現代国富学とは


始めに

本論は行動経済学、ナラティブ経済学、MMTによる会計的事実、道徳感情論、国富論を統括した物である。

現代国富学:制度貨幣論に基づく公共経済の再構築


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第1章 序論:国富とは何か

国の富とは何か。この問いは経済学の根本命題であると同時に、国家の政策設計そのものに深く関わる。従来、国富はGDPや財政収支、あるいは国家信用の指標として捉えられてきたが、それらはいずれも市場的観測値にすぎない。
本論では、国家の富を「供給能力」と「制度的強制力」の総体と捉え直し、現代の制度貨幣論を基礎に新たな経済理論を構築する。それは、国家財政と貨幣の本質を明確化し、政策の評価軸を転換するものである。


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第2章 制度貨幣論とその前提

貨幣は交換手段ではなく、「納税手段として国家が強制する負債の清算手段」畢竟徴税である。これこそが数十円の価値しか持たない1万円札を1万円と値決め、その価値を誰にも値崩れさせる事が出来ない理由だ。この制度的理解は、MMT(現代貨幣理論)にも通底するが、現代国富学ではより原理的に「貨幣=制度の産物」と位置付ける。
この章では、貨幣の発生とその制度的基盤を明らかにし、「なぜ人々は国家通貨を使うのか」という根源的な問いに制度論的に答える。


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第3章 歴史的考察:戦後日本に見る制度と供給

1945年、日本は敗戦により供給能力を喪失し、通貨価値は暴落した。政府は巨額の赤字を出し続けたが、財政破綻には一度も至っていない。これは、制度的強制が維持された限りにおいて、「赤字=破綻」の通念が通用しないことを示す。
また、インフレの収束は貨幣供給の抑制ではなく、供給能力の回復によって達成された。これは「インフレ=貨幣現象」という前提を覆す実例である。


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第4章 財政赤字の再定義

国家の赤字は、「需要に対して民間が供給できなかった分を政府が肩代わりした記録」である。すなわち赤字とは、国家による公共的供給の履歴であり、それ自体は社会的信用の問題ではない。つまりは、単純に、政府の赤字は民間の黒字、その逆であれば、政府の黒字は民間の赤字という絶対に誰も逃れる事が出来ない絶対不変の原理原則、「貸借関係」にあり、インフレ率も同様である。
重要なのは、どのような支出が、どのような供給能力を社会にもたらしたかである。貨幣発行と支出は、常にその背景に「供給の実現可能性」を伴って評価されるべきである。


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第5章 貨幣価値の本質と維持要因

貨幣の価値は、物々交換の媒介物としてではなく、「国家に納税義務を果たすための唯一の手段」として発生する。ゆえに、貨幣価値は政府の課税権の信頼性と強制力に依拠しており、中央銀行の独立性や市場操作によって維持されているわけではない。
国家がその制度的強制を維持している限り、貨幣は価値を持ち続けるのだ。


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第6章 国富の構成要素:供給能力と制度的安定性

「国富」は目に見えるストックではない。それは、安定的に財・サービスを供給できる能力の体系であり、その前提となる制度の信頼性が不可欠である。
すなわち、国富は以下の2軸で評価されるべきである:

1. 実体経済の供給能力(人的資源・技術・インフラ)


2. 制度の強制力と信頼性(法制度・課税徴収・政府支出の信頼性)



この定義により、「国の借金」「市場の信用」といった指標は補助的に位置づけ直される。


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第7章 公共財政の設計原理

財政政策は「赤字か黒字か」ではなく、「供給能力をどのように支えるか 」(インフレ率)に基づいて設計されるべきである。教育・医療・インフラ投資は、貨幣発行を通じて供給力を高めうるならば、赤字でも正当化される。
また、需要の偏在や資源の浪費を回避するために、政府には「供給調整者」としての役割が期待される。この視点から見れば、財政均衡はむしろ経済運営の柔軟性を損なう障害である。


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第8章 結論:現代国富学の提唱

本稿では、国家の富を「供給能力と制度の安定性の総体」と捉える新しい理論枠組み、すなわち現代国富学を提示した。これは、貨幣の価値、財政赤字、インフレの因果性などを再定義することで、公共政策に対してより正確な評価軸を提供する。
貨幣は制度であり、国家は破綻しえない。経済政策は、制度貨幣論に基づいて設計されるべきである。本論は、それを提唱するものである。

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コメント

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現代国富学とは|SashaJaeger
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