TBS『報道特集』元編集長・曺琴袖さん

出産後に現場から去った先輩女性たちを見て思ったこと

――曺さんの先輩の女性たちは、出産後は現場にいらっしゃらなかったと過去のインタビューで拝見しましたが、そんな中、曺さんが結婚・出産などのライフプランや、それに伴うキャリアプランについて具体的に考えるようになったのはいつからでしょうか。

曺:ちゃんと考えられたら良かったんですけど……まだ具体的なキャリアの構想がない段階だったので、自分で自由に、思うままに取材したり番組を作ったりできる力がついたと確証を得るまで、結婚したら駄目だと思っていたんです。

――それは結婚・出産をして、やりたい仕事を諦めて去っていく先輩方を見ていらっしゃったからですか。

曺:それもあります。とにかく大変そうだと思ったんですよ。どんなに仕事ができる先輩でも、出産・子育ての壁で悶絶されていた。相当要領よく仕事ができるとか、ある程度のスキルがないと、出産・子育ての嵐には突入してはいけないという思いがありました

――曺さんご自身が、その嵐に突入していけるぞと思ったタイミングはいつで、どんなことがきっかけだったのでしょう。

曺:そこは正直に言うと、第一線で仕事をし続けることに対して、疲れたなという思いがあったときかもしれないです。

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激務と家庭を両立する「無謀な生活」で体を壊し…

――そろそろ、少し引いても良いかな、家庭を持っても良いかな、と?

曺:そうですね。私は仕事人間だと誤解されることが多いんですけど、昔も今も変わらず、キャリアと家庭を天秤にかけたら、迷わず家庭をとるんですね。

――すみません、それはちょっと意外でした。

曺:家庭を迷わず優先するという哲学に揺らぎがないから、仕事に邁進できるというか。というのも、女性の多くは、キャリアと家庭の天秤でどうすべきかという葛藤に苦しめられるんですよ。実際の負担そのものだけでなく、精神的葛藤もつらいんだと思うんです。私にはその葛藤がなかった分、割り切って仕事ができた面もあったと思います。

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