する。

行事はホテルで開催されることが多いため、控室を用意するとなると、税金で部屋を借りねばならないのですが、そんなことはお構いなし。常に髪型のチェックを怠らないので、控室に姿見は必須です。職員はトイレの位置も細かく把握しておく必要がある。職務に必要なことというよりも、知事のご機嫌取り的な側面が強いと感じます」

告発文の中の、阪神の優勝パレードに関する記述部分
告発文の中の、阪神の優勝パレードに関する記述部分

また、告発文の中では知事の「贈答品のおねだり体質」についても問題提起された。C氏が続ける。

「齋藤知事が就任されてから、民間の力を積極的に借りて民間の資金も活用していこう、という方針になりました。ただ、特定企業とのタイアップは職員の中で問題視する声も小さくない。実際、知事は業界や経済状況の視察という名目で県内を回っていますが、“ただ見ているだけ”ということが多く、視察先で贈答品を受け取ることがメインとなっていると感じてしまう。我々はあの視察を『遠足』と呼んでいます」

県職員や県民の意見を受けて、再調査の申し立てを行ったのが丸尾牧県議(59)だ。丸尾氏は職員にアンケート調査も実施した。その回答には、第三者委員会設置の要望や知事のパワハラ疑惑の数々、贈答品の受け取り疑惑についても、具体的に記されていた。なぜ、再審査の申立てを行ったのか。丸尾県議が明かす。

「知事の発言や県の調査について、最初から違和感があったんです。告発文の内容が事実なのか、事実でないのか、調査をしようとしても行政側は情報をシャットアウトしています。とにかく真実を追及したいというところからスタートしました。

報復とみられる人事を含む県側の過度な反応や、職員の萎縮は今後の県政運営に大変な障害となる恐れがある、という危機感があった。そこでアンケートを実施したところ、7名から具体的な回答があった。『事実を明らかにしてほしい』という強い要望の声をいただいています」

アンケートの回答や、丸尾氏が県に提出した申立書の中で特に目を引くのが、「パワハラにより職員が自殺した」という文字だった。昨年11月に行われた阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードの担当課長だったD氏が自ら命を絶った疑いがあるというのだ。

アンケートに寄せられた実際の回答文。「G課長」は本文中のD氏のことを指す
アンケートに寄せられた実際の回答文。「G課長」は本文中のD氏のことを指す

パレードには公費を投じない方針だったため、5億円をクラウドファンディングと協賛により集め、実現に漕ぎつけている。しかし、県職員によればクラウドファンディング自体では1億円ほどしか集まらず、残金を集めるため協賛企業や各所と調整を行っていたのがD氏だったという。

捜査関係者が打ち明ける。

「今年4月20日、たしかに当該の総務課長さんが遺書を残して亡くなられています。この方は、うつ病も発症していた。ただ、遺書の中ではパワハラに関する直接的な言及はありませんでした