大手私鉄なのに運行本数は「2時間に1本」程度!? 南海フェリー接続に特化した和歌山港線

鉄道乗蔵鉄道ライター
和歌山市駅の和歌山港線のりば(筆者撮影)

 筆者は、先日、徳島から和歌山経由で関西空港まで南海フェリーと南海電車を利用したことについては、記事(徳島―大阪が2,500円!南海電鉄&フェリーの「とくしま好きっぷ」 関西空港の発着だとタイパもよし)で紹介したが、和歌山港でフェリーを下船すると、南海電鉄の和歌山港駅が直結しているのは便利である。南海電鉄の和歌山港線は、和歌山港―和歌山市間の2.8kmを結ぶ路線で、途中に停車駅はなく、和歌山港駅を発車すると次の停車駅は和歌山市駅で、現在は完全に南海フェリーへの接続に特化した路線となっている。

 かつては和歌山港駅からさらに2.6km先の水軒駅まで線路が伸びており、1日2往復の旅客列車が運行されていたが、2002年に廃止されている。また、和歌山港―和歌山市間にも、かつては築港町駅、築地橋駅、久保町駅の3駅があり地域輸送も行われていたが、これら3駅は2005年に廃止されている。

 現在、和歌山港―和歌山市間を結ぶ列車は、平日の日中と休日の午前中の2本以外は線内折り返しの普通列車がメインではあるが、平日の朝夕はなんば行の急行設定があるほか、平日の朝夕と休日の朝にはなんば行の特急サザンも運行されている。列車の間隔はフェリーのダイヤに合わせておおむね2時間に1本程度の運行となっている。

和歌山港駅への連絡通路(筆者撮影)
和歌山港駅への連絡通路(筆者撮影)

 筆者が、徳島港から和歌山港に南海フェリーの「かつらぎ」で和歌山港に到着したのは13時5分のこと。和歌山港駅からは9分後の13時14分に和歌山市行の普通列車が出発するということだったので、足早に連絡通路を渡り駅へと向かう。和歌山市駅は、2012年から無人駅となっており、窓口にはシャッターが降ろされ2台の自動改札機が稼働しているだけの様子だった。

 徳島―和歌山間の南海フェリーは、1998年の明石海峡大橋の開通後、乗客の落ち込みが著しいといい、1980年代には1日の2,000人台の乗降客数を誇った和歌山港駅の利用者は、南海電鉄が公開しているハンドブック南海によると2023年度で445人となっている。

 そして、自動改札機を抜けて築堤上のホームに上がると、赤い車体色の2両編成の電車が停車していた。この車両は普段は加太線で活躍している観光列車の「めでたいでんしゃ」で、加太を代表する海の幸の「鯛」をモチーフにした車両ということで、車内には鯛をモチーフにした内装が施されていた。

 列車は、2両編成のロングシートの座席がほどよく埋まるほどの乗客を乗せ、定刻通りに和歌山港駅を発車。駅を発車すると線路は単線となり、車窓に映る港湾地帯の風景を眺めているうちに5分ほどで終点の和歌山市駅へと到着した。

和歌山港駅で発車を待つ「めでたいでんしゃ」(筆者撮影)
和歌山港駅で発車を待つ「めでたいでんしゃ」(筆者撮影)

(了)

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鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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