異世界オルガ   作:T oga

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※本小説はニコニコ動画のMADのノベライズ化です。
動画を見ていること前提で話が進むので、先に動画を見ることをオススメします。

URL:http://sp.nicovideo.jp/watch/sm32840579



第4章 ナイツ&オルガ (元動画:いのき、原作:ナイツ&マジック)
ナイツ&オルガ0


ここではないどこか、異なる世界。

 

この世界を表す名前はない。人々はいまだ世界のすべてを知らず、ただ自らが暮らす大地をそのすべてと考えていた。そんな大地の一つが『セッテルンド大陸』である。

 

セッテルンド大陸の中央にある陸地を大きく東西に分割する大崚嶺(だいしゅんれい)『オービニエ山地』の西側には人類が暮らす数多の国ひしめく『西方諸国(オクシデンツ)』が、東側には強大な力を持つ魔獣────モビルアーマーが数多く生息する『ボキューズ大森海(だいしんかい)』が存在している。

 

ここでオービニエ山地の東側に人類の居場所がないかと言えば、そうではなく、ただ一つだけ人類の国家が存在する。

その国の名は『フレメヴィーラ王国』。魔獣(モビルアーマー)達の領域であるボキューズ大森海(だいしんかい)と国境を接しているがゆえに、人口密集地を優先的に襲う魔獣(モビルアーマー)達との戦いの最前線となっている国である。

 

国内のあちこちに出現する魔獣(モビルアーマー)に対抗するための力を有し、西方諸国(オクシデンツ)と人類の盾としての誇りを持つ、民曰く『騎士の国』。

 

時に、西方暦一二六八年。このセッテルンド大陸で鉄華団団長、オルガ・イツカは目覚める。

 

「う、うぅっ……」

「オルガ」

「……おう、ミカ」

 

 

時は夕刻。フレメヴィーラ王国第十代国王アンブロシウス・タハヴォ・フレメヴィーラとの謁見を終えたライヒアラ騎操士学園の学長ラウリ・エチェバルリアとその娘セレスティナ・エチェバルリアは馬車で屋敷へと帰宅する道中であった。

 

「陛下のご様子は如何(いかが)でしたか、お父様」

「お変わりなくご健勝であらせられる。このフレメヴィーラが魔獣の脅威に晒されつつも繁栄をことおいでいられるのは一重にアンブロシウス陛下の御意向あればこそだ。此度も我がライヒアラ騎操士学園には過分の御言葉と賜金(しきん)を賜った。騎操士(ナイトランナー)を更に育てよということだ。婿殿も忙しくなるな」

「マティアスなら心配は入りませんわ」

「エルネスティの成長も気掛かりな事よのう」

「エルは確かに他の子供達に比べれば小柄ですが、きっと大きな事を成し遂げる。そんな気がするのです」

 

セレスティナは自らの胸に抱く幼子(おさなご)────エルネスティ・エチェバルリアを見つめながらそう言った。

 

 

その時、突如として馬車を襲う『何か』が現れた。

 

「何あれ?」

「何だありゃ?」

 

それをいち早く見つけた三日月とオルガはその『何か』の姿を確認するため、馬車の後を追う。

 

そして、その姿を目撃する。

 

「……プルーマ、じゃねぇか……」

 

プルーマとは、モビルワーカーに似たモビルアーマーの子機と呼べる存在であり、モビルアーマー同様、人を殺す事に特化した殺戮兵器である。

 

そのプルーマに必要以上に近づき過ぎてしまったが故に、オルガはプルーマのレールガンに撃たれ、希望の花が咲いた。

 

「【俺は止まらねぇからよ……。お前らが止まらねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……】」

 

 

馬車から降り、オルガがプルーマに襲われているのを目撃したラウリは剣を持ち、プルーマの背後をとる。

 

「お前は下がっておれ!うおおおお!」

 

ヴァアアアアアア!!パン!パン!パン!

 

オルガが襲いかかってくるプルーマへ発砲する。その隙にラウリが背後から剣で斬りつける。

そして、セレスティナが魔法で追撃し、プルーマは動きを止めた。

 

 

しかし、そこへ二機目のプルーマが襲来し、エルネスティの乗る馬車を襲おうとした。

 

「っ!エル!……エル!!」

 

プルーマがドリルで馬車を攻撃したその時、森の奥から放たれた一筋の光がプルーマを吹き飛ばす。

 

その光が指した森の奥からは白き巨人が姿を現した。

 

その白き巨人の正体は『幻晶騎士(シルエットナイト)』、全高はおよそ10メートル、金属製の骨格(インナースケルトン)結晶質の筋肉(クリスタルティシュー)を持ち、魔力(マナ)を動力として動く、魔導と機械仕掛けの巨人騎士。フレメヴィーラ王国が魔獣(モビルアーマー)に対抗するために生み出した地上最強の戦闘能力を持つ兵器である。

 

 

その白き幻晶騎士(シルエットナイト)を見たエルネスティは心の中で驚きの声を上げる。

 

(なっ!?これは……)

 

 

森の奥からは一機、また一機と幻晶騎士(シルエットナイト)が続々と現れる。

それに対抗するかのようにプルーマも増殖し、幻晶騎士(シルエットナイト)とプルーマの多対多の戦闘が始まった。

 

 

幻晶騎士(シルエットナイト)の一機が拡声器を使い、ラウリへこう告げる。

 

「父上!ここは我々が!」

「なんと!婿殿か!」

 

その白い幻晶騎士(シルエットナイト)を操る騎操士(ナイトランナー)はセレスティナの婿、エルネスティの父であるマティアス・エチェバルリアであった。

 

 

「ミカ、やってくれるか?」

「いいよー」

「【ミカァ!】」

 

 

三日月のガンダム・バルバトスも参戦し、数分後にはプルーマは全滅した。

 

「奇妙な幻晶騎士(シルエットナイト)騎操士(ナイトランナー)よ。協力感謝する」

「別に、普通でしょ。それより、アンタの子供がなんかずっとこっち見てるけど?」

「おぉ、エル~!怪我はないか?」

 

白き幻晶騎士(シルエットナイト)『サロドレア』から降りてきたマティアスの金髪を見たオルガはこう疑いをかける。

 

(マクギリスじゃねぇのか……?)

 

「うわぁ~、もびうすーう(モビルスーツ)だぁ!」

「モビル、スーツ?幻晶騎士(シルエットナイト)の事か?」

「しるえっと、ないと?」

「そうだ。魔法で動く騎士の事だ」

 

それを聞いたエルネスティは幼子(おさなご)特有の回りきらない舌で、はっきりとこう言った。

 

「……バエル!」

「は?」

 

その言葉を聞き、オルガは自らの過ちに気がついた。

 

「マクギリスじゃねぇか……」

 

マクギリス・ファリドはマティアス・エチェバルリアではなく、エルネスティ・エチェバルリアであった。

 

 

これが、エルネスティ(マクギリス)生涯の友となるオルガ・イツカ、三日月・オーガスとの出会いである。

 

 




メガネ脚フェチケモナーさんの祝福オルガ2が始まりましたので、異世界オルガノベライズも第4章に突入です。

今までとは毛色の異なる章となりますが、読んでいただけると幸いです。


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