【独自】消防学校の水難救助訓練で溺死 生かされなかった教訓 繰り返し指摘された「バディ制度」現状は
福岡市消防学校に入校中だった男性職員が、水難救助訓練で溺死した事故からまもなく1年です。FBSでは全国の消防学校を対象に独自のアンケート調査を実施しました。すると、これまでの事故を受け提言された再発防止策が導入されていない実態が浮かび上がりました。
6月、福岡市消防学校で、外部の講師を招いた授業が行われました。学校生54人が学んでいたのは、水難事故を防ぐための正しい訓練方法です。
■講師
「水の事故は、コップ1杯でも死にます。浅い、深いはさほど関係ない。泳力の個人差があるなかで、同一の訓練はしづらいんです。」
福岡市消防学校の水難救助訓練が、プールではなく教室で行われたのはことしが初めてです。これにはあるきっかけがありました。
去年7月、福岡市消防学校の水難救助訓練で、立ち泳ぎの訓練に参加していた26歳の男性職員が溺れ死亡しました。事故を受けて設置された第三者による調査検討委員会は、訓練では、52人の学校生全員が一斉に立ち泳ぎを行っていて、監視体制が十分であったとは言いがたいと指摘しました。
■福岡市の調査検討委員会・大神朋子委員長
「他都市の事件を踏まえたところでは、バディシステムの導入がなされていなかったのが残念で、今後取り入れていくべきだろうという意見がなされました。」
強調したのは、学校生が2人一組となりお互いに見守る「バディ制度」が導入されていなかったことです。
水難救助訓練中の事故は、これまでも全国の消防学校で相次いでいました。2020年には山口県消防学校で、21歳だった学校生の男性が立ち泳ぎの訓練中に溺れ死亡しました。この時、検討委員会が再発防止策として示したのが、監視員の十分な配置に加えて「バディ制度」の徹底です。
山口県での事故を受け、福岡市消防局は監視員の人数を増やしましたが「バディ制度」をはじめ、その他の提言の多くは取り入れていませんでした。
■福岡市消防局・永野伸治職員課長
「これまで事故が起こってきてなかったというのと、監視の人数を増強させていれば、対処としてはしっかりやれるだろうという認識があったと思っています。」