<社説>SNSと選挙 虚偽や扇動、惑わされず

2025年7月4日 07時11分
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 選挙に対するSNSの影響力が増していると指摘されている。発信者が有権者を惑わせる情報発信を慎むべきは当然だが、有権者側も虚偽情報や根拠のない扇情的な投稿に踊らされてはならない。幅広い情報に接して事実を見極め、より良い選択につなげたい。
 インターネットを活用した選挙運動は2013年参院選から解禁された。当初はネットでの人気は選挙結果に直結しなかったが、SNSの利用者数や利用時間が増加するに従い、選挙結果への影響は無視できなくなった。「バズった(話題になった)」候補が躍進した東京都知事選が行われた24年は「SNS選挙元年」とされる。
 同年11月の兵庫県知事選では、SNSを味方に付けた斎藤元彦氏が、数々の疑惑が報じられたにもかかわらず再選したが、対立候補を誹謗(ひぼう)する虚偽情報が拡散したうえ、激しい中傷にさらされた県議が命が失う事態に発展した。
 SNSには注目を集め、アクセス数が増えれば収益を得られる仕組みがあり、選挙に便乗する発信者も多数存在する。話題性を優先して根拠不明の情報を流布し、人々の不満や不安をあおる手法が許されていいはずはない。
 事実に基づかない虚偽情報は、受け取る側の感情を揺さぶるために刺激的、攻撃的につくり出すことができる。誤った方向に導かれた民意は、民主主義の根幹を揺るがす危険な刃(やいば)となる。
 米国ではSNSで虚実入り交じった発信を繰り返す権力者が固い岩盤支持層を築き、自らの意に沿わない大学や批判的な政治勢力の弾圧に乗り出している。
 日本の国会では、選挙に関連するSNS投稿の収益化を規制する案が浮上したが、対象の線引きが難しいとして見送られた。声明で事業者への自主的な対策強化を促すにとどまり、実効性に乏しいと言わざるを得ない。
 SNSは、情報にいつでも接することができる利便性が大きな強みだが、自分好みの意見にばかり偏ることで、視野が狭くなるという負の側面も指摘される。
 参院選などの議員選は関心が分散しやすく、SNSの投稿も首長選ほどは過熱しないとの指摘はあるが、注意を怠ってはなるまい。
 私たちは、民主主義をより良い方向に発展させるため、SNSと選挙の在り方、有権者としての関わり方を考え続けたい。

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