田辺市役所
和歌山県田辺市が一般財団法人から提案を受けて検討している公立大学の設立構想を巡り、市議会総務企画委員会(松上京子委員長、6人)は2日、大学設置の可能性について専門的見地から調査・検討するための費用(計3088万円)を盛り込んだ予算案を、賛成多数で可決した。本会議での採決は8日の予定。
構想は、現役の大学教授らでつくる一般財団法人「立初(たてぞめ)創成大学設立準備財団」(兵庫県宝塚市)が市に提案。市役所旧庁舎(新屋敷町)を活用し、文系・理系の枠にとらわれずに学ぶ「文理融合型」の公立大学を設置したいとしている。
市はこれまで、学生の確保や財政面の課題などについて庁内で検証。今年3月に「(大学構想の)実現可能性は十分あるが、専門的見地からさらなる検証が必要である」とする報告書を公表した。
今回予算計上した調査・検討事業では、学生や教員などのニーズ、初期費用や運営費用、地域への経済波及効果などの調査について、大学設置に関するコンサルティングの実績がある業者をプロポーザル方式で選定し、委託する。また、築50年以上たつ旧庁舎について、利用可能かどうかなどの調査を建築設計事務所に委託する。
それらと並行し、学識経験者や地元の高校教員、保護者、商工関係者などからなる検討会議を設置。大学設置の必要性や可能性について検証する。
検証結果の報告書は、本年度内にまとめる予定。
委員会の審議では、久保浩二議員(共産)が「結論ありきなのではないか。本当にちゃんと検証するのか」と質問。市当局は「市がまとめた報告書について、第三者に客観的に検証してもらう調査であり、結論ありきではない」「財団からの提案の検証が主だが、それだけにはとどまらず、そもそも田辺市に大学が必要なのかどうかなども含めて総合的に検証していただく」と答えた。
安達克典議員(自民)は「市民からはいろいろな声を聞く。これだけの費用をかけるのであれば、きちっと調査をしていただかなければならない」、浅山誠一議員(無)も「市民から賛否いろいろな声を聞くが、反対意見として多いのは立地について。大学があること自体は、市の未来をつくるものだと思う。旧庁舎ありきではなく、いろいろな可能性を含めて調査してほしい」と要望した。
宮井章議員(無)は「この大学構想が浮上したことで、他からもアプローチがあると思う。(財団の提案だけではなく)いろいろな検討をしてほしい」と述べた。
採決の結果、賛成多数(反対は久保議員のみ)で可決した。