避妊用ピルの使用率は日仏で10倍違う
2019年の国連統計によれば、世界における、避妊目的でのピルの服用率は8%で、実に1億人以上の女性がピルを飲んでいるとされています。一方で日本でのピル服用率は2.9%で、カナダの28.5%やフランスの33.1%などに比べると、かなり低いことがわかります。
日本……2.9%
アメリカ……13.7%
イタリア……19.1%
イギリス……26.1%
カナダ……28.5%
ドイツ……31.7%
フランス……33.1%
出典:「Contraceptive Use by Method 2019」(United Nations)
では、これまで日本国内でいわれてきたように、ピルや中絶ピルを解禁すると少子化になるのかというと、そうではないことは各国の統計からわかります。
国名 出生率
フランス 1.90
アメリカ 1.84
イギリス 1.63
カナダ 1.58
ドイツ 1.58
日本 1.40
イタリア 1.26
出典:「Total fertility rate」(Central Intelligence Agency)
女性の自己決定権が存在しない国ニッポン
低用量ピルやアフターピルが手に入りにくい日本に対し、どちらもタダで若年層にそのまま与えてきたフランス。女性の体を傷めつけるような医療がまだ残る日本に対し、負担の少ない方法を提供するフランス。
しかも日本は、人工妊娠中絶に「配偶者の同意が必要」とされています。また、16~17歳の少女が避妊法を利用する際には「親の同意が必要」とされていて、72時間以内に服用が必要とされる緊急避妊などへの十分な手段が提供されているとは言えません。
要は、日本には女性が自己決定権を持つ「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)」がないのです。
この状況は、女性差別のうちの一つだと世界から指摘されていますが、日本政府は長年聞こえぬふりを続けてきました。国連の女性差別撤廃委員会から日本が言われている内容を把握しましょう。誰よりも、日本に住む女性自身がそれを自覚していく必要があると思います。男女平等ランキング125位というのは不名誉ですが、海外では普通に手に入れられるはずの医療も権利も女性たちがその手に取れない状況にあるのは事実です。
日本の法律をジェンダーの視点から見た場合、そこにどういうアンバランス、どんな差別が包含されているのかを解説した『ジェンダーレンズで見る刑事法』(後藤弘子、岡上雅美共著 信山社)を27日に出しました。私がこれまで語ったような視点で日本の刑法を読み解く書籍は初であると考えています。
次回は、日本に住む女性たちが刑法上、どのように「差別」されているのかをつまびらかにしようと思っています。(後編につづく)


