10万個以上を泣く泣く廃棄…京のブランド「丹後とり貝」を襲う「下痢性貝毒」 解決策見えず地元漁師からは悲鳴
■漁師が悲鳴をあげる「下痢性貝毒」とは
漁師が悲鳴をあげる理由は…「下痢性貝毒」だ。 下痢性貝毒とは毒素をもったプランクトンを貝が捕食すると貝は毒化する。 そして、私たちがその貝を食べると食中毒の症状を引き起こしてしまうというもので、舞鶴湾での被害額はなんと1億円以上。
■舞鶴湾と宮津湾では貝毒が検出され出荷停止
丹後とり貝が獲れる3つの湾のうち、舞鶴湾と宮津湾では貝毒が検出され出荷停止となったのだ。 丹後地方でとり貝の養殖が始まったのはおよそ30年前。 天然のとり貝は高水温に弱く、供給が安定していないことから京都府と漁師らがわずか1センチの稚貝から育てる技術を全国で初めて確立。
■「今まで30年間やってきて(出荷の)全面禁止は初めてのこと」
しかし、ブランド化への道のりは大変で、立ち上げ当時から養殖に携わる漁師の川崎芳彦さんは、「何万個できたけど売れない。『なんやこれ養殖か』という感じで。養殖もんはやっぱり天然もんよりランクが下という時代だったので」と話す。 試食会を開くなどし、長い年月をかけて定着させてきただけに、今回の出荷停止にはやりきれない思いを抱いている。 川崎芳彦さん:残念としか言いようがない。今まで30年間やってきて、全面禁止が初めてのことなんです。大きいのに…と思って(貝を)袋につめる悲しさ、それはみんな痛感していると思います。
■「下痢性貝毒」の原因の一種となるプランクトン増加の原因は分からず…
漁師に大打撃を与える貝毒。一体どのようなものなのか。 京都府海洋センター舩越裕紀主任研究員:ネットを使ってプランクトンの採集をしている。そのなかから下痢性(貝毒)の原因の一種といわれているプランクトンを見つけ出す。 採取の様子京都府海洋センターでは下痢性貝毒を引き起こすプランクトンを集め、貝の毒化との関連などを調べている。 早速、海の中から採集したプランクトンを顕微鏡で調べると… 京都府海洋センター舩越裕紀主任研究員:これがアキュミナータですね。 下痢性貝毒の原因の一種となるプランクトンが。画像貝毒が検出された時期には、このプランクトンが多く確認されたということだ。 プランクトンが増加する原因は分かってきたのか。 京都府海洋センター舩越裕紀主任研究員:どういった経緯で京都府の湾で(原因プランクトンが)増加してるかっていうのはまだ分かっていなくて、もともと湾の中にいたものが一気に増えたのか。あるいは外で増えたものが湾の中に入ってきたのか、どちらかかなと思います。 来シーズンに向けた準備も始まる中、増加の原因がわからず漁師たちは複雑な気持ちを抱えている。 丹後とり貝漁師川崎弥一郎さん:自然を相手にしている作業になるのでこればかりはどうにもならない感じ。来年こそはうまくいくといいなっていうのが正直な気持ち。 京ブランドを襲う危機はいつまで続くのか。 (関西テレビ「newsランナー」 2025年7月3日放送)
関西テレビ