TBS『報道特集』元編集長・曺琴袖さん

――でも、報道番組の制作は相当多忙だと思いますし、殺害予告を受けるなどの危ない目にも遭っていらっしゃるじゃないですか(詳しくは第1回前編を参照)。ご家族から負担の大きい仕事はやめてほしいと言われたことはありませんか。

曺:あります。母からは徹夜勤務がある仕事はいいかげんやめろと毎日言われています(苦笑)。でも先日、「報道実務家フォーラム2025」で講演した際、そこに母が聞きに来たんですよ。そしたら、毎回私の顔を見るたび「やめろやめろ」と言う母が、「この問題をやり遂げるまでやめられないね」と言ってくれたんです。そういう家族なので、応援してもらっている気にもなりますし、仕事が理解されているとも感じます。

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「ブチ切れ事件」で少しだけ変化した夫婦の役割分担

――家事・育児の分担を対等にしてほしいと夫に言えなかったと前編でお話しされていましたが、病気をされたことで、ご夫婦の役割分担に変化がありましたか?

曺:そこはなかなか……(笑)。私たちは同業夫婦なので、子どもが生まれるまでは、取材相手に合わせてスケジュールを組んでロケに出たりしていました。でも、子どもが生まれてからは必ず「〇日に編集を入れていい?」「△日に取材を入れていい?」と夫に許可を取るようになりました。そういうところに、男女で差が生まれるわけですよね。それを不公平だと思っているのに、言えませんでした。

――我が家も同業同士ですが、子どもが小さな頃は仕事を入れたもん勝ちでした。

曺:そうなんですよ。そうやっていかなきゃいけないんですよ! ただ昨年末、初めてブチ切れました。一昨年、通常の番組をやりながら、年末特番もやって、2~3時間だけ家に帰る生活だったのですが、家の観葉植物が枯れていて……。昨年の年末も同じ状況になりそうだったので、「いい加減にしてください! 洗濯も気づいたらやる、やる気になったときにやるというのは、やるに入りません!」と声を張り上げたんです。そしたら、洗濯をやってくれる人(夫と娘)が増えました(笑)。

――言ってみるものですね(笑)。

曺:そうですね。ただ、私があまりに怒ったから、娘が心配して慰めの手紙をくれたんです。「ママが一番頑張っていることはわかっているから」と。

――お嬢さんが一番の味方ですか?

曺:う〜ん、「私も洗い物やりました」と手紙の中で言っていたけど、それ以降、やっているのを見たことはありませんね(苦笑)。

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