「公平性を過度に意識せず、選挙中も積極的に報道」 新聞協会が声明

後藤遼太
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 日本新聞協会は12日、「インターネットと選挙報道をめぐる声明」を公表した。不正確な情報で選挙結果が左右されることが懸念される一方、選挙期間中はメディアが公平性を過度に意識し、報道が少なくなりがちだと言及。報道のあり方を見直し、「国際的なファクトチェックの手法なども参照しながら、有権者の判断に資する確かな情報を提供する報道を積極的に展開していく」と表明した。

 選挙報道に関しては、公選法148条で、虚偽や事実の歪曲(わいきょく)に基づく評論でなければ、報道する自由があるとされる。ただ、報道各社が候補者間の公平性を過度に意識するなどして報道を控え、「知りたい情報が伝えられていない」といった指摘がなされていた。

 新聞協会は声明で、インターネット上の言論について「偽情報や真偽不明の情報、暴力的な情報も流通し、生成AI(人工知能)によって情報を作成すること自体が一層容易になっている」と指摘。「不正確な情報が選挙結果に強く影響することは民主主義の自壊を招きかねない事態」と深い憂慮を示し、「事実に立脚した報道により民主主義の維持発展に貢献することは、報道機関の責務」と主張した。

 また、新聞協会は、選挙を巡る報道各社の真偽検証記事をインターネットで広く紹介するため、X(旧ツイッター)で「選挙情報の真偽検証_新聞協会(@senkyo_kensyo)」というアカウントを同日開設したと発表した。

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この記事を書いた人
後藤遼太
東京社会部|メディア班キャップ・平和担当
専門・関心分野
戦争や平和について、歴史
  • commentatorHeader
    藤田直哉
    (批評家・日本映画大学准教授)
    2025年6月12日19時12分 投稿
    【解説】

    良いことだと思います。「公平性」に過度にこだわることで、ネット上で流通するデマや陰謀論が訂正されないままに信じられ、投票行動に影響を及ぼす現象がずっと続いていました。ネットの動画や発信者たちは既存のマスメディアと比較して法やルールや規範に縛

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    鳥海不二夫
    (東京大学大学院教授=計算社会科学)
    2025年6月14日0時3分 投稿
    【視点】

    選挙に対して真面目に情報を収集しようとする人ほど情報が得られずにソーシャルメディア等の真偽不明の情報に触れてしまう可能性が高かったことを考えると、メディアによる積極的な報道は重要です。 情報源がテレビや新聞しかなかった時代とは大きく異なって

    …続きを読む