LGBTQ安心の店舗環境とは? 静岡大生が企画、企業と接客など議論 「プライド月間」合わせ
性的少数者(LGBTQなど)が安心して来店できる環境を整えるには何をすればよいかー。そうした企業の悩みを解消しようと、静岡大の学生サークル「グランディオーゼ」などは6月下旬、当事者への接客事例や課題を共有するワークショップを静岡市駿河区で開いた。性の多様性について理解を深める「プライド月間」に合わせた学生発の企画。LGBTQフレンドリー企業として打ち出したい店舗の〝参入障壁〟を低くし、声を上げにくい当事者の店舗利用も後押しする狙いがある。LGBTQなどの人でも気軽に来店できるような方法を議論する参加者ら=6月下旬、静岡市駿河区
開催のきっかけは昨年、同サークルが手がけたLGBTQフレンドリー企業の紹介冊子作成時のやりとりだった。「当事者が安心して利用できる環境であることを発信したい」という企業があった一方で、当事者の接客経験のない店舗から「何をどのように対応したらいいのか分からない」と懸念の声も複数あったという。
「性の多様性」理解の輪を広げるために学生が考案したワークショップのキャラクター
ワークショップでは、市内外から自治体職員や金融、美容関係者ら約30人が参加。性の多様性についての基礎知識や、接客した企業の対応例を学んだほか、各業界・企業の課題も参加者同士で話し合った。
「お客さんを不用意に性別で分けるべきでないが、マーケティングの観点で必要になる場合もある」「同性カップルだけに特別な対応を求めても良いのか」などの声が出たほか、顧客のパートナーに対して、「彼氏や彼女という言葉を使わず『お連れの方』と呼ぶ」との意見も出た。
美容サロン経営者の岩柳真由美さん(52)=同市葵区=は「性別でオーダーを判断せず、お客さまの意に沿ったプランを考える」と実例を紹介し、「当事者の方に選択肢を与えることが大切では」と意見した。整体業の西脇寿和さん(53)=同区=は異業種同士で議論したことで「いろいろな実例を聞き、当事者の生きづらさへの解像度が高まった」と声を弾ませた。
LGBTQなどの人でも気軽に来店できるような方法を議論する鈴木雛子さん(右から3人目)と参加者ら=6月下旬、静岡市駿河区
同サークル前代表の鈴木雛子さん(23)=同大大学院2年=は「当事者が安心して利用できる店舗は、当事者がスタッフとしても働きやすい環境であってほしい」と話し、「LGBTQフレンドリー企業を増やしていきたい」と意欲を示した。
■LGBTQフレンドリー企業 性的少数者が自分らしく働きやすい職場環境づくりや、社会への貢献活動、顧客対応などを積極的に取り組む企業を指す。同性パートナーへの福利厚生の充実や、差別禁止の社内規定、性の多様性に関する社内研修、相談窓口の設置などをする企業もある。近年、性の多様性を尊重する取り組みを公表・評価する企業が全国で増えている。