「ココイチ」の客単価は1200円。高級化で“客離れ”が進むも「過去最高益」を更新するワケ
カレー店が力を注ぐべきは…
カレーとランチに関する意識調査をミックスすると、カレーを食べる頻度が最も低い30代はランチで価格を重視します。一方、平均よりもカレーを食べている50代が重視するのは味です。価格はあまり気にしません。 つまり、ココイチが年齢層の高い人の味覚を抑えていることができていれば、ある程度の値上げには耐えられる可能性があるのです。 このデータからは、カレー店は価格を下げることよりも、味を磨くことに力を注いだ方が流行りやすいことを示唆しています。
グアムのココイチは「客単価2900円」
業績が好調とはいえ、ココイチの客数は90%台前半で推移するようになりました。飲食チェーンは基本的に、出店を重ねることで業績拡大を目指します。客数が伸び悩む中で出店を重ねれば、命取りになりかねません。 そこで、壱番屋は成長に向けた手を打ちました。その一つがラーメン店の買収。2024年12月にKOZOUの全株を取得すると発表しました。この会社は「極濃豚骨 らーめん小僧」などの店舗を運営しています。2023年3月にも竹井という京都のつけ麺店を買収していました。 壱番屋はフランチャイズ主体の会社です。直営店で伸ばすというよりは、ラーメン店のブランドの磨き込みを行い、フランチャイズ展開を狙っているのでしょう。 主力のカレー店は海外に軸足を移しつつあります。すでにアメリカでフランチャイズの1号店をオープン。今年12月にシリコンバレーにフランチャイズ2号店の出店を控えています。アメリカのフランチャイズ展に年3回以上出展し、加盟を希望する人を精力的に集めているのです。 アメリカ以外での展開も強化しており、今年5月にグアムに初出店しています。これで海外店舗は216。グアムの店舗は客単価2900円を想定しているといいます。日本の感覚からすると信じられませんが、海外店は強気の設定をできるという魅力があります。 店舗展開が順調に進めば、業績の拡大に一役買うことになるでしょう。 <TEXT/不破聡> 【不破聡】 フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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