カープはなぜ大竹耕太郎を打てないのか
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今回はカープファンの悩みの種である”大竹耕太郎”をテーマに取り上げてみました。
はじめに
福岡ソフトバンクホークスから阪神タイガースへ移籍後(2023年~)の大竹耕太郎投手は、広島東洋カープ戦で圧倒的な強さを見せています。
直近の対カープ戦績は通算15試合の対戦でわずか1勝に留まり、11敗という惨憺たるものです。
阪神側から見れば、「対広島11勝1敗、防御率1.25」という無双ぶりで、マツダスタジアムでの登板は無傷の8連勝中。
いったいなぜ、カープ打線はここまでも大竹投手を打ち崩せないのでしょうか。
本記事では、大竹耕太郎投手の対広島線での投球内容や配球傾向、他球団との比較、投球のスタイルやカープ打者との相性、関係者のコメントなどから「なぜカープは大竹を打てないのか」について論理的に分析してきます。
大竹耕太郎の対カープ成績
まず数字上で、大竹の対広島成績がどれほど突出しているかを確認します。
・2023年(阪神移籍1年目):
対広島7試合に先発し6勝0敗、防御率0.57。投球回47回で被本塁打0、与四球4という完璧な内容でした。
広島打線は大竹から1試合平均でわずか0.43点しか奪えなかった計算です。
・2024年:
対広島6試合に先発し3勝1敗、防御率2.08。
2年目で唯一の黒星こそ付いたものの、この年のWHIPは0.90と走者すらほとんど出していません。
・通算(2023-2024):
対広島13試合9勝1敗、防御率1.26、WHIP0.88。
広島打線から許した本塁打は2年間でたった1本。
2025年も5月までに2戦2勝とカープキラーぶりは健在です。
カープ側から見れば、ここまで直近10試合すべて3得点以下と沈黙が続いており、新井監督も「また次回対戦があるからね」と悔しさを滲ませる状況です。
他球団との対戦比較
大竹の対戦成績をセリーグ他球団と比較すると、対広島戦の数字がいかに特異かが浮かび上がります。
以下は阪神移籍後(2023‐2024)の球団別の投手指標です。
※防御率・WHIPは2023‐24合算値
ご覧の通り、広島戦の防御率1.26とWHIP0.88は他球団と比べ群を抜いて優秀です。
例えば、巨人戦では防御率4.84と打ち込まれる試合が目立ちましたが、広島戦では2年間を通じて失点が極端に少なく抑え込んでいます。
ヤクルトや中日相手にも安定した成績を残している大竹投手ですが、それでも広島戦での安定感・支配力は突出しています。
この差は何に起因するのでしょうか。
大竹耕太郎の投球スタイルと配球傾向
まず、大竹自身のピッチングスタイルの特徴を整理します。
①速球の威力と多彩な球種
大竹のストレートは平均球速140km/h前後で、NPB全体で見ても「速球派」ではありません。
しかし、それを補うように、ツーシームやカットボール、スライダーにチェンジアップ、カーブと球種が多彩です。
特に注目すべきは最遅75km/h程度の超スローボールで、140km/h前後の直球と併せて緩急を駆使した投球で広島打線を手玉に取っています。
実際、5月31日の広島戦でも直球は140km/h前後、最遅75km/hのスローボールを織り交ぜ8回途中を0失点に抑えています。
②制球力と「打たせて取る」投球
与四球の少なさも大竹投手の武器です。
2023年の対広島戦では47回で四球4個、2024年も39回で7個と与四球率1点台と抜群の制球力を誇ります。
三振はそれほど多くなく、球威でねじ伏せるタイプではありません。
しかし、その分ストライクゾーンを丁寧につき、打者に積極的にバットを振らせて凡打を打たせています。
「長打にならない選択をしています」と本人も語っており、リスク管理を徹底し長打は許さない配球を心掛けているようです。
③極端な緩急と配球の巧みさ
大竹は「緩急を巧みに操る」投球術で知られ、上述するように速球とスローボールの球速差は60km/hにもなります。
これは打者のタイミングを狂わせる大きな武器と言えます。
実際に本人も「150キロが出ていても直球しかないと分かっていたら僕でもバットに当たる。だけど頭の中に遅い球種がちらつけば、真っすぐに対応しようとすると差し込まれる」と語っており、意図的に遅い球を配球に組み込んでいると明かしています。
この発想は「なんで遅いストレートを投げないの?」と野球未経験の友人の一言から生まれたそうで、常識にとらわれず、緩急の幅を最大限広げる工夫をしています。
④柔軟なマウンド捌きと準備
大竹は試合ごとに最適な配球を探るタイプでもあります。
「事前にしっかり準備をした上で、どの引き出しを使っていくか。同じ試合は一つもない」と語っており、1人1人の打者に対して先入観なく様々な球を試していくスタイルです。
「普段からの決めつけや好き嫌いをなくす。苦手な打者でも自分が得意な部分を探し、得意な相手にも慢心しない」という信条を持っており、配球パターンが単調にならないように心掛けているようです。
こうした探求心と柔軟性が打者に的を絞らせない”スキの無い投球”に繋がっているのでしょう。
以上のように、大竹投手は「球威よりも制球と緩急」で勝負する技巧派左腕です。
ではなぜ、この投球スタイルに広島打線は嚙み合わないのでしょうか。
カープ打線の特性と大竹との相性
広島打線が大竹を苦手とする背景には打線の特徴や攻撃スタイルが大竹の投球術と相性が悪いことが考えられます。
以下に主な要因を挙げていきます。
①左打者偏重の打線
広島の主力打者には西川龍馬(2023年)や坂倉将吾、秋山翔吾、小園海斗といった左打者が多く含まれます。
大竹はサウスポーであり、左打者への外角への緩い変化球や内角へのツーシームで相手の長所を消すのが得意です。
その結果、広島の左打者陣は軒並み大竹に抑え込まれています。
例えば坂倉将吾は2023年対大竹で6打数1安打(打率.167)と沈黙し、ベテランの秋山翔吾も18打数3安打(打率.167)と結果を残せていません。
左対左の不利を大竹が存分に突いていると言えるでしょう。
②小技や積極性が仇
新井監督率いる近年のカープ打線は機動力や小技も交えた攻撃を仕掛けます。エンドランや盗塁など積極策を多く取る傾向があり、大竹自身も「エンドランや盗塁、スタメンが毎試合違うイメージ」と警戒するほどです。
しかし、エンドランを成功させるにさせるには打者が確実にボールを捉える必要がありますし、走者を進めるにはバットに当てなければなりません。
大竹の極端な緩急は打者のタイミングを外し、こうした小技攻撃を空回りさせる効果があります。
実際に5月31日の試合でも、エンドランのような走塁ミスでチャンスを潰す場面が見られました。
カープの”積極的な野球”が大竹の前に裏目に出ている可能性があります。
③長打力不足と大竹のリスク管理
大竹は先述したように、「長打は許さない」投球を徹底しています。
一方で、鈴木誠也のMLB移籍後以降、カープには突出した長距離砲に欠け、単打を繋いで得点を奪う傾向が多くなっています。大竹相手にそれを実行するのは至難の業です。
事実、大竹は広島打線から2023‐24年に被本塁打1本しか許しておらず、塁上を賑わせてもあと1本が出ないまま抑え込まれる試合が目立ちます。
5月17日の試合でついにモンテロに来日初本塁打を浴びましたが、それもソロ一発に留まり、勝敗に影響は与えられませんでした。
カープとしては長打で一気に攻めたいところですが、その長打が出ない・出せないというジレンマがあります。
④早打ち打線と四球の少なさ
広島の打者は概して積極性があり、初級や早いカウントから振ってくる傾向があります。
大竹はコーナーを丁寧に突いて簡単に甘い球を投げないため、カウント球を打ちに行っても芯を外されたり、凡打になりがちです。
逆に待って四球を選ぼうにも、大竹投手は与四球率が低く、簡単に四球は許しません。
結果として、打者有利なカウントを作れず、追い込まれてから緩急に翻弄されるケースが多いのでしょう。
5月31日の試合も広島打線は四球0に抑えられており、出塁すらままならない状況でした。
⑤主力打者の対戦成績不振
数字面でも広島のキーマンたちが大竹を打ちあぐねています。
例えば菊池涼介は大竹相手に15打数2安打(打率.133)と封じ込まれ、2023年当時長打力を期待されたマクブルームも14打数2安打(打率.143)、同じく2023年当時の助っ人デビッドソンに至っては9打数無安打。
一方で2023年に西川龍馬が19打数7安打(打率.368)、田中広輔が10打数4安打(打率.400)と一見健闘しましたが、内訳は単打が中心で得点に直結する長打は皆無。
散発的な単打では大竹攻略には至らず、得点力不足に陥っています。
以上のように、カープ打線の特徴(左打者が多い、小技主体、長打不足、早打ち傾向)と、大竹の巧みな投球術(左打者封じ、緩急、四球を与えない制球力)が嚙み合わず、カープにとって極端に不利なマッチアップを生んでいると考えられます。
”カープキラー”本人と周囲の声
当の大竹自身や、両軍の関係者はこの現状をどうみているのか、いくつかのコメントを見ていきます。
①大竹耕太郎(本人)
「広島戦では今季7戦6勝で防御率0.57。でも何勝何敗でもやることは一緒。点を取られていないだけで打たれてはいるし、相性がいいとも思っていない」
※2023年クライマックスシリーズ前の談話
大竹は自らの対広島戦の成績について浮かれることなく、謙虚に分析しています。
「ヒットは打たれてはいる」と語っているように、2023年は被安打37と決してノーヒットに抑えていた訳ではないです。
しかし要所で長打を許さず最少失点で切り抜けてきたことがこの圧倒的な数字に繋がっているのでしょう。
②藤川球児(監督)
「緩いボールを使いながら、らしさが十分にバッテリーとして出せました」
※5月31日試合後コメント
大竹投手と女房役の坂本捕手のバッテリーが持ち味を発揮した点を賞賛しており、140キロ台の直球と80キロ台のスローボールの緩急でバッテリーのペースに上手く引き込んだ投球を評価していました。
③新井貴浩(監督)
「大竹に関しても石井(※阪神中継ぎ)に関しても、結構捉えた当たりも多かったと思う。捉えたけど風に戻されたりとか、そこは相手の守りが良かった」
新井監督は大竹を攻略できなかった要因として相手の守備の巧さや風(不運)について言及し、打線自体はそこまで酷くなかったとフォローする発言をしました。
しかし「結果的にあそこ(左中間2塁打の場面)は飛び込んででも…結果だからしょうがない」と中村奨成の守備のミスにも触れるなど、広島側にも僅かな綻びが失点に繋がっている現状を示唆しました。
守備・走塁面でのミスが僅かな得点機会を潰している点も含め、総合力で大竹攻略に至っていないと悔しさが滲んでいます。
④広島ナインの心理面
報道では「打てない…点滴の阪神大竹耕太郎を攻略できず完封負け」や「カープキラーまたも発揮」といった見出しが踊り、選手やファンにとっても大竹投手が大きな”心的障壁”になりつつあります。
これだけ何度も抑え込まれると「今日も大竹か…」という苦手意識が生まれ、余計に力んでしまう可能性も否めません。
結論・攻略の糸口はあるのか?
以上の分析を踏まえ、「なぜカープは大竹耕太郎を打てないのか」の答えとして、一言でいえば大竹の投球術とカープ打線のスタイルが噛み合っていないからです。
大竹は緩急と制球で打者のタイミングを外し、広島打線は機動力・繋ぐ攻撃を発揮できず封じ込まれる。
まさに悪循環に陥っています。
では、広島打線が今後大竹を攻略する糸口はあるのか。
いくつか考えられるポイントを挙げます。
①球種とタイミングへの対応
超スローボールへの対策として、打者は待球策を取って割り切って狙い球を絞る必要があるでしょう。
大竹は四球を嫌い、ゾーンで勝負してくるので、カウント有利になるまで無理に手を出さず粘ることが有効だと考えます。
とはいえ簡単に四球をくれない投手なので、打者ごとに遅い球への対応(極端に前に出て打つ、完全に無視する)を準備することも求められます。
②長打で流れを変える
一発で流れを引き寄せる長打の出現もキーポイントです。
幸いにも2025年はファビアンやモンテロなど長打力のある打者が加入しています。
早い回で長打で先制点を奪うことができれば、大竹にプレッシャーをかけられるはずです。
③苦手意識を払拭する
最後はメンタル部分です。カープとしては「また抑えられたらどうしよう」と消極的なムードを断ち切り、次の対戦では攻略するぞ!と前向きな姿勢で準備するしかないでしょう。
新井監督も「次回対戦がある」と前を向いており、チーム全体で何か打開策を練ってくるでしょう。
おわりに
“カープキラー”として君臨する大竹耕太郎投手ですが、シーズンは長く対戦機会もまだ巡ってきます。
データが蓄積されれば攻略のヒントも見えてくるでしょう。
果たして広島打線がこの難敵を克服し、雪辱を果たす日は来るのか。
ご拝読ありがとうございました!
今後もプロ野球の話題を掘り下げていきますので、また読んで頂けると嬉しいです。
【参考資料】
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