【申し立て後に自殺か】兵庫・斎藤知事のパワハラ告発の元県民局長が命を絶った「深刻な理由」
「百条委員会設置に反対したのは維新の会。本件に関係のない資料の非開示に反対したのも維新の会だけでした。緊急理事会では、ある維新の会の議員から『本文章には、知事の好き嫌いに関する記述、片山副知事の家族や学生時代の学友など、個人を特定した上でのプライベートについての記述が散見される。当事者として(A氏は)、プライベートなことを取り上げながら、自らの調査結果についてはプライベートな問題だから公開してくれるなというのは、あまりにも都合のよい身勝手な倫理。プライバシーに関係しているかどうかについても、A氏の代理人が判断するのは不適切だ』という旨の発言がありました。これにはさすがに暴論だ、という指摘もあり、他会派からの反対意見が出て調査に関係のない資料は一切提出を認めないことが賛成多数で可決されます。それでも、維新の会の議員は食い下がっていました」
この緊急理事会は、A氏が亡くなった翌日に開催されている。「多くの県議は、当日朝の段階でその訃報を知っていた」と前出の県議会関係者は言う。それゆえに憤りも隠そうとしない。
「当件がA氏を精神的に追い詰めていた可能性は否定できません。亡くなったことを知った上で、死人に鞭を打つような行為や発言をしていたのなら、議員というよりも、いち個人としてその人間性を疑ってしまいます」
ある県議は、19日の百条委員会は予定通り開催される運びだと述べた。今後は県職員へのアンケート結果なども争点となってくる。斎藤知事は自民党と、維新の会が相乗りして誕生した知事でもある。A氏の死後、こんな声も聞こえてきていた、前出の県議が言う。
「自民党の中でも、A氏が亡くなったことで『百条委員会の継続は困難では』という一部議員もいたのです。ですが、真実を明らかにすべきだという方が大多数で会派として継続の方向性となった。維新の会の中でも、若手を中心に『知事の対応はさすがにマズイ』という意見も少なくなかった。ですが、会の意思決定は上層部の数人が行っており、完全にトップダウン型。その対応に違和感がある県議はいるものの、声をあげられない状態なのです」
A氏は県を退職する前に、こんなコラムを残している。その一部を抜粋する。
〈我々は公務員です。仕事は県民の皆さんのためにするものです。自分のため、自分の栄達のために、仕事はしてはいけない。仕事を利用してはいけない。そして、自分の損得勘定で行動してはいけない、人の選別をしてはいけない。昇任、出世は結果であって、それを目的にしてはいけない。(中略)人を大切にすること、義を通すこと、誠実であることを、ひとりの人間としてずっと心に持ち続けて欲しいです。そして、筋を通そうとして挫けることがあっても、理不尽な現実の壁に跳ね返されても、諦めないで下さいね。『いつかきっと』と心に念じながら〉
1人の告発文から始まった騒動は、大きなうねりをみせ、もはや知事の進退という枠組みを超え、政局争いや県政の健全性という問題にまで波及している。それは、A氏の願った義や誠実さという概念からはかけ離れた世界であるような気がしてならない。
- PHOTO:アフロ
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