新自由主義という言葉の混同
ニューリベラリズム、ネオリベラリズム、リバタリアニズムは、政治経済思想において重要な概念ですが、日本語ではすべて「新自由主義」と訳されることがあり、混乱のもとになることがありますね。私の投稿でも混同したコメントがあったので、それぞれの違いを簡単に説明します。
ニューリベラリズム(New Liberalism)
「新しい自由主義」と訳すのが適切です。19世紀後半から20世紀初頭にかけてイギリスなどで発展しました。
従来の古典的自由主義(政府は最小限の役割にとどめるべきという考え)では、市場の自由を追求しすぎた結果、貧富の差が拡大したり、社会問題が起きたりすると考えました。
そこで、ケインズなどが提唱したニューリベラリズムは、個人の真の自由や可能性を実現するためには、政府が積極的に介入し、社会保障や教育の充実を図るべきだと主張します。
福祉国家の基盤を作った考え方と言えます。
ネオリベラリズム(Neoliberalism)
これも、「新自由主義」と訳されることが多いですが、上で説明したニューリベラリズムとは指向が逆です。ハイエクやフリードマンが提唱し1970年代以降に勢いを増しました。
政府の過剰な介入や福祉国家の拡大が、経済の停滞や非効率性を招いたと考え、再び市場の自由と競争を最大限に重視すべきだと主張します。
政府の役割: 規制緩和、民営化、小さな政府、財政規律の重視などを掲げ、市場の力を最大限に活用しようとします。福祉は削減される傾向にあります。サッチャー政権やレーガン政権の政策が代表例として挙げられます。
リバタリアニズム(Libertarianism)
これは、「自由至上主義」や「徹底した自由主義」と訳されることがあります。アメリカの共和党の中でも狂信者たちが提唱しています。
個人の自由をあらゆる側面で最大限に尊重し、政府の介入を極限まで排除すべきだと主張します。経済活動だけでなく、社会的な道徳やライフスタイルについても、個人の選択を最優先します。
政府の役割: 政府の役割は、国防や治安維持など、最低限の範囲にとどめるべきだと考えます。福祉政策や再分配政策には非常に否定的で、個人の努力と責任を強調します。ネオリベラリズムよりもさらに徹底して政府の役割を否定する傾向が強いです。
これらの概念は、それぞれ異なる歴史的背景と哲学を持ち、政府の役割や市場に対する考え方が大きく異なります。日本語で一括りに「新自由主義」と訳されることで、これらの本質的な違いが見えにくくなっていると言えるでしょう
- 170
- 21
- 178
- 2023.11.07 11:00
- 0
- 0
- 12
- 2025.05.22 21:32
- 5
- 0
- 18
- 2024.11.05 18:49
- 1
- 0
- 11
- 2024.12.30 14:33
- 0
- 0
- 9
- 2024.01.26 11:16
- 8
- 0
- 0
- 2025.06.17 22:47
- 193
- 15
- 227
- 2023.03.03 17:00
- 0
- 0
- 8
- 2025.02.11 21:28
- 9
- 2
- 15
- 2025.06.26 15:40
- 3
- 1
- 35
- 2025.01.18 06:33
困窮の憂いが無いならもっとリスクが背負えて起業や革新的産業やクリエイティヴ活動にもっと積極的になる人が増えて経済も文明も発展が加速するという理屈と、働かなくても食っていけるなら貧困スレスレに甘んじて働かなくなる怠惰論とがあるようだけれど、前者の考え方では結果的には税収の総額も上がる理屈から積極推進の考えらしい。
ニューとかいらなくてただのリベラルでいいと思う
違いますね。
はっきり言って、さまざまな論者が「自分こそがリベラル」と自称してきた歴史の積み重ね的結果でしょうから、それぞれ中身は全然違ってたり、ですよ。
自民党も、元々自称「リベラル」、ですからね。
「民主主義」なんかも、いろいろバリエーションありますね。
教科書的に「定義」する必要もあるかも知れないですが、それでもやっぱり教科書執筆者により、違ってたりするわけですよ。
数字で絶対的に「定義」等が決まったりする自然科学とは違い、人文社会科学は複数視点のモノの見かたを訓練する学問ですから、一概定義は場合によりますけど困難だったりしますね。